斗比主閲子の姑日記

姑に子どもを預けられるまでの経緯を書くつもりでBlogを初めたら、解説記事ばかりになっていました。ハンドルネーム・トップ画像は友人から頂いたものです。※一般向けの内容ではありません。

なんで分かってくれないのと思っているなら分かり合うなんて夢のまた夢

時々、「なんで自分の気持ちを分かってくれないの!?」と仰っている人を見かけますが、そういう風に思っているうちは、ある程度お互いに相手を想像できる状態に持っていくのは厳しいですよね。相手が自分を分かってくれないのと同時に、自分は相手がなぜ分からないかが分からないんですから。

などと、禅問答風に書いても、「なんで分かってくれないの!?」を連呼することが果てしない回り道であることは伝わらないでしょうから、もう少し丁寧に書いてみます。

元ネタはこちらです。

夫に妻の大変さを理解してもらうのは無理なのかも - 仕事は母ちゃん

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photo by Kalexanderson

 

想像できることには各人限界と得意不得意がある

まず、相手がどうしてそういうことをするのか、相手が何を考えているか、想像ができる対象というのは、人によって得意不得意があるということから書きます。

想像ができる範囲が広い人は、相手がどう考えているだろう立地点に立つまでのロジックを積み上げるのが得意か、同じ状況を数多く経験しているか、どちらかがあるか、両方があるかです。

極端な例を出すと、動物園のイルカの気持ちが分かるかと言えば、動物園という環境についてとイルカの特性からロジックを積み上げられるか、自分が閉鎖された環境に長くいた経験があるか、そういう人であればある程度想像ができる部分が多いんじゃないかと言う話です。

ロジック派はオールラウンダーですがそれができる人はそんなに多くなくて(感情をロジックで積み上げるのは要素が複雑なのでかなり難しい)、経験派の方が多いと思います。経験派は同じ経験をしないと状況が想像できないので、個人の限界というところもあり、不得意分野が出てくるわけです。

これで、何が言いたいかと言えば、相手の状況をある程度のところまで想像できる人と言うのはそんなに多くないんじゃないですかということですね。限定された条件なら別として。

子育てをママ友に愚痴るのは、子育てに関してはママ友が経験値を踏んでいるから想像してくれやすいようでいて、ママ友同士でも、専業主婦とシングルのワーママでは噛み合わないなんてのもよくある話。似たような属性で全て想像できるわけじゃない。

 

想像したとしても100%は一致しない

もう一つ、この話をするときに押さえておいたほうがいいと思うのが、相手の気持ちは100%は想像できない(=自分のことを相手が100%理解できることはない)ということです。

最初の話と矛盾するじゃないかと思われるかもしれませんが、"ある程度想像できる"と書いていますのでお許しください。想像できるレベルにも限界があるんですよね。

先ほど出した極端な例を続けると、イルカの気持ちを100%トレースできるかという話です。まあ、まず無理ですよね。では、同じ人間なら可能じゃないかと言えば、言語が違えばかなり厳しいのは理解しやすいでしょうし、文化圏の違いもあるあるな衝突要因だとは想像しやすいはず。

また、人は肉体的な状態が考えていることに結構影響を与えることもありますしね。同じ人間に、ある何かをインプットしたら、必ず同じアウトプットが出てくるわけではないです。言語で気持ちを表現できる限界もあります。言語化できる感覚というのはそんなに多くないです。

ロジック派にしても、経験派にしても、かなり良いところまで辿り着くことはあっても、毎回100%相手の気持ちは分かるわけではない。いいところまで辿り着いたら万々歳です。

 

分かってくれない人の対処法

だから、何が言いたいかというと、「なんで分かってくれないの!?」で、本気で分からせたかったら、相手がロジックを構築するのを手伝うか、相手に同じ経験をさせたらいいという話です。

ロジック構築を手伝うのは簡単かと言えば凄く難しくて、そもそも自分の気持ちがどう変わっていったかを言語化しないといけないんですよね。「私があなたに掃除機を片付けなかったのを怒ったのは、今日姑が来るからで、姑はそういったところを細かく見ていて隙あらば『嫁子さん!』と姑チェックをするのが想像できるから」とか、「怒ったのは、この前同じことをしたときにあなたは『次はしないから』と言ったから」と、個別の事象について流れを説明しないといけない。これをいつもやるのは結構難易度高いですよね。

