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斗比主閲子の姑日記

姑に子どもを預けられるまでの経緯を書くつもりでBlogを初めたら、解説記事ばかりになっていました。ハンドルネーム・トップ画像は友人から頂いたものです。※一般向けの内容ではありません。

おもいっきり感情移入して答える高橋源一郎さんの人生相談 「8年在籍して(大学を)満期除籍」 「拘置所の独房に8カ月ほど滞在」

ちょっと前に毎日新聞に掲載された人生相談が話題になっているようです。

毎日新聞 人生相談 次男の交際相手に納得できない=回答者・高橋源一郎

29歳次男の交際相手に夫婦で納得できず悩んでいます。相手は27歳で遠距離交際が3、4年続き、そのうち熱が冷めると思っていたら「結婚を認めて」とあいさつに来ました。相手の服装や第一印象が悪く、将来子どもに宿題を教えられるのかも疑問です。子に忠告するのは親の役目だと思っています。私たちが認めれば誰も苦しまないのですが、どうしても彼女との結婚は許せません。(55歳・女性)

内容自体はいつでも発言小町で読めるありきたりなものですが(子どもがまだいないのに宿題を教えられるかを悩むのは面白い。認知の歪みを感じる)、この相談への作家・高橋源一郎さんの強烈な回答が気分が良いものとして話題になっているっぽいです。

 

正直に申し上げて、なにが問題なのか、わたしにはわかりませんでした。

 憲法24条には「婚姻は両性の合意のみに基づいて成立し」と書いてあります。ご次男とその女性が結婚したいと思っていらっしゃるなら、それを止める権利は誰にもない、ということです。

いきなりこの回答からはじめて、はたして相談者本人に届くかといえば、たぶん届かないですけど、憲法に触れるのはこの種の人生相談としては新鮮です。

 

私は新聞社の人生相談コーナーといえば、発言小町を運営する読売新聞の人生案内を英語で読んでいて、

Troubleshooter - The Japan News ←人生案内の英語版の便利なリンク集

毎日新聞の人生相談コーナーはこれまでノーチェックでした。先月末にその存在に気付き読み始めたんですが、高橋源一郎さんの回答は毎回感情移入しまくりなのが面白いです。

 

例えば、

毎日新聞 人生相談 女性の気持ち損ねず あめもらいたい=回答者・高橋源一郎

ほんとうのところ、相談者は、悩んで、この欄に投稿なさったのではないように思えます。ここに掲載された投稿文は残念ながら省略されたものになっていますが、原文はずっと長い。わたしは、相談者の、達意の文章を読み、逆に力づけられた気がしました。それは、相談者が、晩年を迎えて、いわば自由の境地とでもいうべき場所にたどり着いておられるように感じたからです。

これなんか、もう相談の回答は早々と終えて、個人の感想ですからね。そんなに原文を褒めるんならWebには原文を省略しないものを載せるように編集者に言って欲しい!

 

毎日新聞 一流大通わなくなった長男 今後が心配=回答者・高橋源一郎

わたしも一流といわれる大学に入学しましたが、8年在籍して満期除籍になりました。その間は、学校にも行かず、ただ肉体労働に励む日々でした。

この相談も自分語りからスタート。

 

毎日新聞 人とのつながりがなく、認知症が不安=回答者・高橋源一郎

諸般の事情があって、若い頃、わたしは、拘置所の独房に8カ月ほど滞在していました。

これなんかも人生相談の体で自分の面白エピソードの紹介をしている。

 

毎日新聞 人生相談 孤独なパート事務。 仕事や職場に不満=回答者・高橋源一郎 

わたしは20代の10年間、肉体労働をしていました。職場での話題は「うわさ話や愚痴ばかり」でした。

油断していたところで途中に自分語りが挿入されることもある。 

 

その他、ご本人が自由に生きることを大切だと思われているために、冒頭で紹介したような他人の自由を制限する考え方や行動についてはかなり厳しい回答をする傾向があります。

 

私が理想的だと考える人生相談(相談者に距離を取る、寄り添う、気付きを大切にする、可能な解決策を提案する『人生案内』における野村総一郎さんのやり方)からは大きく外れた、人生相談を利用した自分語り・主張モデルであるものの、ネタの珍しさ・回答の小気味良さは読んでいて楽しいです。

 

過去の人生相談はまとめて読めますので、興味を持たれた方はぜひ読んでみてください。大体週に1回更新されています。

人生相談 - 毎日新聞

 

デビュー作を書くための超「小説」教室

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※高橋源一郎さんの本は昨年たまたまこちらを読む機会がありました。小説家もマーケティングを意識しないと厳しい時代になったのだなと思いました。