斗比主閲子の姑日記

姑に子どもを預けられるまでの経緯を書くつもりでBlogを初めたら、解説記事ばかりになっていました。ハンドルネーム・トップ画像は友人から頂いたものです。※一般向けの内容ではありません。

まずは自分が伝えたいことをザクッと書いて、その後具体化していく「読者に優しい」「簡単な」文章の書き方

紙の本を書いているときに編集者さんに驚かれたのが、『まずはざっくり書いた後に、それを具体的にして増やしていく』という私の文章の書き方でした。どうやら、その編集者さんの経験では、著者がたくさん書いたものを削っていくことが多かったようです。

「へー、他の人はそうなんですか!」と驚いたので、編集者さんに私がどうやって文章を書いているか、どうしてこの方法を取っているか説明した内容を、ブログでも書いておきます。

抽象的な概念でもその人が理解できるレベルで具体的にすれば納得感が得られる

私が、ざっくり要点を書きだして、それを後から肉付けする方法を取っているのは、この方法だと読者が理解できるように文章を書くのが簡単だと考えているからです。

どんな理屈でも他の理屈や具体的な事例や実験の積み重ねで成立しています。人が得てきた知見は巨人の肩の上に立っているものです。

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巨人の肩の上 - Wikipedia

ただ、その巨人の存在を知らない人からすれば、巨人の上にちょこんと乗っかった、ある理屈を理解するのはかなり苦労します。

ですから、自分がこれから説明する理屈を他人が理解しない可能性があるなら、巨人を解体して、その構成要素である、他の理屈や数多くの事例や実験を説明していくことになります。

『まずはざっくり書いた後に、それを具体的にして増やしていく』というプロセスは、「これだと省きすぎかな?」「ここまで書けば想定読者も理解できるかな??」という具体化のレベル感を調整していく作業というわけです。

具体化のレベル感の調整のため突っ込みを入れてもらう

編集者さんには「この話を読んで、編集者目線でも、読者目線でも納得できないところや理解できないところがあればガンガン突っ込みを入れてください!」とお願いしておきました。

納得できない、理解できないところは、根拠や具体的な事例が不足しているわけですから、そこを補足すれば、読み手の納得や理解を促すことができます。

ちなみに、編集者さんは突っ込みを入れることにも驚かれ、最初のうちはかなり躊躇されていました。どうやら、突っ込みを入れる=ダメ出しをするととらえられて、著者の書く気力を失わせると考えられたようです。

私からは「私の人格を否定するならまだしも、文章の内容が理解できないことを指摘されても私は気にしません。逆に、説明不足があると考えて、もっと書こうというやる気が出ます」とお伝えし、実際に編集者さんから突っ込みを入れてもらった箇所を集中的に書いてみせました。こうして編集者さんには、実際に突っ込みの効能を体感してもらい、その後はガンガン突っ込みを入れてもらえるようになりました。

締め

編集者さんの個人的な経験を総合すると、私みたいな、後で文章を増やす・突っ込みを入れられるのを喜ぶという著者は珍しいそうです。

私からすると想定読者の理解できるレベル感を最初から完全に理解して一気に書けるというのは神業で、私みたいなやり方のほうが一般的には分かりやすい文章を書けると考えています。論文の書き方と同じっちゃ同じですからね。

ただ、そこで障壁として出てくるものがあるとすれば、やはり、読者目線に立った適切な突っ込みを入れてくれる存在です。

他人に自分の文章を読ませると、自分の個人的な怒りを他人にぶつけてくる人もいますし、批判のつもりで人格攻撃をする人がいます。他者からの適切な批判を脳内でシミュレートできたり(批判の目を自ら養う)、適切な批判をしてくれる第三者が周りにいることが、メッセージをブレイクダウンして説明してく形の文章を書く上では、重要になります。