斗比主閲子の姑日記

姑に子どもを預けられるまでの経緯を書くつもりでBlogを初めたら、解説記事ばかりになっていました。ハンドルネーム・トップ画像は友人から頂いたものです。※一般向けの内容ではありません。

"35歳独身女です。婚活で出会った男性の誘いで3000万円のマンションを購入しましたが、その後音沙汰がありません。どうしたらいいでしょうか?"

こんな報道がありました。

婚活中のマンション購入に注意 NHKニュース

インターネットを通して結婚相手を見つけるいわゆる「婚活サイト」で知り合った異性に投資用のマンションを勧められ、購入したら、相手と連絡が取れなくなったという相談が急増しているとして、国民生活センターが注意を呼びかけています。

NHKの報道を受けて、国民生活センターの注意を読んだところ、より詳細な情報が生々しく掲載されていました。そちらを紹介するのがこの記事の目的です。

 

家族喰い――尼崎連続変死事件の真相

※例の如く、適当な画像がなかったため、拾ってきました。こちら経由で本を購入すると、株式会社はてなにアフィリエイト収入が入ります。

 

ハンコを押す相手は信ジラレマスカ? 

国民生活センターでの公開情報はこちらとなります。

婚活サイトなどで知り合った相手から勧誘される投資用マンション販売に注意!!−ハンコを押す相手は信ジラレマスカ?−(発表情報)_国民生活センター

 婚活サイトなどで知り合った相手から、将来のための財産形成や資産運用を口実に、いわゆるデート商法的な手口により、投資用マンションなどを購入してしまったという相談が、各地の消費生活センターに寄せられており、今年度に入って「消費者トラブルメール箱」にも寄せられるようになった。

 従来のデート商法と言えば、異性の販売員が名簿などを基にアポイントを取り、デートのような状況を演出、恋愛感情を利用し、アクセサリーや投資用ソフトなどを購入させていたが、今回のケースは、よりスケールアップしている。契約購入金額の大きさ、金銭被害にとどまらない消費者へのダメージなどから、手口を周知し、被害の拡大防止を目的に情報提供する。

色恋で宝石や毛皮を買わせるデート商法と同じ扱いですね。国民生活センターは、婚活サイト"など"としているので、NHKが「婚活サイト」に限定するのは、報道としては適切ではないと思います。

「俺と結婚するから投資してくれ」というわけではなく、「貴方が結婚するなら投資したほうがいいのでは?」というお誘いの仕方になっているようで、詐欺にならないような巧みな仕組みになっているようです。

 

続いて、被害に遭っている方の人物像と購入額です。 

■契約者の属性

1.年齢・性別

契約者の平均年齢は35.1歳、性別では女性が男性の2倍以上となっている。

2.職業別内訳

契約者のほとんどが給与生活者であり、勧誘者側は対象を前もってかなり絞り込んでいることが伺える。

■契約購入金額

 1人当たりの平均額は約3012万円で、通常の消費生活相談(2012年度平均143万円)と比べ、かなり高額の事例が多い。

こちらは2009年から2013年末までに登録された相談85件について整理したものです。女性が2倍で、給与生活者で、投資用マンションの平均単価が3000万円ということですから、近年増えつつある比較的お金の余裕がある30代女性が厳選して狙われている印象を受けます。

 

生々しいエピソード

上記は概要の報告ですが、詳細な報告文書はPDFで公開されています。

[報告書本文] 婚活サイトなどで知り合った相手から勧誘される投資用マンション販売に注意!!-ハンコを押す相手は信ジラレマスカ?-[PDF形式](245KB)

合計5事例です。どれも興味深いので抜粋して紹介します。

【事例1】婚活サイトで知り合った投資コンサルタントの男性を信じ、投資用マンションを契約

婚活サイトで知り合った男性と、数回会って食事をした。男性は投資コンサルタントをしていると言い、投資の話を聞いた。資金運用の勧誘かと聞いたら、男性が急に怒り出して数時間口論になった。ケンカになったが、本音を言い合えたように感じ、男性を信じられるようになった。

「お金の使い方を教えてあげる」と言われ、後日会った時に「君にはマンション投資が向いている」と言われた。さらに詳しく聞くため、日を改めて男性の職場へ行くことになり、源泉徴収票を持ってくるよう言われた。男性から「節税対策、年金の足しにもなる。家賃保証もあって、借り手がいなくても大丈夫」と言われた。不安はあったが、男性を信じたい気持ちもあり、いくつかの書類にサインをした。

