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斗比主閲子の姑日記

姑に子どもを預けられるまでの経緯を書くつもりでBlogを初めたら、解説記事ばかりになっていました。ハンドルネーム・トップ画像は友人から頂いたものです。※一般向けの内容ではありません。

ONE PIECEのとある喫煙描写とSIDS(乳幼児突然死症候群)【追記あり】

妊娠・出産 解説・まとめ 結婚 生活の知恵 子育て

たまたま、少年漫画のONE PIECE(ワンピース)を読んでいたら、こんな場面が目に止まりました。

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※画像は『ONE PIECE』77巻P222から。赤丸は筆者。

ダンディな男性が生まれたばかりの自分の子どもの前でタバコを吸っています。この後、この乳児はある日突然高熱を出して死にます。本記事では、これを読んでいて、思ったことを徒然に書きます。

予め書いておきますと、ONE PIECE自体のネタバレ要素は若干あります。また、ONE PIECEの喫煙描写一般を非難しているものではありません。

 

どういう場面か?

今回紹介した場面はとある人物の回想描写です。過去、海賊の仕事で一週間家を空けたタイミングで、子どもが高熱を出して亡くなったというもの。過去を悔やんでいて、そのために今その人物は奇妙な格好をし、喫煙もしていない。

ONE PIECEという漫画は、キャラクター一人一人の過去エピソードが豊富で、この人物についてもかなりいいところでこの回想が入り、敵キャラクターでも感情移入ができる作りになっています。そして、回想エピソードというのは大体泣ける演出が含まれています。(ONE PIECEでの敵キャラクターの扱いについてはかなり特殊なので興味のある人は各話の扉絵に着目して読んでみてください。)

ということで、多くのONE PIECE読者はこの回想シーンの位置づけを理解していて、「ああいつもの泣ける回想が始まった」と受け取るんじゃないかと思います。自分もそうやって受け止めようとしていたのですが、このキャラクターが結婚前と出産後に喫煙をしていた上で、乳児が死亡していたので、ちょっと手が止まって、色々考えることになったわけです。

 

乳児の死因はSIDSか?

自分がこの一連の描写を見て最初に思ったのは、この乳児の死因はSIDSではないかということです。SIDSは乳幼児突症候群という名前の通り、乳児が睡眠時に突然死亡するものです。SIDSについては明確な原因がまだ確認されていませんが、いくつかの要因がその発生確率を上げると言われており、その一つに喫煙があります。

乳幼児突然死症候群(SIDS)について|厚生労働省

 たばこは、SIDS発生の大きな危険因子です。平成9年度研究では、両親が喫煙する場合、両親が喫煙しない場合の約4.7倍SIDSの発症率が高いと報告されています。妊娠中の喫煙は、おなかの赤ちゃんの体重が増えにくくなりますし、呼吸中枢にもよくない影響を及ぼします。妊婦自身の喫煙はもちろんのこと、妊婦や赤ちゃんのそばでの喫煙もよくありません。これには身近な人の理解も大切ですので、日頃から喫煙者に協力を求めましょう。

ただ、母親であるキャラクター曰くは、この乳児は突然高熱を出して死亡したということですから、睡眠時でもないし、SIDSを意識して描写されたものではなさそうなんですけどね。SIDSの場合は、重ね着などで乳児の身体が高温状態にあることが一因ではないかという話もあります。

また、自分の子どもが死んで、このキャラクターが喫煙を止めたというのも、喫煙による乳児の死に影響があったという描かれ方ではありません。諸事情により自分の子どもが死ぬ前のような恰好をするために、おしゃぶりやキャンディを口に咥えているということから、タバコは口に咥えていない。ONE PIECEの世界での喫煙描写は時々議論になりますけど、特に喫煙が健康に悪影響があるという話は描かれていませんし。

 

締め

この喫煙のシーンだけ取り合げて修正するべきだという話はできないことはないと思います。そもそも、妊娠前の女性の前での喫煙や乳児の喫煙については、SIDSに関わらず、色々なリスクがあるのは既に分かっていることですから。実際、ONE PIECEのアメリカ版ではサンジという主要キャラクターがタバコの代わりに飴を舐めているというのは有名な話だと思います。

ただ、それを突き詰めていくと、ONE PIECEでは暴力描写は普通にありますし、作品全体として不適切になってしまう。ある種の任侠的なものを描こうとしている世界観からするとタバコをキャラクターに吸わせるのは必要な演出と考えられる。それが、生まれたばかりの乳児の前の場合はどうかと思いますけど、この辺は表現の自由に関わってきそうです。(逆に、現代の公害病を輸入したような病気も登場するので、現代とフィクション世界との接点が意識されちゃうんですけどね。)

本当にこういう話ってどこまで対応するか難しいんですよね。純粋に日本国内だけでなら許される話もあるだろうし、グローバルに展開するためなら注意した方がいいものもある。ONE PIECE絡みでは、他に、とある主要な海賊団の団旗が卍から十字に変わったことはハーケンクロイツが想起されそうだったのではという話もありました。作者としては、日本の古典文化や仏教文化に対するリスペクトもあり、卍(まんじ)を使ったのでしょうが。

