日経がこんな調査をしていました。
夫は高い自己評価、妻はまだ不満 育児分担の理想と現実 :日本経済新聞
日経DUAL編集部はサイト創刊を記念し「子育て世代の意識調査」を行いました。対象は「0~12歳の子どもがいる男女」と「第一子を妊娠中の女性とその夫」2000人。「生活満足度」「夫がやっている子育て」「収入」「貯蓄」などについて、インターネット調査会社マクロミルの協力を得て調査しました[注]。
今回は子育て分担率の結果を公表しています。ざっくりまとめると、
・共働き家庭でも夫は子育て分担率が平均32%という認識
・平均ではどの家庭でも夫が思う夫の分担率は、妻が思う夫の分担率よりも高いこと
・妻としては夫の分担率を平均的にはもっと高くして欲しいと思っていること
といったところでしょうか。
この調査の面白いところは、
・共働きの夫でさえ自分の子育て分担率が50%に満たないという自覚があること
・妻が思っているのと夫が思っているのとでは夫の子育て分担率にはギャップがあること
というところが読み取れるところです。
この調査では、夫の育児分担率は平均的には高い状態ではなく、妻側からすると不満がある。これが、多くの家庭でも同じように起きていることなのではないかと思います。
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ということで、多くのご家庭でお困りであるかもしれない、家事、育児の分担方法について、我が家で気を付けていることを書いてみるのがこの記事です。
正解のない世界のことですから、ご自身の方針と異なっている場合は、そっ閉じを推奨します。
仕事でするように家事・育児を分担
基本スタンスは、会社で誰かと一緒に仕事をするときと同じと考えています。どうしたらお互いに気持ちよくやれるか、相手が上手くやれるようになるかというのが根底にあります。
お互いに働いた経験があれば、他人との共同作業は職場でのものが一番長いでしょうから、仕事のやり方と同じようにすることはお互いにとって理解しやすいと考えています。
突然頼まない
まず、何かやるべきこと、やってほしいことがある場合、脈絡なく頼まないようにしています。
同じ家の中にいるにせよ、相手が今どういう状態かは分かりません。突然言われた方は、他のことで手が埋まっているかもしれない。自分も今できないのであれば、その事情を極力説明し、相手の事情も確認するようにします。
もちろん、子供が突然発熱したような、緊急性が高い可能性があることでは、お互いに臨機応変に対応するのは大前提です。
命令口調で依頼しない
突然頼まないとも共通しますが、相手がどう受けとめるかを考えた時に、命令口調で依頼するのは避けています。
命令口調でなければやってくれないのだとしたら、それは家事・育児の分担について意識の擦り合わせができていないと考えます。まずは、そこを話し合うようにします。
事前にブリーフィングをする
家事・育児では、経験値の差から同じ夫婦でも、得意不得意があります。得意な人間が全て対応するというのでは分担にならないので、時には経験不足な方もある分野を担当することになる。
そんな時に、OJT型で、やってみさせて覚えさせるというものもあるでしょうが、得意な方としてはこうやって欲しいというものがあるはず。
事前に得意な方が、メモにするなり何なりして、その仕事のコツを形式知化して、ノウハウの共有をする、ブリーフィングタイムを設けます。
これで、任された方は失敗しにくくなりますし、任せる方も自分のやり方との違いが少なくイライラが少ない。
上手くいかなくても奪わない
ついやってしまいがちなのが、相手が失敗した時に、その仕事を奪ってしまうことです。
「そんなやり方じゃウンチが漏れる」と言ってオムツ替えを自分が代わりにやってしまうと、本人がコツを覚えようとする機会と自信を失います。
物の覚え方は千差万別。覚えるのに時間がかかるならばその成長を待つ。自分でできるようになると、その仕事に自信を持ち、積極的にやってくれるようになったり。
自分も初めての育児だと、全ての行為が子供の生死にかかわると思って、ゲップとか奪いたくなっちゃうんですけどね。(赤ちゃんの代わりにゲップするというわけではありませんよ!)
事後に(必要であれば)反省会をする
事前にブリーフィングをし、本人に任せるだけでも十分ですが、本人に成長欲求があるようであれば、もっとこうすると良くなるという点を伝えます。
あくまで本人に学ぶ気がある時で、聞く耳を持たない時にやると自分の仕事に難癖をつけられていると思ってしまい、やる気を失うことがあるのでタイミングは重要。
申し送りをする
途中で家事・育児をバトンタッチすることもあります。そういう時に、無言で渡すのではなく、一言何があったか申し送りをする。
「今日は昼あまり寝てないから夜は早目に寝落ちするかも」「オムツはつい30分前に交換したよ」「朝測ったら熱が38度あったから念のため昼過ぎにもう一度測っておいて」などなど。
全て察することができるならいいですが、夫婦といっても他人ですから、注意事項は言葉で伝える。
ホワイトボードにTo Doをリスト化して消し込むのもありですよね。
感謝する
一番最後に書きましたが、これが一番重要かもしれません。自分からパートナーに、パートナーから自分に、どんな時でも「ありがとう」と伝える。
毎食のご飯もそうだし、子供のお風呂、寝かしつけ、保育園の送り迎えなど、とにかく二人でお互いに相手を褒め合う。
褒められると調子に乗る人もいるかもしれませんが、ポイントはお互いに感謝するところ。感謝の気持ちを伝えると言われた方は嬉しいし、言った方は今度は自分が何かやらないとという心の枷を負います。
締め
育児番組などを見ていると、育児の専門家が「旦那さんは仕事だったらその程度の(手の抜いた)家事・育児をしないでしょ?仕事だと思って家事・育児に関わって!」と指南することがあります。
確かに、高いクオリティでやれれば言うことなしですが、職種によって働き方は違います。そもそも、クオリティ(アウトプット)を仕事と同じにするべきかという話もあったり。
プロがようやく成し遂げられていることを素人が簡単にできるとは思いません。ただ、クオリティはまだしも、分担の仕方・心構えはある程度基本的な所作はどんな仕事でも共通であり、家事・育児にも応用できると考えています。
追記
以下のようなブックマークコメントを頂きました。
分担とかの前に、全タスクの可視化と各種コスト見積もりが必要なんだけど、それ自体に結構手間がかかるので、進めてないケースが多そうな気もする。タスク一覧とか見ながらやればそれなりに進むのかも。
その通りだと思います。(topisyuも元記事のブクマコメントとして同じことを付けました。)まずは仕事の作業量とコストを可視化しなければ、たとえ分担をしても不公平感が残ったり、アウトソーシングの判断もしにくいですよね。これも、家事・育児を仕事のように考えれば出てくる発想の一つではないでしょうか。
追記の追記
id:yukixxx1226さんが同じことを同時に考えていらっしゃったそうです。どうして夫婦では仕事のようにできないのか言及されています。
家事育児の分担・実行も、仕事と捉える - yuki's blog...
仕事に置き換えるとかなりすんなり理解できたけど、
なぜ夫婦になるとうまくいかないのか考えてみたのですが、
- 仕事と家事育児の時の自分が別人になっている
- 夫婦だからわかると勝手に思い込んでいる
私の場合、この2点です。
これもその通りだと思います。家事育児では仕事の感覚を忘れ、パートナーなら分かってくれると甘えてしまう。家族だから分かってくれると信じたいのですが、この結果家事・育児の分担が上手くいかなくなり、自分に負荷がかかるのであれば、本末転倒ですよね。