斗比主閲子の姑日記

姑に子どもを預けられるまでの経緯を書くつもりでBlogを初めたら、解説記事ばかりになっていました。ハンドルネーム・トップ画像は友人から頂いたものです。※一般向けの内容ではありません。

Q.幼稚園のママ友からのクレーム「おたくの息子さんがうちの子に暴力を振るっている」への対処は? ⇛ A.直接対話は避けましょう!

今週は、モヤモヤ特集ということで、読者からメールでいただいたモヤモヤする相談を三日連続で紹介していきます。初回は、幼稚園でのママ友トラブルです。比較的軽めで、結果報告もあります。面白いですよ。 

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photo by paul david (busy running!)

 

 

相談内容

斗比主閲子様

はじめまして。高橋と申します。
いつも斗比主様のブログを拝見しております。
突然のメールをご容赦ください。
息子の友達とそのお母さんに対してモヤモヤがございます。
斗比主様のご意見をお聞かせいただければ幸いです。

***

私には5歳の息子がおります。

以前から仲良くしていたお友達(以下A君とします)のお母さんから、以下のとおりのクレームがありました。

  • A君が息子から「他の男の子と遊んだらもう友達じゃないからね」と言われ、他の子とも遊びたいの遊べなくて困っている。
  • 息子が、A君が仲良くしようとする友達に石を投げたり突き飛ばしたりしている。被害者は一人二人でなく、まわりの友達も我慢している。
  • 息子には友達がいないので、A君もその点を考慮してきたが、さすがに石を投げたり突き飛ばしたりは他のお友達まで傷つけるので困る。
  • ママから先生に言ってやめさせてほしいとA君が言っている。
    (A君のお母さんが現場を見たわけではなく、A君から聞いた話)

しかし、息子本人に確認したところ、A君にお友達じゃないというようなことは言ってないし、他の友達に石を投げたりもしていない、と全面否認でした。

また、幼稚園の担任の先生にしたところ、

  • A君のお母さんから、A君が困っているとは聞いたが、石を投げたりというのは聞いていない。
  • むしろA君が息子に寄っていくところを見るくらいだ。
  • 息子が石を投げたり突き飛ばしたりについては見たことも聞いたこともない。
    (そういったことがあれば、被害を受けた子から大抵は話がある)
  • 他のお母さんからそういった話も上がってきていない。

とのことでした。

さらに、他のママ友1名に確認したところ、そのような話は聞いたことがない、とのことでした。

もちろん、息子が、母親に見せる顔と幼稚園での顔は異なることがよくある、ということは承知しておりますが、それでも、臆病なタイプの息子がそんなことをするか…?(恐らく、上記だけでは、息子がジャイアンタイプの子のように見えるかと存じますが、私から見る息子はそのようなタイプではありません。むしろ私は、いつかA君から息子がいじめられるのではないかと心配でした)

息子は認めていないし、他からも事実確認がとれないし…、と大変モヤモヤしております。このような場合、一体私はどのような対応をとるべきでしょうか。

これだけではご判断が難しいのであれば、また詳細についてメール致します。

ご多用中かとは存じますが、何卒よろしくお願い致します。

高橋

 

回答

高橋さん

メールいただきありがとうございます。

こういう風に申し上げると拍子抜けしてしまうかもしれませんが、比較的解決は簡単なトラブルだと思います。よくあるものですね。

 

1. 問題の整理

このトラブルを整理するとこんなところでしょうか。

(1) 高橋さんの息子さんとA君の間には何がしかのトラブルがある

(2) A君のお母さんはA君からの情報だけで、高橋さんの息子さんに問題があるとクレームを言っている

(3) 一方で、高橋さんが確認した限り、幼稚園の先生とママ友一人は高橋さん側に問題があるとは認識していない

 

2. 問題の原因

整理したうえでのポイントは(2)です。

高橋さんが高橋さんの息子さんを贔屓目抜きにしても問題があるとは思わないように、A君のお母さんも自分の子どもに問題があるとは思っていません。

園や学校の親同士のトラブルというのは、

  • 子ども同士の(いじめとはいかない)些細なトラブルについて
  • 自分の子どもの主張を一方的に聞いた親同士が
  • お互い正確な情報を知らずに相対することで生まれるもの

が多くあります。

親としては、自分が子どもの最後の砦になってあげたいという気持ちがあるでしょうから、そういう気持ち自体は否定されるべきものではないため、正義同士がぶつかり合う悲劇のような側面があります。

 

3. 解決策

従って、この種の子ども同士のトラブルに端を発した親同士のやり取りを解決する方法は、高橋さんが(3)で確認したことから派生しますが、第三者を介入させることです。

方法としては、幼稚園の先生に事情を話し、A君お母さんとの話し合いに立ち会っていただくことをお願いし、A君お母さんにも「詳しい事情を聞くためにも、先生も絡めて三人でお話ししませんか?」と伝えるというものです。