<考察> 白ひげ海賊団のマーク変更について|社会人の為の漫画 『ワンピース』考察、疑問、謎、伏線メモ + 駄文もあり。考察対象はコミックス。

ということで、一親として子どものSIDS対策を意識したことがある身として、たまたまONE PIECEのとある喫煙描写が目に留まったという話でした。フィクションを年や環境が取ればまた違う見方ができるというのは面白いものだと思います。

 

追記

この記事について言及がありました。

トピシュさんは、上記のこともわかった上で書いてると思いますが。

PCを振りかざして表現を規制することの問題性について"わかっ"ていることが分かるように書いたつもりですが、"わかっ"ていることを分からない人がちらほら出てきてましたね。

paradisecircus69さんも引用箇所に悩まれたんでしょうけど、あの引用の仕方だと、ONE PIECEの喫煙描写をPCで潰そうとしているように読み取れるようにもなってましたから、もう少し幅広に引用するか、引用を極力しないようにしても良かったと思います。自分が"わかった上で書いている"と分かっているなら尚更。paradisecircus69さんならできるはず。

例えば、冒頭の赤字部分を引用されましたけど、

ダンディな男性が生まれたばかりの自分の子どもの前でタバコを吸っています。この後、この乳児はある日突然高熱を出して死にます。本記事では、これを読んでいて、思ったことを徒然に書きます。

予め書いておきますと、ONE PIECE自体のネタバレ要素は若干あります。また、ONE PIECEの喫煙描写一般を非難しているものではありません。

ここの太字まで引用しちゃえば、"わかっ"ていることが分かりやすいですよね?

もう一つの引用箇所にしても、

ただ、母親であるキャラクター曰くは、この乳児は突然高熱を出して死亡したということですから、睡眠時でもないし、SIDSを意識して描写されたものではなさそうなんですけどね。SIDSの場合は、重ね着などで乳児の身体が高温状態にあることが一因ではないかという話もあります。

また、自分の子どもが死んで、このキャラクターが喫煙を止めたというのも、喫煙による乳児の死に影響があったという描かれ方ではありません。諸事情により自分の子どもが死ぬ前のような恰好をするために、おしゃぶりやキャンディを口に加えているということからタバコを口に加えていない。ONE PIECEの世界での喫煙描写は時々議論になりますけど、特に喫煙が健康に悪影響があるという話は描かれていませんし。

ただ、また、と書いている通り、ここは、その前に書いている流れから、

自分がこの一連の描写を見て最初に思ったのは、この乳児の死因はSIDSではないかということです。SIDSは乳幼児突症候群という名前の通り、乳児が睡眠時に突然死亡するものです。SIDSについては明確な原因がまだ確認されていませんが、いくつかの要因がその発生確率を上げると言われており、その一つに喫煙があります。

この描写がSIDSを意識していたかどうかを検証したものです。検証部分だけ引用してもよく分からないじゃないですか。この部分だけを引用しちゃうparadisecircus69さんの意図が自分にはよく分かりません。

この話はかなりセンシティブですから、くだらない議論に持っていかないように、もう少し上手く引用してもらえるとありがたかったです。

 

自分が"わかっ"ていることが分かっていない人(例:id:xa_axid:rag_en)向けに一応書くと、自分が思ったことは最後にある通り、

フィクションを年や環境が取ればまた違う見方ができるというのは面白いものだと思います。

これです。

 

PC問題って、観測範囲の違いの話、お前の正義をどこまで振りかざすかという話になって対立が発生することがよくあるんですけど、相手がどうして違う観測範囲なのか、違う正義を振りかざしているのか、あまり意識されていない気がするんですよね。

自分は、たぶん、子どもがいなかったらこの描写はまったく気にならなかったはずなんですよ。それが、目に止まっちゃって、SIDSかどうかを検証しちゃってるぐらい、気になった。規制するべきという話ではなく、単に、気になった。

このことは一つの例で、こういう自分の人生の変化によって、気になる描写、面白くなる描写って変わるわけですよね。前から書いていますけど、観測範囲というのは環境が変われば変わるもので、観測範囲をお手軽に変えたければ環境を変えるのがいい。結婚したり、離婚したり、子どもを持ったり、子どもと別れたり、そういうことで物の見え方って変わります。

そういうのが伝わるようにハーケンクロイツも例にしました。尾田栄一郎さんは他の描写でも推測できる通り日本の古典文化が大好きだから卍(まんじ)を使っただろうに、ある意味観測範囲の違い(歴史的な観点でのその表現の捉え方の違い)で、恐らく規制がかかった。ONE PIECEが海外輸出されるような作品でなければ、この修正はされなかったんじゃないでしょうか。

観測範囲が違うという話で自分と相手が別の人間のように切っちゃうのってもったいないと思うんですよね。自分みたいに、ONE PIECEの暴力描写や喫煙描写を目に入れながら77巻まで読んできた人間が、今更になって喫煙描写を気になったわけです。普通、喫煙描写が気になる人はONE PIECEを77巻まで読みません(笑)扉絵でショートストーリーが展開されているのとか知らない。

自分と観測範囲の違う人間が、どうしてそういう観測範囲になったのか、立脚点にあるのか、それを知るのは意味があると思うし、面白いと思う。そういう一つの例として個人的な話を書きました。