先月は忙しくてインターネットをほとんど見ていなかったのですが、メシマズ議論が微妙に盛り上がっていたのだけは目に入っていました。色んな文脈で複数の人に言及されていたので。
自分は料理を作るのが大好きで、レストラン巡りも大好きです。食べるのも好きだし、作るのも好き、そして、他人の料理にまつわるトラブルを読むのはもっと好きです。
自分が料理を好きになったきっかけは、子どもの時にリンゴの皮を物凄く細く長く剥けていたことだと思っていました。先日、実家を掃除していた際、『ぐりとぐら』をたまたま見つけまして、「これが料理に興味を持った最初のきっかけだったのだろう」と気付きました。 (しかし、なぜ、子どもに読み聞かせしようと思わなかったのだろう?)
- 作者: なかがわりえこ,おおむらゆりこ
- 出版社/メーカー: 福音館書店
- 発売日: 1967/01/20
- メディア: 単行本
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※名前のフォントの色と服の色がリンクしてるんですよね。
『ぐりとぐら』はシリーズになっていますし、日本の絵本の中では最も有名な部類に入る内容ですから、皆さん、内容はご存知だと重います。ぐりとぐらという二匹ののねずみが野原で大きなたまごを見つけたところから始まる幼児向けの絵本です。
たまごはぐりとぐらの背丈ぐらいの大きさがあり、ふつうの方法では運べません。そこで、ぐりとぐらは、料理の道具と食材を持ってきて、たまごがある場所で、カステラを作ることにします。逆転の発想ですね。カステラが焼けるいい匂いに誘われて、動物たちが集まります。みんなで美味しく食べた後は、残ったたまごの殻でぐりとぐらは車を作って家まで帰る……というお話です。
『ぐりとぐら』のお話で、特に記憶に残っていたのがカステラの美味しそうなところ。たまごと小麦粉と牛乳と砂糖とバターを混ぜて、フライパンで焼いた、絵本の中の黄色いカステラの味は、食べてもいないのに、きっと美味しいだろうと思い込んでいました。
大人になって『ぐりとぐら』を読みなおしてみると、今自分が料理をしていて楽しいと思う要素がほとんど含まれているんですよね。
- 食材を調達する楽しさ
- 調達した食材で何を作るか考える楽しさ
- 工夫をして料理をする工程の楽しさ
- 出来上がった料理を食べる楽しさ
- 作った料理を誰かに食べてもらう楽しさ
たぶん、それぞれの工程について、嫌いな人はたくさんいると思うんですよ。でも、『ぐりとぐら』の中で、野ねずみたちはとても楽しそうに、歌を歌いながらその作業をしていく。「ぼくらのなまえはぐりとぐら~♪」と。(自分は「ぼくらのクラブのリーダーは~♪」とミッキーマウス・マーチと同じ音階で流れます。)
どんなことでも、それをどう捉えるかで楽しめるか楽しめないかは変わってくるところがあります。自分の場合は、『ぐりとぐら』を読んでいて、「料理は楽しいもの!」という思いが芽生えていったのではないかと、大人になった今読み返していて思ったわけです。それで、この記事のタイトルは、"料理で大切なことはすべて『ぐりとぐら』から学んだ"としました。
子どもの頃から、料理が出てくる作品は好きだった記憶があります。『ぐりとぐら』は筆頭として、『ちびくろさんぼ』もそう。バターは美味しいものだと植え付けられた。『赤毛のアン』のチェリーパイ、『まんが日本昔ばなし』の雑炊。そして極めつけは、父が時々買ってきていたビッグコミックスピリッツで連載されていた『美味しんぼ』。父は料理はまったくしなかったけれど食道楽で、母は自分のオリジナルレシピノートを何冊か作っていたぐらい料理好きでした。
そう考えてみると、絵本は一つの要素として、育ってきた環境が今の料理の自分を作ったように思います。大人になって自分が置かれていた状況を、他人と比較しながら思い返してみると、色々思い至るものがあって面白いですね。
ちなみに、『ぐりとぐら』の作者、中川李枝子さんは『ちびくろさんぼ』に着想を得て『ぐりとぐら』を書かれたようです。
(保育園の子どもたちに読ませていて)その中で最高に喜んだのが『ちびくろさんぼ』だったのね。
あの、トラがぐるぐる回ってバタになる話。最後にホットケーキを196枚食べるところで、みんなは思わずつばを飲み込む。
そこで私は、ホットケーキの向こうを張って、カステラを作った。※()内は筆者による補足。
- 作者: ヘレン・バンナーマン,フランク・ドビアス,光吉夏弥
- 出版社/メーカー: 瑞雲舎
- 発売日: 2005/04/15
- メディア: 単行本
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※凄い景色。
ということで、今回は、"料理で大切なことはすべて『ぐりとぐら』から学んだ"でした。
今週は、料理特集として、
- 私の祖母はメシマズ
- 姑と料理
- メシマズ批判は料理に自信がない人々を不安に陥れる
- 文化資本がない人のための、料理の基本の基本
といった内容の、比較的穏当でない内容も含む料理記事を何本か書く予定です。どうぞ、楽しみにしてください。