経験豊富な先生であればこの種のトラブルの解決というのは手馴れています。子ども同士が喧嘩をするのも日常的に目にしてきているものです。先生としても、親同士がいがみあうのは子どものために好ましいとは考えておらず、業務の一環としてこういった問題を対処する必要があるという認識があると思います。

子ども同士のトラブルの処理に慣れていない親同士が互いに色々やり取りすると、下手をすると、ボスママ争いじゃないですが、お互いに親の中で敵と味方を作って対抗しあうことにもなりかねないので、個人的にはお勧めしません。

topisyu

 

結果報告

先日、ご相談させていただきました高橋です。その節は大変お世話になりました。一応終息しましたのでご報告申し上げます。

昨日、A君のお母さん、担任の先生と私の3人で話し合いをしました。担任はA君のお母さんと園長と3人でまず話を、と言ったそうですが、A君のお母さんがそんな大げさな話じゃないと止め、A君のお母さん、担任の先生と私の3人で話すことを希望なさったそうです。

以下、長いですが話し合いの内容を列挙します。A君のお母さんは、特に怒っているとかヒステリックである等の様子はなく普通でした。

  • 息子がA君をつきとばしたのは、以前参観日の際に見たのだが、つきとばしたというよりも、A君が他のお友達と並んでいたところに息子がぐいぐいと割って入ってお友達を押しのけたような感じ。
  • 友達のいない息子はA君と遊びたいあまり、他のお友達と遊ぼうとするA君の腕を引っ張るので、A君がストレスを感じている。
  • また、息子は、自分が遊具に登れないからと、遊具に登ろうとするA君を引きずり降ろそうとする。
  • 石を投げたのは砂場。投げたというか、石を持って振りかぶっただけ。そこでA君が息子を止めたから。
  • (息子から被害を受けた子は誰なのか私が尋ねると)「Aの周りにいるお友達たくさん」
  • (他のお母さんからも話が幼稚園に行っているはず、ということについて私が尋ねると)「そんなこと言ってない~、そうじゃなくて、私に話が来てるってこと」
  • (他のお母さん方から話をお聞きになったということですか?と私が尋ねると)「ううん、違う違う、私に話が、ってこと」(※意味不明であるし、言った言わないになるのでこの点についてはそれ以上突っ込むのはやめる)
  • (先生が、私がきちんと見切れてなくて申し訳ないとおっしゃると)「ほんと、やっぱり先生がちゃんとしっかり見ててくださらないと。」「でも過去のことはどうでもよくて。子供のことだからよくあることだし。Aにもそんなことがあったから。息子くんはそれが今来たってことだけだし。ちょっと遅いと思うけど。」「だから、大事なのは、これからみんなと仲良くするにはどうしたらいいか考えることでしょう?どうして息子君には友達がいないのかしら先生?」
  • (それは子供それぞれですから、という趣旨のこと先生がおっしゃり、私も、息子には息子のペースがあるので、息子が一人でいたいのならそれで全然かまわない、現時点で息子が孤独を感じていて悲しんでいる様子は見受けられず、幼稚園で楽しんでいるようだと言うと)「えー、そうなの?ほんとうにそれでいいの?あの子はお節介だから、みんなと仲良く遊ぼうとして息子君も誘っていたのよ。じゃあAにはお節介焼かないようにいいますね。」
  • (私は、A君に気を使わせて本当に申し訳なかった、息子を諭します、と言うと)「子どもなんだから、当たり前のことだし、諭すとかそういうことじゃないんじゃない?」
  • (話が終わり、別の場所にいた息子たちが来ると開口一番)「A、息子君にはもうお節介焼かなくていいんだって!」

以上、3人での話し合いでした。

途中から、A君のお母さんの生え際の白髪が気になって仕方ありませんでした。
 
A君のお母さんが先に帰られて、担任の先生と2人で話をしました。以下は先生からのコメントです。

  • 「遊具や砂場には、先生のうち誰かがついて見ているはずなのだが、ちゃんと見られていなくて申し訳ない」
  • 「私は聞いていないことになっているのですが、被害を受けた子の名前を実は聞いたので、今日それとなく子供に『なぁ、幼稚園でお友達に石投げられたり嫌なことされたことある?』と聞いてみましたが、みんな『ない』と言っていました。」
  • 「こう、A君のお母さんは、ちょっと見方が違うんですね…」
  • 「今日も、副担任の先生に、ずっと息子君を見てもらってましたが、全然、そんなことはありませんでした」
  • 「けど、高橋さん、よく我慢なさってましたねぇ。大人ですねぇ。私だったら絶対『はぁ~!?』って言ってますよ(笑)」

というわけで、幼稚園の先生方が全くご覧になっていないので大変疑わしいとは思うものの、A君のお母さん本人が息子の行為を目撃したと言っている以上、先生方が注意を怠ったのだと言われればそれまでですので、謝罪に徹することとしました。

