斗比主閲子の姑日記

姑に子どもを預けられるまでの経緯を書くつもりでBlogを初めたら、解説記事ばかりになっていました。ハンドルネーム・トップ画像は友人から頂いたものです。※一般向けの内容ではありません。

小学校の欠席連絡やプリントのやり取りは子ども経由を止め、オンラインに統一したほうがいい

この前こんな記事を書きましたが、

家族が新型コロナに感染して児童が小学校を休むときでも、欠席連絡の連絡帳を他の児童に手渡しすることになるのか - 斗比主閲子の姑日記

相変わらず私の観測範囲では、小学校を休むときに連絡帳は休む子どもの親が他の児童に手渡しする仕組みが残っているのが見受けられます。非常に残念です。

関連して、プリント配布もいい加減子ども経由を止めたほうがいいと私は考えています。親に直接オンラインで配信されるべき。

もちろん親に直接オンラインでプリントが配信されても読まない親はいるだろうけれども、子ども経由でのプリントロスのくだらなさは親に限らず先生にとってもストレスフルなものです。

「次は忘れないように」なんて上手くいきようがないのは親も先生も分かっています。ランドセルの底でぐちゃぐちゃになったプリントを広げるのは親にも子どもにも気分の良いことではない。私も子どものときは、よくぐちゃぐちゃにして母親に怒られていました。大量の紙を配るのはエコではないし。

もちろん、我が家は問題ない、プリントを忘れる子どもは注意力散漫なのだと思う家庭はあるでしょう。ただ、子どもも多様で、成長速度は人それぞれです。

オンラインでプリントを配信することへのいつもの反論として、「ネット環境がない人には不公平になる」というのがあるわけですが、では、「プリントを子ども経由で親に渡すのは、もともと注意欠陥気味の子どもにとって不公平になる」とは考えないものかと私なんかは思うわけです。

物事には良い面と悪い面があり、全員が平等に恩恵を受けるのではなく、利害の調整の結果、比較的マシなものを状況にあわせて選択するものです。

周知の通り、世帯別でのスマートフォンの利用率は2016年を境にして固定電話を上回っていますし、

図表5-2-1-1 情報通信機器の世帯保有率の推移

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※画像は総務省|令和2年版 情報通信白書|情報通信機器の保有状況から

年齢階層別で見れば小学生の子を持つぐらいの年齢でのインターネット利用率はほぼ100%です。

図表5-2-1-5 属性別インターネット利用率

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※画像は総務省|令和2年版 情報通信白書|インターネットの利用状況から。所得の低い世帯でのインターネット利用率は低いのは高齢者層が多く含まれると推測

私が子どもの頃の昭和61年末での固定電話の普及率は全世帯に対し81%と普及していない世帯もありましたが、あの頃多少歯抜けがあっても当たり前のように電話連絡帳が作成されていました。

ここまでインターネットが普及したのだから、オンラインで授業配信するのは帯域や端末の難しさがあるにせよ、せめて欠席連絡やプリントのやり取りぐらいは子ども経由ではなく、オンラインに統一してもいいんじゃないかと私は思います。

小学校PTAでkintone導入して、配布プリントが見られるようになった話 - Togetter

欠席連絡を親が他の児童に連絡帳で手渡しする仕組みは今や1000万世帯を超える共働き家庭においては相当不利ですし、プリントを子どもに手渡しするのは児童に5%はいるADHDの子どもにとって相当不利です。

繰り返しだけど、「インターネットがない世帯には不公平では?」としてネットでできることをやらない裏側では、多くの不公平をすでに生み出しているわけです。欺瞞です。

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※画像は図12 専業主婦世帯と共働き世帯|早わかり グラフでみる長期労働統計|労働政策研究・研修機構(JILPT)より

ネット環境がない家庭に他の家庭を合わせるというのではなく、ネット環境がない家庭にはネット付きスマホの配布を行政に対して要請するものだと思います。

生活保護受給中であってもスマホの利用は認められますし、今やネット付きスマホは健康で文化的な最低限度の生活を送る上で必須なものです。生活保護受給者が200万人ぐらいの状況を考えれば、1学年でネットを利用していない世帯約1%(おおよそ1万世帯)✕6学年=約6万人に対し、ネット付きスマホ分の助成金が出ても財政上は大きな金額ではないでしょう。学校教育費13兆円との対比でも多額ではない。

教育のICT化というとオンラインでの授業配信に一足とびにいっちゃうけど、それは先生への負担を考えれば簡単にはいかない面がある。まずは、親も先生も負担が減るコミュニケーションインフラのICT化は早期に進めたほうがいい。

個人面談の日程を紙で調整するのもバカらしすぎる。

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※画像は学級通信・学級だより10月NO.117「ひかる海」2学期の個人面談について1 | 学級通信・学級だより「ひかる海」より

学校や教育委員会から積極的に動くのはあまり想像しにくいので、親からじわじわプレッシャーをかけていきましょう。