女性社員が脇で録音しながら「これを買うと何かしてあげるなどのセールストークはなかったか」など確認していた。

数日後、男性と、マンション販売業者の事務所へ本契約のために出向いた。契約書にサインし、男性と売主業者と3人で銀行へ行き、融資の手続きをしたが、その後、男性と会えていない。

(2013年11月・30歳代・女性・給与生活者)

"男性が急に怒り出して数時間口論になった。ケンカになったが、本音を言い合えたように感じ、男性を信じられるようになった。"から、相当手慣れていることが想像できます。急に怒る、急に優しくなるを繰り返すのは、相手を思うがままに言うことを聞かせるために使われるテクニックです。

"女性社員が脇で録音しながら「これを買うと何かしてあげるなどのセールストークはなかったか」など確認していた。"も、同様に手口の巧妙さを示しています。詐欺罪にならないように抜け目がない。事務所内で契約をしていることからクーリングオフは適応できません。

 

【事例2】婚活サイトで知り合った男性とデートを繰り返し「税金対策・年金代わり・個人的に面倒をみる」と言われて契約、その後音信不通に

婚活サイトで知り合った男性とデートをした時、節税対策の助言と言われ、勤務先や収入等を聞かれた。次のデートで「節税対策、年金・生命保険の代わりになるのでマンション投資がよい。個人的にも面倒をみる」と強く購入を勧められた。

3回目のデートで銀行審査の手続きを勧められ、4回目で銀行審査の手続きをした。この間、男性はいろいろな物件をメール等で紹介してきた。実際の契約は7回目に会った時で、ホテルに呼び出された。

この男性と直接契約するものと思っていたが、実際は、男性が連れて来た知り合いの人の会社との契約だった。「契約後、すべて面倒をみる」と言われていたので、確定申告の相談をしたら連絡が取れなくなり、契約が目的の詐欺だったのでは、と感じた。購入したマンションは、一度も見ていない。解約したいが可能か。

(2013年1月・30歳代・女性・給与生活者)

これはほぼデート商法ですよね。リスクが大きいからか、最初の事例と違って、本人が契約をしていない。場所はホテルですからクーリングオフの対象になるはずですが、2013年1月段階で(2012年の)確定申告の相談を予定をしていますから、時間切れだと思われます。また、そもそも、銀行審査を経ていることから代金の支払いは銀行から完了しており、所有権移転登記などはされているでしょうから、その点でも、8日以内経過する前に、クーリングオフの例外規定に該当していた可能性があります。これも、巧み。

 

【事例3】旅行の約束までした男性から勧められ、よく分からないままマンション契約。解約を迷っている間にクーリング・オフ期間を超過、男性とは疎遠に

去年、婚活サイトで金融に詳しいと言う男性と知り合い、食事をするようになった。「投資用マンションは確実にリターンが望める」と勧めてくるので、男性の勤務先で説明を受けた。

投資用マンションの説明は不明点が多く、質問してもはぐらかされた。よく理解できなかったがマンション購入の契約書に署名捺印し、白紙委任状まで作成した。男性と旅行の約束をし「昔からの知り合いみたい」と言われ、すっかり信用していた。銀行審査を受ける前、現在居住している住宅のローンを組んでいることは話さないよう口止めされた。

その後、不安感が増し、知り合いに相談したら、内容証明を書いてクーリング・オフするように言われた。しかし、キャンセルには解約料が必要だと思っていたことと、恋愛感情もあり、期間内のクーリング・オフはできなかった。

旅行は直前でキャンセルになり、預けた書類が届く頃には男性とは疎遠になっていた。不動産業者が倒産したら、空室になったらといろいろ心配だ。解約したい。

(2013年7月・30歳代・女性・給与生活者)

これは、前の2事例に比べればこれはかなり粗がある話。"確実にリターンが望める"は金商法違反にあたりそうですし、"銀行審査を受ける前、現在居住している住宅のローンを組んでいることは話さないよう口止めされた"も銀行にバレたら、この不動産業者が取引停止されてもおかしくないアドバイス。