ただ、A君のお母さんが話を盛り気味であるのと、終始上からのもの言いに大変腹立たしい思いをしました。今でもモヤモヤしています。

担任の先生はこちらのことを理解してくださっているので、(もちろん、先生は、A君側からは注意を怠ったことを非難される立場なので私に与しやすいのだとは思いますが)この件はこれで納得することと致します。

また、お時間がございましたら、斗比主様の考察をお聞かせいただければ幸いです。

高橋

 

結果報告へのコメント

高橋さん

大変お疲れ様でした。ご苦労もあって、無事終息されたようで安心しました。やはり、先生を間に介して正解でしたね。たぶん、一対一であったり、他の親を参加させていた場合は大惨事になっていたと思います。

特に気になったのは以下の部分です。

(息子から被害を受けた子は誰なのか私が尋ねると)「Aの周りにいるお友達たくさん」

「だから、大事なのは、これからみんなと仲良くするにはどうしたらいいか考えることでしょう?どうして息子君には友達がいないのかしら先生?」

「子どもなんだから、当たり前のことだし、諭すとかそういうことじゃないんじゃない?」

よく言えばお節介焼き、悪く言えば自分の価値観以外を認めない人。"お友達たくさん"という抽象的なものを根拠にするところなどは、自分の理屈を正当化するために目に見えるものをねじ曲げている可能性があるように思います。

認知が普通より歪んでいる人の場合、その認知の歪みに本人が気付かないと、他人が同じ土俵でコミュニケーションすること自体ができませんからね。先生じゃないですけど、これだけすれ違いがあったのにも関わらず、よく我慢されたと思います。

個人的には、

「A、息子君にはもうお節介焼かなくていいんだって!」

こういう発言をする人の子育て観は疑います。子どもが誰と付き合うかを親が選別しているようにも受け取れますから。子どもが自分で判断したり、親が親同士で仲が合わないというのは自由ですけれど、親が子どもの交友関係に口を出す権利はないですよね。

コメントは以上です。

非常に美味しく頂けました。ありがとうございます

topisyu

 

最後のご返信

斗比主様

斗比主様に美味しく召し上がっていただき、ブログに掲載して消化していただければもう本望でございます。腹立たしい思いをした甲斐もあるというものです(笑)。

本当に、1対1や他の親御さんの立ち会いでなくてよかったです。改めまして、斗比主様の的確なアドバイスに感謝です。

子育て経験は私と対して変わらないのに、A君のお母さんの「ちょっと遅いけどね」「そういうことじゃないんじゃない」等の発言には、なぜこんなに無神経に先輩風を吹かすのかとムカムカしていましたが、斗比主様のコメントを読んで、留飲が下がる思いです。

斗比主様にご相談申し上げ心からよかったと思っております。見ず知らずの私にご助言くださり、感謝の気持ちでいっぱいです。

繰り返しになりますが、本当にありがとうございました。

高橋

 

締め

比較的難易度の低い相談でしたが、解決して良かったです。

 

高橋さんの息子さんが実はガキ大将という線は、メールの中での、先生と他のママ友の言を借りればまずなさそうなので、A君の方に何かがあった案件と考えられます。

ただ、この話の結論では、A君もA君お母さんも反省するという話にはなっていません。この点をモヤモヤする人がいるのは理解できます。すっきりする方向としては、A君とA君のお母さんが実はおかしいということがこの件で発覚し、みんなから非難されて、A君お母さんが姑or旦那さんから怒られるという展開でしょうか。

ただ、そこまでの話に持って行こうとすると、高橋さんは相当な根回しを園の他の親にする必要がありますし、場合によってはA君家族とも相見えないといけなくなります。

しかも、問題の真の原因は、A君お母さんの認知に歪みがあることですから、姑or旦那さんから怒られたとして、問題が根本的には解決することはりません。むしろ、A君お母さんに白髪が目立ったことに高橋さんが気付かれたように、A君お母さんは既に苦労が耐えなく、この件で更に追い詰めらることは、認知の歪みを助長することになりかねない。結果としては、A君にも悪い影響があるかもしれない。

A君お母さんみたいな人は親として不適切だとか、A君の生育環境をどうかしてあげた方がいいとか、何とでもい言いようはありますけど、A君お母さんみたいな人は結構ゴロゴロしていますし、これを持って、A君お母さんをA君から引き離せばいいなんていうのも、早計な判断です。

 

現実の人間関係トラブルというのは作られた話のように綺麗にオチがあるわけでもなく、勧善懲悪でもないところに魅力があります。養殖モノも悪くはないけれどやはり天然モノが一番です。

  

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 ※怒っている人は可哀想な人だと思いましょう。

 

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etsuko.topisyu@gmail.com