斗比主閲子の姑日記

姑に子どもを預けられるまでの経緯を書くつもりでBlogを初めたら、解説記事ばかりになっていました。ハンドルネーム・トップ画像は友人から頂いたものです。※一般向けの内容ではありません。

かんぽ生命での不正の動機は①ノルマ、②上からの圧力、③お金、④表彰の順

かんぽ生命の不正調査報告書が公表されて、今読んでいる人は結構いると思います。私もその一人です。

「かんぽ生命保険契約問題 特別調査委員会」からの報告について - 日本郵便

150ページ以上のボリュームで、かんぽ生命という会社のビジネスモデルや従業員の仕事のスタイルや組織体制がつまびらかに書かれているため、読み応えがありすぎます。超面白い。

まだすべては読んでいませんが、興味深かったところを簡単に紹介します。今回の不正は全社的に行われていたわけですが、どうして従業員が不正に手を出したか、複数回答で動機を回答しているものがありました。

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※調査報告書の100ページから

個人目標はノルマですね。で、上司等からの圧力がその次、募集手当というのは成功報酬みたいな形でお金をもらえるもの、選奨というのは表彰です。会社の中で評価されていた人ほど、これらの動機を強く受けていたことが分かります。

自由回答も載っていて、優秀な人は、

②「一度、営業手当がたくさん付いて1000 万円プレーヤーになってしまうと、翌年以降、生活レベルを落とせなくなるといった理由から、翌年の収入についても同レベルを維持ないし微減にとどめておきたいという心理が働く。」(募集人経験者) 

こういう動機があったとか。生活レベルって落としにくいんですよね。 

で、成績が優秀でない人の場合は、

①「支社の課長が、管内の郵便局を巡回し、朝礼等の機会に社員全員の面前で、低実績者に対し、名指しで責めたり、『お前は寄生虫だ。』などと叱責したりということがあった。これが原因で、精神的に追い詰められている社員もいたし、実際、その場で泣き出す女性社員や、それを理由に退職した女性社員もいた。不適正募集をした人の中には、そのような仕打ちをされるのが嫌だったという動機の人もいたと思う。」(保険募集人経験者)

こういうプレッシャーを強く感じていたらしい。

人間、インセンティブの与え方次第で悪事を働くということですが、邪悪な制度設計は撲滅されるべきですね。従業員を劣悪な環境に置いているサービス・商品は私は利用しない方針です。