他にも、クーリングオフでも解約金が発生すると誤解していたり、もう少し、相談できる人がいたら、何とかなったケースだと思います。

 

【事例4】婚活パーティーで親しくなった女性に勧められ、マンションを相場より高く買わされた

去年、婚活パーティーに参加。そこで親しくなった女性に勧められ、2700万円の賃貸用中古分譲マンションを購入。販売業者の紹介で銀行の住宅ローンを契約し、入居者も紹介してくれたので家賃収入があり、満足していた。借家人が退去したので、サブリース契約をするつもりでいた。

その頃は女性を信じており、相場価格なども調べていなかった。先日、気になったのでマンション近くの不動産業者で相場を聞いたところ、約1000万円も高く買っていたことが分かった。

(2013年9月・30歳代・男性・給与生活者)

唯一の男性による相談です。去年9月時点で、一昨年買った不動産の相場を聞いて、相場よりも高かったという相談は、ちょっと解決するのは厳しいですね。相場よりも高く売ってはならないと決まっているわけではないですから。また、中古分譲マンションということであれば、普通は一物一価ではありませんし。(id:garlicchives さん、ご指摘感謝!)

ただ、こういう経緯で売りつけられたものが、本当にそれに見合った価値があるのかは重要なポイント。秋葉原の絵画売りもそうですが、その場の雰囲気にのまれずに、適正価格は高い買い物ほど慎重に検討したい。

 

【事例5】婚活サイトで知り合った男性を信じて「将来のために」とマンションを購入したとたん、連絡が途絶えた。売却を考えたものの市場価値は半値だった

婚活サイトで知り合った男性と何回か会ううちに、節税の話になった。「将来のために」とマンション購入を勧められた。「価格が急に下がることは無い」と言われ、購入後も「持っていれば損したりしない」の一点張りだった。

デートの時は優しく、時には叱責するような話しぶりで、心を操作された気がする。当時はデート商法であることに全然気が付かなかった。購入後は連絡が途絶えた。購入して半年後、マンション売却の見積もりを取ってみたら、市場価値は購入額の半値程度と分かった。

(消費者トラブルメール箱 2013年7月・30歳代・女性・給与生活者) 

このケースでも、叱責とアメで心を操作しようとしています。仮に購入したのが新築マンションだとすると、入居半年後で市場価値が半値となる可能性もないわけではないので、先の相談と同様に、諦めざるを得ない気がします。ただ、売り文句の、価値が下がらないは、これも金商法ではアウトでしょうか。

節税目的もよく聞かれる話です。そもそも、利益を出すための投資用マンション購入なのですから、相続対策は別として、節税を期待するのは本質的ではないですよね。詳しくは以下のリンク先をどうぞ。

節税対策について|不動産投資Q&A|日本財託グループ

Q.マンション投資は節税対策になるのか?

A.マンション投資は一時的には節税効果が見込めます。しかし、その効果は数年続くに過ぎません。そもそも、節税の仕組みは、家賃収入から経費を差し引いた金額が赤字の場合に、はじめて税金の還付が受けられるのです。したがって、借入金の返済に伴なう支払利息や減価償却費の計上額の減少により、経費が年々少なくなりますので、いずれ黒字転換し、税の還付から納税へと転じるのです。

 

マンション投資で黒字が生じているということは、それだけ投資が順調に進んでいるということで、本来喜ばしいことです。不動産投資の目的は、長期的・安定的に収益を得ることにあります。節税を目的としたマンション投資は大変危険です。

 

続いて、対策です。

 

慎重になること

国民生活センターでは3つの対策を挙げています。

①目的外のアプローチに注意する。問題は一人で抱え込まないこと

結婚を目的とする婚活サイトなどを通じて知り合った人から、高額なマンションなどの購入といった、本来の目的以外の勧誘や提案を執拗に受けたら注意する。

一人で悩まず、家族や消費生活センターに相談し、出会いのきっかけとなったサービス提供事業者にも相談する。

まずはそれが本当に婚活と関係するのか考えて、第三者に相談すること。

②マンション購入は、返済計画や購入後の運用コストもふまえ、慎重な判断が必要

マンションなどの不動産購入に関する契約は、クーリング・オフが適用されるケース(4)以外の解約は、困難なことが多い。長期・高額のローンを組むことが多いので、返済や運用の計画も見据え、慎重に検討する必要がある。契約は、購入価格のみならず、その後に負担するコストも含め、希望的・楽観的な発想は捨てて、慎重に検討すること。

