斗比主閲子の姑日記

姑に子どもを預けられるまでの経緯を書くつもりでBlogを初めたら、解説記事ばかりになっていました。ハンドルネーム・トップ画像は友人から頂いたものです。※一般向けの内容ではありません。

家の"本棚がカラフルで「!」マークの多い背表紙が並んでいる"と"子どもに無理やり勉強させている可能性"

私は、教育系の本を読むときは、まずは、エビデンスの有無をチェックします。エビデンスがあれば良し、なければ、個人の経験で書かれているという前提で謙虚かつロジカルに書かれているかどうかをチェックします。個人の経験談にも関わらず、断言していたり、筋が通ってなかったりすると、怪しい著者枠に入れます。

ところで、以下の文章は「受験のプロ」と言われる松永暢史さんの本からの一節になります。

文豪といわれる作家の作品や、読み込んだ形跡のある文学全集が並んでいる家庭では、お子さんの指導にそう苦労することはありません。しかし、やけに本棚がカラフルで、「!」マークの多い背表紙が並んでいるのを見ると、教育熱心かもしれないが、何らかの情報に踊らされて、子どもに無理やり勉強させている可能性がよぎります。そして、その予想が大きく外れたことはありません。

(太字は原著通り)

私は、ここを読んで、「文豪の作品とか文学全集を人が見られる本棚に置いてある家庭ってほとんどないんじゃないだろうか」と思いました。そもそも、文豪の作品とか文学全集を今どき読む人が少ないだろうし、読んでいたとしてもわざわざ本棚に残しておくというのは日本の狭い家の貴重な収納スペースを無駄にし続けていることになります。筆者の松永さんが見たその家庭は、単に、十分な収納がある比較的裕福な家庭ではないだろうか、本棚のラインナップと学力の疑似相関を見ている可能性が高いのではないかなどと思いました。

ちなみに、私は、文豪の作品とかは高校時代から折に触れて読んでいますが、入手性が高いので、一度読んだら捨てるか、図書館で借りるようにしています。日本の作品なら青空文庫もあるし。カラマーゾフの兄弟はそんなに頻繁には読まない。

その上で、「あれ、待てよ?」と思って、本の表紙を見たら、タイトルは、『賢い子どもは「家」が違う!』で、黄緑色の背景となっていました。(引用箇所は、p.88)

「ん?」と思って、松永さんの他の本を検索してみると、Amazonに掲載されたいた70冊弱の本のうち、

  1. 男の子を伸ばす母親は、ここが違う!
  2. 中学入試国語選択問題ウラのウラ―難関中学もアッサリ突破!
  3. 女の子を伸ばす母親は、ここが違う!
  4. 親がお手伝いをさせた子どもは、絶対に頭がよくなる!
  5. 子どもをヤル気にさせる親は、ここが違う!
  6. 公立校で伸びる子はここが違う!
  7. 男の子はもっと遊ばせろ!―わが子を賢く育てる松永式育児本
  8. 子どもがグングン伸びる親の「この習慣」―わが子の“やる気”をどんどん引き出す!
  9. 結婚できない男は12歳までにつくられる!“難婚”時代の男の子育児
  10. こんな働く母親が、子供を伸ばす!
  11. 男の子を伸ばす父親は、ここが違う!
  12. 頭のいい子を育てる母親は、ここが違う! ~受験プロが明かす賢い母親の共通点~
  13. 子どもの論理力を鍛えるシリーズ 考える力を育てる メモするだけ! スラスラ作文術
  14. 男の子は10歳になったら育て方を変えなさい!
  15. パズルをやれば算数の成績がグンと上がる!
  16. 必殺 センター古文―あらゆる選択肢試験突破の極意はこれだ!
  17. 有名大附属高入試国語はこのパターンで解ける!―慶應高校 早大学院もこれで突破!
  18. 女の子は8歳になったら育て方を変えなさい!
  19. 大人に役立つ! 頭がいい小学生が解いているパズル
  20. 大人の脳を活性化! 頭のいい小学生が解いているヒラメキパズル
  21. 将来の学力は10歳までの「読書量」で決まる!
  22. 未来の学力は「親子の古典音読」で決まる! - 簡単、単純、誰でもできて国語力が飛躍的に伸びる -

以上の通り、私が目視で確認する限り、22冊は本のタイトルに「!」マークがついていました。結構な割合です。背表紙もかなりカラフル。虹を作れる。

松永さんの本は3年前にも紹介したんですけど、そのときには、

子どもへの読み聞かせのコツをまとめた『将来の学力は10歳までの「読書量」で決まる!』 - 斗比主閲子の姑日記

なお、そういう観点ではエビデンスに触れられていないのはわざとかもしれませんね。グラフや数字があるだけで、読むのを止める人はかなりいますから。読書習慣がない親向けの本としてはこれぐらいじゃないと厳しいところがあるのは理解できます。

こんな風にエビデンスがないことを理解しました。今回読んだ本にも特にエビデンスは触れられていません。

松永さんの本のタイトルには「!」が多くついていて、エビデンスがないことを考えると、松永さんの本ばかり本棚に並べているような親だと、何らかの情報に踊らされて、子どもに無理やり勉強させている可能性はあるのかもしれません。(参考「すべてのクレタ人は嘘つきだ」)

なお、我が家では、松永さんが他の本で推奨するように焚き火をよくしています。これは子どもの教育目的ではなく、私が火を見ているのが好きだからです。ついでに焚き火で料理をしています。要はBBQ。

BBQ

※「外で食べるご飯は美味しい」と子どもは言う。私もそう思う

しかし、他の松永さんの本も5冊ぐらいしか読んでいませんが、どれもエビデンスがなく、個人の限られた経験で語られています。こういう内容の本が70冊も世の中に出版されているわけですから、子どもの教育に悩む親が、エビデンスのある本に辿り着くのは至難の技ですね。

私が読んで来たもので、今ぱっと思い出せて、一般向けにも分かりやすく、エビデンスがちゃんと書かれた本はお勧めできるのは次のものぐらいでしょうか。未就学児までの育児のエビデンス集。

いまの科学で「絶対にいい! 」と断言できる 最高の子育てベスト55―――IQが上がり、心と体が強くなるすごい方法

いまの科学で「絶対にいい! 」と断言できる 最高の子育てベスト55―――IQが上がり、心と体が強くなるすごい方法

 

※正直、このタイトルと表紙だけでリアルな友達には絶対に勧めたくない

エビデンスがある教育法といっても、結局は大まかな傾向でしかないし、他人と比較するものじゃなく、その子自身にどう影響を与えたかを見るものですから、なかなか難しいんですけどね。

色々参考にしつつ、子どもをよく観察し、試行錯誤して我が家では育児に取り組んでいます。