斗比主閲子の姑日記

姑に子どもを預けられるまでの経緯を書くつもりでBlogを初めたら、解説記事ばかりになっていました。ハンドルネーム・トップ画像は友人から頂いたものです。※一般向けの内容ではありません。

配偶者の家事育児のやり方が納得できず「もっと頭を使いなさいよ!」とキレる前に、何ができるか

この記事を読みました。

皿洗いや育児がヘタな夫に「キレる妻」のホンネ | OCEANS | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準

妻の言葉の暴力に対して夫はどう対応したらいいかという質問に、妻のほうが子育てを上手くできるんだから夫は言葉の暴力を受け流しましょうという回答をしています。

女性のほうが子育てが上手くできるものとか、言葉の暴力は受け流そうとか、色々問題ある記事だと思ったんですけど、よくよく元記事の掲載誌を見たら、

「OCEANS」編集部 | 著者ページ | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準

メンズファッション&ライフスタイルの情報誌『OCEANS』は、 “37.5歳”をキーワードにした独自の切り口が支持を集め、2006年の創刊以来、多くの読者にご愛読いただいています。2017年1月にはデジタルメディアを大幅リニューアル。ファッションはもちろん、毎日の“オッサンライフ”をもっと楽しくするハウツー情報の配信だけでなく、「対話するWEBマガジン」をテーマに、スナップ、動画、イベントなども展開していきます。

ということですから、メンズファッションサイトに掲載されていた男性向けの記事が東洋経済に転載されていたということでした。男性向けのファッション情報の合間で、ゆるーく眺めるぐらいのコンセプトで書くことが求められたので、ライターさんはそれに合った適当な記事を書いたんでしょうね。しかし、それが想定外の読者に届くと燃えるという典型例。

それはそれとして、「子どものためなんだから不合理なことをしていい」というのはこの記事に限らず、たまに見かける考え方です。ただ、事情があればハラスメントをしていいということにはなりません。

子どものためを思って殴ったということにも辿り着いちゃいますしね。

神戸新聞NEXT|但馬|梁瀬中女子バスケ部、保護者が体罰 部員が不登校に 朝来

しかし、ハラスメントはしては駄目だと頭では分かっていてもやってしまうことはあります。東洋経済の記事を私がTwitterで紹介したら、次のような反応があったように。

では、配偶者にハラスメントを我慢させるという不可解な解決策以外に、どのようなことがキレる側の加害者にできるでしょうか。ちょっと考えてみることにします。

私が思うに、次のような順番で整理できる気がします。

  • 自らがハラスメントをしているという自覚を持つ
  • イライラしやすい、怒りやすい環境があることを家族で認識し、改善する
  • 怒りたくなったら、その場から自ら離れる(そのルールは事前に配偶者に伝えておく)
  • 家事育児の正解は一つではなく、やり方は人それぞれであり、最適解は家庭で予めすり合わせしておく
  • 配偶者が家事育児をやっている最中に口出しはしない
  • 任せた家事育児を上手くできるようになる前に奪わない

こんな感じですかね。考え方としては、DV加害者の更生プログラムやアンガーマネジメントや職場での育成プログラムなんかを混ぜています。それぞれのパーツは過去記事で何度か書いているので今回は省略します。

ここからはちょっと違う話です。

私個人が子どもの頃からずっと周りの人間を観察していて気付いたこととして、加害行為をしがちな私の友達の多くが家族や友人からのネグレクトや暴力に晒されていたこと(例として、私のことをいじめていた子どもたちには"事情"があった)、パワハラを経験した職場の同僚が同じパワハラを他の職場の同僚にしていること(例として、私にパワハラをしていた上司たちには"事情"があった)など、事例としては50ぐらいはハラスメントの負の連鎖がありました。

理研の調査でも、事例は多くはありませんが、負の連鎖の傾向があることを確認しています。全員に起きるわけではなく、あくまで起きがちという整理なのは注意。

加害の親ら7割、子供時代に虐待被害の経験 理研調査 :日本経済新聞

ハラスメントは現在進行系で被害者を作り出すことが当然ながら問題ではありますが、その先に、ハラスメントの連鎖を生み出す(被害者を将来の加害者にする)ということでも、できるだけ減らしたいと私は考えています。

そのためには、現在加害行為をしている人の事情を解きほぐし、実はその人自身が被害者ではなかったのか、加害行為をしがちな状況をどうしたら改善できるか(イライラしやすい人には環境での配慮をする)を考えるというのがスタートラインでしょうか。ハラスメントに耐えるなんてのはもってのほかで。

"事情"があってもハラスメントはだめだけれど、"事情"を知ることは解決策を考える重要な手段です。

DV・虐待加害者の実体を知る

DV・虐待加害者の実体を知る

 

※読んだ。分厚く、内容も重たいが、よくまとまっている