昨日、一昨日と性教育の話を書いたので、今日も性教育絡みの話題です。未就学児の性器いじりについて。
子どもが性器いじりをするという悩み
以前に、未就学児の子どもが性器いじりをしていることに悩んでいる親御さんからメールをもらいました。詳細は書けないのですが、ざっくり言うと、
- 未就学児の自分の子どもが性器いじりをしていた
- やんわりとやめるように伝えたが、叱り飛ばさなかったことを後悔している
- 配偶者にも誰にも相談できず悩んでいる
というものです。
私からは、未就学児の性器いじりはよくあることだと伝えて、参考になりそうなサイトを紹介しました。今日は、この辺をもうちょっと詳しく書きます。
未就学児の性器いじりはおかしいことではない
まず、未就学児の性器いじりは、しない子もいますが、する子はいるもので、おかしい行為ではありません。私が言っても説得力はないので、専門家のコメントを紹介します。
小さな子ども、たとえば二歳でも三歳でも自慰が見られます。その年齢の子どもが自慰をしないからといって、ちっともおかしくありませんが、自慰をするからといって少しもおかしくはありません。(p.83-84)
みんな大好きシアーズ博士もこんな風に書いています。
Ask Dr. Sears: Masturbation in Preschoolers | Parenting
This is a normal stage of body discovery and does not mean that your child has an underlying psychological problem.
子どもが精神的に問題を抱えているというわけではないとしています。
性器いじりへの対処は①するエリアの限定と②スルー
シアーズ博士のサイトで紹介している性器いじりへの対処(My Toddler is Touching His Privates! | Ask Dr Sears)としては、
- 風呂やトイレなど場所を限定してやるように伝える
- 昼寝や就寝時に子どもが触っていても気にしない
- 他に注意を向けさせる
- 人前ではやらないように説明する
- ハグをしたり抱きしめたりする
です。やらないほうがいいとしているのは、
- 完璧に排除すること
- いじっている最中に罰を与えたり、叱ったりすること
- 子どもの手に制約をつけること
- 性器いじりを汚い、恥ずべき、良からぬことだとラベリングすること
です。要は、ダメなことだとせずに、限定的にやる場所を説明して、後はスルーするということです。寂しがってそうならハグしたりする。
安達さんの本では、いじりすぎていて性器が炎症を起こしているかを下着をチェックすることで確認できることを紹介してます。その場合は病院での治療も必要になるでしょうしね。
悩む親
今回紹介したように、専門家は未就学児の性器いじりへの対処法を示してくれています。
しかし、私にメールを送られてきた方のように、対処が分からず悩む親はいます。
日経DUALが行った調査では、子どもが性器を見せたがったり、自慰行為をすることに、対応に迷ったり、悩んだりする親がいることが分かります。(未就学児の性器いじりを自慰行為と分類していいかは色々な意見があります)
※グラフは、朝立ちや自慰 子どもの性の芽生えに親はどうする? | 男の子の性教育、女の子の性教育 特集 | 日経DUALから
未就学児の性器いじりをする子どもがいるのがおかしなことではないと書きましたが、同様に、未就学児の性器いじりへの対処に悩む親がいることもおかしなことではありません。
また、性教育に悩む親が相談できる相手は、同じ日経DUALの調査では配偶者が最多である一方、夫婦で性教育について一度も話したことがない人は50%という数字です。
朝立ちや自慰 子どもの性の芽生えに親はどうする? | 男の子の性教育、女の子の性教育 特集 | 日経DUAL
悩みはあっても、話せる相手がいないなんてこともおかしくないわけです。
締め『親への性教育の教育をオープンに』
投資でもそうだし、勉強法でもそうだし、DVでもそう。ある程度確立された対処法があるのに、一般に知られていない、対処されていないことはたくさんあります。性教育も同じです。
私が性教育をオープンに議論したほうがいいと言っているのは、子どものプライバシーをオープンにさらけ出すべきというのではなく、性教育自体やそのあり方を社会でもっと触れる機会があった方がいいということです。目立つのは、セックスの話ばかりだったりするんですよね。性教育はもっと幅広いものなのに。
親はどうしたらいいか分からず、時に子どもの性に深く介入することがあります。今回の例でいえば、未就学児の性器いじりを「汚いから止めて!」と叱ったりするのとかですね。親が適切な性教育に触れる機会があれば、防げるケースもあります。
性教育の議論をクローズドにすることは、子どもが性知識に触れる機会を減らすこともあるでしょうが、親が子どもの性にどうやって向き合うかを悩ませることに繋がると考えています。
子ども自身の性の悩みへの相談窓口があるように、親の子どもの教育(性教育)の悩みへの相談窓口はあります。相談窓口 + 自治体名で検索してみれば大体見つけられるはずです。子育てに悩んだときに、そういった相談窓口を利用することは、恥ずべき行為でも、叱られるものでもないですよね。