経験させる方も、同じ経験を相手にさせるわけですから、根気がいります。

「なんで分かってくれないの!?」を繰り返したところで、相手は「これをしたらこう怒る」という、ごく表面的な1:1の関係を理解するぐらいです。「手作り弁当を批判したら母ちゃん怒るんだな」であって、「母ちゃんはいつも俺たちのことを気にしてくれている。感謝の気持ちを持たないといけないな」とまで昇華できることには簡単には繋がらない。

「なんで分かってくれないの!?」が、相手に自分のことを理解をさせるには、あまりよい方法ではないというのはご理解いただけますでしょうか。

 

分からないことを諦めちゃえばいい

ということで、分かってもらう状態というのを満足できるレベルで自分と相手で維持し続けるのは、相手に素地がないと結構な手間なので、選択肢の一つとしては、分かってもらうことを諦めちゃってもいいんじゃないかと思います。

もう共感してもらう努力は諦めて、例えば、ブックマークコメントにもあるように「大変だね」「ありがとう」を機械的に言うのでも、言われた方はある程度満たされるものがあります。

はてなブックマーク - 夫に妻の大変さを理解してもらうのは無理なのかも - 仕事は母ちゃん

説明する苦労が大変なのと、それでも100%は理解してくれないという前提に立てば、そういう落としどころでもいいかなと思えてきますよね。気分が良ければそれで困ることはない。自分のために苦しんでいるのが見たいというのなら話は別ですが。

 

締め

元記事を書いたid:plutanさんと自分はネット上でのやり取りがもう2年ぐらい続いており、お互い相手の考えを知っている度は高い方です。それでも、id:plutanさんがなぜこの記事を書いたかを想像しても、いつもの旦那さんへの惚気の延長だろうということぐらいしか頭に浮かびませんでした。どうせ離婚まで考えないだろうとか。

自分がこの記事を書いたのもタイトルだけ最初に思い浮かんで、それなりの文字数になりそうだから書いてみるかと暇つぶしに書き始めたら以外に書けたので投稿してみただけです。コマッチャの習性みたいなものです。歩くアドバイス罪。(ちなみに、イルカを例にしたのは、id:kanoseさんが『ナチュン』を紹介されていたからです。)

どれだけ大量に情報があっても、理解できる範囲は限定されているので、だからこそ、自分がどこまで分かる部分があるのかを考えてみるのは面白い娯楽だと個人的には思いますけどね。

 

追記

想像していた通りid:plutanさんに誤読されたので補足しておきます。このやり取りはかなり気持ち悪いのでお好きな人だけどうぞ。

 

 

 

元ネタがid:plutanさんの記事なだけで、id:plutanさんが「なんでわかってくれないの?」を連呼する人と受け止めてはいません。id:plutanさんへのメッセージではないから、"元ネタ"と冒頭で紹介しています。(他のブコメの方に対するメッセージかとも思いましたが、この記事にブクマした直後のTweetですから、これはtopisyuの記事への感想でしょう。)

id:plutanさんならいつものように行間を読まずにコメントされると予想していたので、

いつもの旦那さんへの惚気の延長だろうということぐらいしか頭に浮かびませんでした。どうせ離婚まで考えないだろうとか。

と書いた背景を想像してみました。自分は、(誤読も含めて)このやり取りで人が分かり合える可能性はあるなと思いました。(保守的に見れば、自分が相手をかなりのところまで分かる可能性。)

それと、

それはそうだと思いますけど、"度を過ぎる"状態をまずは思い浮かべるのもid:plutanさんらしくて面白いですね。自分なんかは、認めてもらいたい人の欲求をどう満たすかを考えちゃいます。支配欲だろうがどうでもいい。

topisyuとid:plutanさんはどちらも子育て中のコマッチャではてな匿名ダイアリーでよく叩かれているという共通点があるのですが、さらにこれまでの二人のやり取りについて興味がある(珍しい)方がいらっしゃったら、こちらの記事の真ん中の方を読んでみて下さい。

野次や文句を読むために文章を書いています - 斗比主閲子の姑日記