たまたま、『アラサーちゃん』の峰なゆかさんの、このTweetによる言及で、
「痴漢されるくらい女性として魅力的なのだから喜べ」理論。 https://t.co/J8m4yXhn56
— 峰なゆか (@minenayuka) 2015, 8月 15
そもそも峰なゆかさんはご自分の設定が他の作家に使われたことで、何かほんの少しでも損をするのだろうか。むしろ、コンセプトを真似されるくらいすごい作家という評価がなされるのではないか。「同じコンセプトで来たか。よーし、本家として絶対負けないぞ」くらいの意気込みで勝負すればいいのでは。
— 須賀原洋行天国ニョーボ1巻8月28日発売 (@tebasakitoriri) 2015, 8月 15
『気分は形而上』『よしえサン 』の須賀原洋行さんがTwitterをやっていることを知りました。
須賀原さんのTweetの方に飛んでみたら、この後、峰なゆかさんをフォローしている、自称17歳の女子高生と須賀原さんがやり取りをしていまして、
@pomiinmnm 「人としてすべきでないこと」ではない、ということを昨夜はたくさんのツイートでもって自分の実例も挙げて詳しく述べております。もしよかったらそれにも目を通していただければ幸いです。
— 須賀原洋行天国ニョーボ1巻8月28日発売 (@tebasakitoriri) 2015, 8月 16
須賀原さんが"自分の実例も挙げて詳しく述べております"と書かれていたので、何のことだろうと思ったら、
私が『気分は形而上』という作品の中で「実在OL」という4コマシリーズをスタートし、人気が出始めたところで、同じようなコンセプト(OLあるあるネタ)でタイトルに学問的な用語が入った4コママンガが同じ雑誌内で新連載になった。そこで私が「パクリだ」と騒いでいたら、恥をかいたのは私だろう
— 須賀原洋行天国ニョーボ1巻8月28日発売 (@tebasakitoriri) 2015, 8月 15
こういうことでした。
『気分は形而上』と同時期にモーニングで連載されていて、学問的な用語が含まれたOL漫画と言えば、秋月りすさんの『OL進化論』でまず間違いないですよね。どちらも90年前後に一世を風靡した4コマ漫画です。
気分は形而上 - Wikipedia、OL進化論 - Wikipedia
どちらの作品も好きなんですが、言われてみればというか、言われてみなくても、『気分は形而上』のOL漫画人気があって、『OL進化論』があったわけですね。絵柄がかなり違うので、まったく意識していませんでした。
※左が『気分は形而上』の実在OL。右がOL進化論のOL。『気分は形而上』の実在OLは須賀原さんの、今は亡くなられた奥様をモチーフにされたものです。須賀原洋行氏の「実在ニョーボ」こと、よしえサンについて - Togetterまとめ
それにしても、今年56歳になる漫画家歴30年の須賀原さんと、17歳の受験生の女子高生が、直に気軽にやり取りできているのだから、ネットは凄い。女子高生のほうは、いわゆるネット右翼みたいな感じで、須賀原さんは須賀原さんで結構政治的なTweetをしています。そういう背景もあってなのか、上記に紹介した以外でもかなりやり取りがあってもほとんどまともに会話が成立しておらず、ネットでよく見かける文化衝突となっていました。
安倍さん愛してる、もう結婚して本当に。チョンはずっと謝罪、謝罪とほざいてるけど、もう何度もしてるだろ?てゆーか、あの時は世界みんなが戦争、戦争ってなってた時代なの!アメリカも悪い、日本も悪い、お前らも悪いの、みんな悪かったの。みんなで反省して、前進しよう? #安倍総理応援団
— ぽみいのむのむ (@pomiinmnm) 2015, 8月 15
ネトウヨが先かネトサヨが先かをふと考えてみた。90年代初めにパソ通を始めた頃、最初に見た声の大きい人々は、反捕鯨活動家、フェミ活動家、韓国人のショーグン、グレイな北朝鮮系の人などだった。保守的な意見の人はすぐさま叩き潰されていた。ネトウヨが出てきたのは小林よしのり作品以降かな。
— 須賀原洋行天国ニョーボ1巻8月28日発売 (@tebasakitoriri) 2015, 8月 16
時々書いていますけど、前提条件が共有されていない者同士が一からコミュニケーションを成立させるのは大変ですからね。特に今回は須賀原さんが痴漢支援者みたいに紹介された上で、痴漢被害に遭いやすい女子高生属性の女性がそれに反応しているわけですから、最初からこじれている。