4(宅地建物取引業法第37条の2)宅地建物取引業者が、事務所等以外の場所で契約を行った場合、原則として消費者は書面によりクーリング・オフを行うことができる。ただし、クーリング・オフに関する書面交付と説明を受けてから8日間が経過した後や、マンションの引渡しを受けて代金を全額支払っている等の場合は、クーリング・オフを行うことができなくなる。

婚活とは別にして、本当に自分で弁済が可能なのか、必要なのか、しっかり検討すること。クーリングオフはできない状況にならないように気を付けること。

③公開、開示する個人情報の内容や閲覧範囲に注意する

婚活サイトにおいては、プロフィル情報の掲載方法や書き方について、担当者とよく相談する。SNS等のソーシャル系サービスにおいては、掲載するプロフィルや日記などの公開範囲・内容に注意する。

また、必ずしも信頼できるとは限らない不特定多数の人が閲覧できる項目に、必要以上にプライベートな情報、あるいはそれらにつながるような情報を掲載しないようにする。

いくら自分をちゃんと見せたくても、公開する情報は限定すること。借金がないことは言っても、貯金が1千万円あることは言わないように。(「結婚式をやるぐらいのお金はある」で十分)

 

締め

こういう被害に遭わないようにするには、「自分は大丈夫」と考えるのではなく、「自分も被害に遭う可能性がある」と自分を過信しないというのはよく言われる話です。

婚活中でどうしても上手く行かない、相手はこれまで見た中で一番の条件となると、正常な判断が機能しないことは、誰でも十分あると意識する必要があると思います。

取り締まってほしい、被害に遭ったら誰かが回収してくれるというのは、上記の例を見れば、なかなか厳しいことは分かるでしょうから、個人での防衛が必要です。

 

 

 

以下、余談です。

 

 

余談

発言小町で同様の相談がないか調べてみましたが、今のところないようでした。仮に投稿されても、限りなくクロに近いので、検閲を突破できなかったのかもしれません。一応、検索過程で見つかったトピのうち、興味深いものを紹介しておきます。

婚活中47歳女性、再婚希望 かすみ 2013年8月21日 11:58

離婚して8年になります。元夫は10歳年下のアーティストでした。元夫はだらしない性格で、家の中をいつもしっちゃかめっちゃかにしていたため、よくけんかをしていましたが、ある日突然家を出て行きました。離婚後、彼氏が二人いました。一人は4年、一人は1年の付き合いです。4年付き合った彼は、音楽をやっている人でしたが、音楽が売れるようになり、時間が合わなくなって付き合いが終わりました。1年の付き合いの人は外国人で、国に帰ってしまいました。その他、デートは数多く。子供もペットもいません。

仕事をしているうちに、給料と地位が上がってしまいました。年収1500万円ほどです。アメリカの大学を卒業して米系銀行の事務をしています。早く仕事がやめたくて、そして、老後が不安なので、マンションを2軒購入しました。そのうちの1件に住んでいて、もう1件は貸し出しています。

身長、163センチ、体重47キロ、週に3回ほど、マンションにあるジムに通っていて走ったりしています。運動は大好きです。子供の頃に父の駐在で家族でラテンアメリカにいたため、サルサも時々踊っています。

掃除洗濯料理、アイロンかけ以外は全て得意科目です。締まり屋なので、週末にまとめてお弁当を作っています。毎日残業か外食なので、家は散らからず、モデルハウスのようだ、といわれます。趣味は食べ歩きと、ベランダ菜園です。時々人を家に招いてパーティーをしたりもしています。外食に付き合ってくれる独身の女友達は年齢を問わずたくさんいますが、男友達は3人です。お酒はほとんど飲めません。ワイン一杯が精一杯です。

幸い、かなり若く見えるようで、出会うことには問題がありません。ただし、続かないのです。彼女にも妻にもなれない私です。一体何がいけないのでしょう?

"かなり若く見える"はお約束として、ミュージシャンの元夫・元彼、サルサ、モデルハウス、ホームパーティ、ワインなどなど、色々要素が詰まっています。ぜひトピ主レスも読んでみて下さい。あと、コマッチャによる"激励の言葉"も。