日産のカルロス・ゴーン氏が有価証券報告書の虚偽記載で逮捕されたことが先日報道されました。私の仕事関係や友達でもこの件を話題にする人が多いため、衝撃は相当なようです。
カルロス・ゴーン氏の疑惑自体は、せいぜい100億円に満たない金額ぐらいのことで、大王製紙の井川元会長の106億円と同規模のことでしょうから、個人的には特にどうでもいいです。
カジノで106億円熔かして服役、大王製紙前会長のオーナー経営者論 | 『週刊ダイヤモンド』特別レポート | ダイヤモンド・オンライン
サラリーマン経営者のトップだと珍しいですけど、オーナー系企業だと、こういうことは巧みにやっていますよね。会社経営者には、世界各国年齢性別問わず、会社のお金を自分のお金だと勘違いしている人は結構います。会社の従業員を自分の小間使いと考えている人もいますね。
それはそれとして、個人的に気になったのは、数十億円に渡る役員報酬の有価証券報告書の虚偽記の方です。
会社のリリースの中で、
当社代表取締役会長らによる重大な不正行為について - 日産自動車ニュースルーム
日産自動車株式会社(本社:神奈川県横浜市西区、社長:西川 廣人)は、内部通報を受けて、数カ月間にわたり、当社代表取締役会長カルロス・ゴーン及び代表取締役グレッグ・ケリーを巡る不正行為について内部調査を行ってまいりました。
その結果、両名は、開示されるカルロス・ゴーンの報酬額を少なくするため、長年にわたり、実際の報酬額よりも減額した金額を有価証券報告書に記載していたことが判明いたしました。
(中略)
このような事態に至り、株主の皆さまをはじめとする関係者に多大なご迷惑とご心配をおかけしますことを、深くお詫び申し上げます。早急にガバナンス、企業統治上の問題点の洗い出し、対策を進めてまいる所存であります。
有価証券報告書に実際よりも少ない役員報酬額を記載していたこと自体は会社がすでに認めていることなので、各種ニュースで報道されているカルロス・ゴーン氏の不正行為と異なり、この点は確実なことでしょう。金額は正式にはまだ公表されていませんが、数十億円規模のようです。他には、ベンチャー投資の目的で作った海外子会社経由で、カルロス・ゴーン氏の私邸を購入していたというのもあったそう。期間は2010年ぐらいから。
皆さんご存知の通り、有報作成には相当の人数の人間が関わりますし、監査法人が監査した後で公表されるものです。これだけ分かりやすいことを長年続けてきて、今回逮捕された2名以外の、他の会社の人間や監査法人がどちらも気付いていなかったというのは個人的には信じられません。
こういうことが長年放置されていたとなれば、企業の企業統治体制・コンプライアンス体制に相当不備があるんじゃないかと思われます。問題があることを会社の中で公に議論することができなかったのでしょうから。
今後、社外取締役を中心にして調査を行っていくということですが、企業風土にどんな問題があったのか、どうしたら改善できるかについて、是非明らかにしていただきたいところです。他の企業の処方箋兼警笛になる。