毎年恒例の、厚生労働省による「国民健康・栄養調査」で、直近平成26年の調査項目に世帯の所得が含まれた結果、
『平成 26 年国民健康・栄養調査結果の概要』(厚生労働省)
ウ.生活習慣調査票(20 歳以上)[自記式調査]
食生活、身体活動、休養(睡眠)、飲酒、喫煙、歯の健康等に関する生活習慣全般を把握した。また、平成 26 年は重点項目として、世帯の所得について把握した。
世帯年収が低ければ低いほど栄養価バランスの悪い食事をとっているという、やっぱりそうだったんだということが分かりました。
こういうのニュースは見ても、国の調査結果そのものを見ようとする人は案外少ないので、せっかくなので、どんなことが書かれていたのか、簡単に紹介しておきます。
※ 「食事ではエネルギーさえ取れればいい」
以下、調査の概要が書かれていた部分の引用です。
1.所得と生活習慣等に関する状況
世帯の所得別(200 万円未満、200 万円以上~600 万円未満、600 万円以上)に、世帯員の生活習慣等(食生活、運動、たばこ、飲酒、睡眠、健診、体型、歯の本数)の状況を比較した結果は、以下のとおり。
1. 穀類摂取量は、世帯の所得が 600 万円以上の世帯員に比較して、男性では 200 万円未満と200~600 万円未満の世帯員で有意に多く、女性では 200 万円未満の世帯員で有意に多かった。また、野菜類及び肉類摂取量は、男女とも世帯の所得が 600 万円以上の世帯員に比較して、200 万円未満と 200~600 万円未満の世帯員で有意に少なかった。
2. 運動習慣のない者の割合は、男女とも有意な差はみられなかった。また、歩数の平均値は、男女とも世帯の所得が600万円以上の世帯員に比較して、200万円未満の世帯員で有意に少なかった。
3. 現在習慣的に喫煙している者の割合は、世帯の所得が 600 万円以上の世帯員に比較して、男女とも 200 万円未満と 200~600 万円未満の世帯員で有意に高かった。
4. 生活習慣病のリスクを高める量を飲酒している者の割合は、世帯の所得が 600 万円以上の世帯員に比較して、男性では 200 万円未満の世帯員で有意に低く、女性では有意な差はみられなかった。
5. 睡眠による休養が充分とれていない者の割合は、男女とも有意な差はみられなかった。
6. 健診等の未受診者の割合は、世帯の所得が 600 万円以上の世帯員に比較して、男性では200 万円未満と 200~600 万円未満の世帯員で有意に高く、女性では 200 万円未満の世帯員で有意に高かった。
7. 肥満者の割合は、男女とも世帯の所得が 600 万円以上の世帯員に比較して、200 万円未満の世帯員で有意に高かった。
8. 歯の本数が 20 歯未満の者の割合は、世帯の所得が 600 万円以上の世帯員に比較して、男女とも 200 万円未満と 200~600 万円未満の世帯員で有意に高かった。
(赤字は筆者)
大体想像通りの結果ですよね。先進国はどこでも同じっぽい。飲酒がちょっと意外だけど。
なお、この調査は因果関係を明らかにするものではないですから、野菜・肉を食べていないと低所得になるとかそういうことは分かりません。
この結果については、自分は、料理は文化資本と呼ばれて久しいですし、親の学歴と子供の年収の相関関係も色んな国で確認されていますし、お金があることで子供の時に良い教育を受けられて年収も高く、色々気を使えるようになるということなんだろうなと個人的には考えています。
だから、料理は誰でもできるとか、できないのは本人の努力不足だとか、肥満や不健康が自己責任だという考え方はあまり好ましくないなと考えています。やはり、環境的な要因でそうなってしまっている部分はあるし、自己責任に終止してしまうと機会を均等にせず格差を固定することに繋がるリスクが残りますから。