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斗比主閲子の姑日記

姑に子どもを預けられるまでの経緯を書くつもりでBlogを初めたら、解説記事ばかりになっていました。ハンドルネーム・トップ画像は友人から頂いたものです。※一般向けの内容ではありません。

日経ビジネスはどういう狙いでこの記事を掲載したのだろうか!『女の人生の第一目的は家事・育児』『男にとって女は「お母さん」』

Twitterでお願いされたので、

この日経ビジネスオンラインの、競馬評論家の男性による記事について、モヤモヤ解説をします。

逃げる女性は美しい:日経ビジネスオンライン

お好きな人だけどうぞ。

 

と言っても、そんなに解説するまでもないというか、要は、

『女は家事・育児をするものだから、仕事もしようとするのはワガママである、人生の目的が定まっていない。仕事から逃げて、家事・育児に専念する女は美しい。男にとって女は母親なのである』

という今時思っていてもなかなかメディアでは言えない価値観を、別れた後にある種の男性が女性に送る独りよがりなポエミーなメール(ロミオメール)のような文体で、長々と、惜しげもなく開陳しているだけです。

ご本人としてはロミオメールというより、

物事の根底にあるものを見抜る洞察力

を持った、

パンクでシニカルな文体

だということですけれど。

(日経ビジネスオンライン上のプロフィールが、ご自身の公式サイトのプロフィールと同じ)

 

日経ビジネスオンライン上では掲載されてから一日経つと、会員登録をしていないと一ページ目以外が見られなくなります。これは考えようによってはとても親切な仕様で、この記事で言えば、一ページ目の、

 昨今の女性の多くは、どこかおかしい。
 僕の目には、おかしく映る。
 いろいろやりすぎているように思うのだ。
 もっと言うと、「やらされすぎてる」「やることが当たり前にされている」。

 仕事、結婚、子育て。(当然、家事も料理も付いてくる)
 この3つが、同時進行で普通に達成できる(ように見せかけている)世の中になっている。
 毎日の暮らしの中で、そう感じる場面が増えた。

 風潮も後押しする。

(中略)

 すると、風潮に乗って(図に乗って)、本当は「子育ては面倒くさいから放棄したい」という馬鹿者のワガママまで、なんとなく、許されてしまう。

ここまでで嫌な予感がプンプンするわけです。わざわざログインボタンを押さないと見られないということで、その後に続くポエムを読まないで済む。素晴らしいですね!

 

私は日経電子版、日経DUAL、日経ビジネスオンラインの購読をしており、自動ログインするようにしているので、依頼もあり、続きを読みました。せっかくなので、ポエムの最もたるところを引用して紹介していきます。

 

二ページ目はここですね。

 「私は万能、仕事もできるバリキャリで、美人で、中年だけどオバサンではなくて、家事や料理はてきとうにこなし~~」的な女は“何か”と闘っている。

 その何かは、わからない。
 世間体か、見栄か、男社会か。
 そういった何かなのだろう。

仕事をしている女性がこのようなことを信じているに違いないと考えて、何かと闘っていると設定しています。何と闘っているか分からないなら、自分の問題設定自体が間違っていると考えてもいいと思うんですけど。

 

三ページ目からはここ。

 北海道には、ある独特の光景がある。

(中略)

 雪道。ソリに、スーパーの買い物袋と、我が子を乗せて引っ張る女の姿は、バリキャリとは無縁だが、小さな少年の心の中には、一緒の思い出になる。
 それは、僕を含めた周囲の男たち、みんなが経験済みの、暖かい心の灯だ。

 男にとってお母さんは「お母さん」でしかない。
 愛を受け取って育まれた少年は、道を外れない。

"男にとってお母さんは「お母さん」でしかない。"というのは、女性はここに登場するようなソリで子どもを引っ張る「お母さん」であって欲しいという願いですね。著者自身がこういうことを経験済みだそうですから、"愛を受け取って育まれた少年は、道を外れない。"というのは自称だと考えられます。

(なお、一緒の思い出は一生の思い出の間違い?)

ご自身は道は外れていないかもしれないけれど、何かかからは外れているようには見えます。その何かは分かりませんが。

 

四ページ目は、

 「仕事も、恋も、結婚も、出産も、遊びも、旅行も、全部上手く行く美人♪」
 これだと、さすがに何がしたいのかわからない。ブレッブレにブレている。

ここですかね。本当に一体誰と闘っているんだろう。

 

最後の五ページ目からはここ。

 男たちは、「その人は、何を諦めることができるか」で、相手を選ぶべき時代になっていると感じる。

 人間は万能にはなれない。
 できる女は、逃げている。
 ブレずに、ちゃんと。
 蔓延るバカから逃げている。

 バリキャリの女上司が「産んだらすぐに戻りましょう、そういう時代です、ウチは育休制度もカンペキ♪」と、言うかもしれない。

この途中の四フレーズがいいですよね。

この人がどんな女性と結婚したいかを語るのは別におかしなことではないですけど、これを男性一般がそうするべきだか、そういう時代だとかとするのは、ご自身が設定している仮想バリキャリ女性上司と言っていることはあまり変わらないように思いました。

 

こんなところです。もっと読みたい人はぜひ日経ビジネスオンラインに登録してください。

 

バリキャリ女性に何か嫌な目に合わされたことがあるのではないかと思うぐらい、なかなかこじれた文章ですよね。ただ、そのバリキャリ女性にしてもありきたりで物凄く薄っぺらな描写なので、恐らく実際の誰かというよりも、想像上の産物なのではないかという印象を受けました。

普段は、

 競馬と言っても、ザ・ギャンブル本みたいなものを書いているわけではなく、だからと言って騎手の太鼓も持たず、馬券にも繋がる競馬評論本を書いております。

ということですから、逃げる女性というタイトルを見たときにはテスコガビーの話でもするのかなと思ったんですけどね。牝馬の逃げ馬は珍しいなって。実際は、競馬にほとんど絡まない、ポエムが続く。

ご自身で、

 呆れるような物言いも、呆れながらお読みください。
 では、第1回、行きましょう。

と仰っていますし、呆れた人はそれで諦めちゃっていいように思います。

 

それにしても、日経ビジネスオンラインの編集者さんはいったい何を狙って、この文章にゴーサインを出したんでしょうね。

 

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※逃げ馬と言えばサイレンススズカ。

 

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