こういうのを眺めるたびに、不快だなとか意見が合わないなと思ったら、よほど暇な人で、ネットバトルが好きでもなければ、ブロックなりなんなり、非表示にしたほうがいいんじゃないかと思っています。
ちなみに、漫画のコンセプトが似ている問題については、自分はプロの表現者ではなく特に語るべきものを持ちあわせていないのですが、峰なゆかさんの『アラサーちゃん』についても瀧波ユカリさんの『江古田ちゃん』に似ていることを峰なゆかさんが認識していたり、
「江古田ちゃんに似てる」「パクリじゃね?」と大評判の4コマ漫画『アラサーちゃん』更新しました! アラサーちゃんはどちらかというと猛禽です。「*肛門*」の巻。http://d.hatena.ne.jp/nayukamine/
— 峰なゆか (@minenayuka) 2010, 11月 27
そして、瀧波ユカリさんもこういうことを書かれていますし、
私もそう思う!古事記と日本書紀みたいな関係なんだよ!(詳しく知らないけど)RT @orangewood_ 江古田ちゃんとアラサーちゃんは併用するものだよ。対立させるものじゃないよ。
— 瀧波ユカリは食欲魔人 (@takinamiyukari) 2013, 9月 1
(古事記と日本書紀の関係をどう解釈するかは色々あるものの)『気分は形而上』と『OL進化論』の関係のように、業界的にはままあることだと認識されており、(著作権法的に問題がなければ)基本的には面白いが正義!という扱いなのだろうなと見ています。瀧波ユカリさんの『臨死!!江古田ちゃん』は、モーニングと同じく講談社が出版するアフタヌーンで2005年から2014年まで連載されていました。『アラサーちゃん』は、はてなダイアリーで2010年10月14日から。
『アラサーちゃん』自体についてはオマージュの範囲として、
この四コマの一コマ目に登場するのは、
日刊ゲンダイで連載されていた『やる気まんまん』のオットセイだったり、四巻の表紙は、リトルツインスターシスターズ(キキララ)に見えますね。アラサーちゃんの普段の髪の毛の塗り色は紫のはず。こういうのはパロディとして一般的だと思います。ビートルズの『アビーロード』みたいな感じでしょうか。
キャラクターの著作権については、ゲームとマンガの話であるものの、押切蓮介さんの『ハイスコアガール』が最近の事例として有名だと思います。
※SNKプレイモアは今年8月に中国企業に買収されたことが公表されました。
話を戻しまして、元の話題になったグルメ漫画については、特にここ数年流行っているジャンルですよね。似たような設定、コンセプトの作品はよく見かけます。例えば、1994年連載開始の『孤独のグルメ』(及び2009年連載開始の『花のズボラ飯』)がなければ、(こう言って問題ないと思いますますけど)今人気になっている2011年連載開始の『ワカコ酒』はなかったんじゃないでしょうか。
※どうでもいいですけど、孤独のグルメの五郎は独身で下戸、花のズボラ飯の花は主婦で飲める口、ワカコ酒のワカコは独身でかなりの酒好きです。ワカコは、孤独のグルメのように実在の店舗で食事をするわけですが、お酒の場ではお酒に集中したく、くどかれることは望まない。
個人的にグルメ漫画の中では、めしばな刑事タチバナが好きです。購入しやすい実商品や、身近なチェーン店が紹介されているので、自分も追体験しやすい!友達とめしばなができる!!
めしばな刑事タチバナ 1 [立ち食いそば大論争] (トクマコミックス)
- 作者: 坂戸佐兵衛,旅井とり
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2011/03/30
- メディア: コミック
- 購入: 6人 クリック: 115回
- この商品を含むブログ (67件) を見る
以上です。
著作権の非親告罪化の議論もあったり、日本では例のイベントが年に二回あったりすることから、この種の話題はこれからもずっとWebで盛り上がり続けると思います。
ああ、最後に、関係ないですけど、漫画話として、文化庁メディア芸術祭マンガ部門部門賞を『アオイホノオ』で受賞した、島本和彦さんの描く漫画も大抵好きです。
シマラキルの中身は大体こんな感じです ネタバレにならないように(笑) http://t.co/x7fGRcnycv
— 島本かず彦 (@simakazu) 2013, 12月 27
今回の夏コミの ラ!本 の表紙絵です‼︎こんな感じになりました(笑)!!!! pic.twitter.com/zl7qE729C2
— 島本かず彦 (@simakazu) 2015, 8月 13