斗比主閲子の姑日記

姑に子どもを預けられるまでの経緯を書くつもりでBlogを初めたら、解説記事ばかりになっていました。ハンドルネーム・トップ画像は友人から頂いたものです。※一般向けの内容ではありません。

平日残業代なし、土日出勤4時間以上で時給600円の部活動顧問という仕事

子供が部活に入るということで、この際だから学校・教員における部活動の位置付けを調べてみました。 

運動部活動の戦後と現在: なぜスポーツは学校教育に結び付けられるのか

運動部活動の戦後と現在: なぜスポーツは学校教育に結び付けられるのか

 

 

学習指導要領における位置付け

小学校では3年前?から適応されていた新学習指導要領の中では、部活動は以下のように規定されています。

第1章 総則:文部科学省

(13) 生徒の自主的,自発的な参加により行われる部活動については,スポーツや文化及び科学等に親しませ,学習意欲の向上や責任感,連帯感の涵養等に資するものであり,学校教育の一環として,教育課程との関連が図られるよう留意すること。その際,地域や学校の実態に応じ,地域の人々の協力,社会教育施設や社会教育関係団体等の各種団体との連携などの運営上の工夫を行うようにすること。

ポイントは、あくまで部活動は生徒の自主的、自発的なものであること、学教教育の一環であること、地域と協力することでしょうか。

 

部活動はあくまで生徒の自主的、自発的なもの

クラブ活動と部活動の違いを知らない人が時々いますが、クラブ活動は必修授業ですけど、部活動はそうではないんですよね。中学校は7割ぐらいの子供が部活をやっているぐらいで全員ではないし、高校は更に減って5割ぐらい。

親からすると部活動をしてくれている時間は手がかからなくて済むので(大会等での応援除く)、ある意味授業の延長線上として考えてしまうことがある。

あくまで自発的な活動であって、子供に強制するものではない。(教育の義務自体が教育を受けさせる義務ですから、元々授業でも強制するものでないですけどね。)

 

部活動は学教教育の一環

この前の学習指導要領では部活動についての言及はなかったんですが、平成20年に中教審で議論があって復活したということです。

中学校学習指導要領解説 総則編

中学校教育において大きな役割を果たしている「部活動」については,前回の改訂により,中学校学習指導要領の中でクラブ活動との関連で言及がなされていた記述がなくなっていた。これについて,平成20年1月の中央教育審議会の答申においては,「生徒の自発的・自主的な活動として行われている部活動について,学校教育活動の一環としてこれまで中学校教育において果たしてきた意義や役割を踏まえ,教育課程に関連する事項として,学習指導要領に記述することが必要である。」との指摘がなされたところである。

部活動の重要性から、学校教育の一環とはっきり明記した。特に明記されていないと、学教教育とは関係ないという議論も出てくるからでしょうか。

 

部活動は教師にとって仕事?

学習指導要領で学校教育の一環としていたり、例えば東京都の教育委員会は2013年9月公開の報告書で、

報告書「体罰根絶に向けた総合的な対策について」 第一章

● 部活動指導の職務関連性

東京都教育委員会においては、既に、部活動指導を本務として校務分掌に位置付けていること、人事考課の業績評価の評価項目に位置付けていること、週休日等の部活動指導は振替休日や特殊勤務手当で対応していることなど職務との関連性を明確にしている。

一方、部活動を学校管理運営規則に位置付けていない区市町村教育委員会があることや、「部活動の指導は、教員の本務ではない。」「部活動指導はボランティアで行っている。」と誤解している人がいる状況を改善していくことが課題である。

"職務との関連性を明確にしている""「部活動指導はボランティアで行っている。」と誤解している人がいる"としていますから、部活動は教師にとって仕事とみなしているようです。(ちなみに、この報告書では、教師がボランティア意識で部活に関わっていることを体罰が起きる一因としています。)

では、仕事としての部活動で教師はどのような処遇なのでしょうか。

 

教師にとって部活は、『平日残業代なし、土日出勤でも時給600円』の仕事

元々、公立学校の教師は残業代が出ません。代わりに、給料の4%が教職調整額として支給されています。詳しくは、こちらを。

中央教育審議会 初等中等教育分科会 教職員給与の在り方に関するワーキンググループ(第10、11回)議事録・配付資料 [資料4−2]−文部科学省

昭和44年当時公立学校の教師の月の平均残業時間が8時間だったのでそれを元に4%と設定したそうです。約40年前の数字。平成18年当時では35時間と増えていますが、金額は変わっていません。

これがあるので、どれだけ残業しようが残業代は支給されません。部活も同じで長い時間指導するだけ損になる。

 

土日出勤だと、

運動部活動の在り方に関する調査研究報告書

○部活動の指導に当たった場合の手当の現状について

①部活動指導手当

一般的に、土・日曜日等(勤務を要しない日)に4時間程度、部活動指導業務に従事した場合に支給されます。国の義務教育費国庫負担金上は日額2,400円(4時間程度業務に従事)で算定されています。

②対外運動競技等引率指導手当

一般的に対外運動競技等において児童又は生徒を引率して行う指導業務で、宿泊を伴うもの又は土・日曜日等に行うもの(8時間程度業務に従事)について支給されます。

国の義務教育費国庫負担金上は、日額3,400円(8時間程度業務に従事)で算定されています。

①、②とも具体的な支給要件や支給額は、地方公共団体の条例等において定められています。

自治体ごとで変わりますが、4時間で2400円というところが多いです。時給換算で600円。ただし、4時間に満たなければもらえない。6時間の場合は3000円という自治体もあります。この場合は、時給換算で500円。

労働基準法上、休日出勤は35%以上の割増賃金を支払うことが定められているのですが、公立学校の教師はそんなどころではなく、最低賃金以下で休日の部活動に従事しています。

ちなみに、公式資料ベースで公立学校としてきましたが、私立でも公立準拠としているところが多いようです。(偏差値70ぐらいの有名中高一貫校で教師をしている友人は部活動の実入りのなさを嘆いていました。) 

 

締め

学習指導要領で部活を学校教育の一環としていたり、自治体によっては部活は教師にとってボランティアでないとしているのは、部活を教師に仕事として取り組ませたいというのはありそうです。

ただ、あくまで生徒の自主的な活動にすぎないものに対して、最低賃金も貰わずに先生が関わっている部活動というものが仕事と呼べるかというと疑問があります。仕事に見合う対価が支払われていないからです。

かといって、ボランティアといえば、無償で自主的に取り組むものですから、そうとも言えない。

複数名の子供を休日に一人で安全性も担保して、子供たちの目標のために指導する。しかし賃金は最大でも時給600円。教師の給料が他の公務員に比べて高く設定されていても、これはインセンティブに乏しい。

 

こうやって整理してみると、一親としては部活に取り組んでくれている教師には感謝しつつ、必要に応じて外部指導者を保護者でお金を集めて呼ぶことも検討したいなと思いました。

参考:公立中学校 部活動の顧問制度は絶対に違法だ!!

 

以上、本題です。以下、余談です。

 

 

 

余談

中学生や高校生が主役のエンターテインメント作品には、部活が廃部の危機で、どうにか生徒を集めるんだけど、顧問の教師が決まらずに部活にできないとか、顧問の教師が熱心でないから苦労するとか、そういうものを見かけますよね。

また、スポーツ漫画だと当たり前のように教師は土日に遠征試合を設定してついていくものだし、優勝すると教師が自費で食事をおごったりします。

 

先日は、高校教師が自らの子供の入学式に出席するために勤務先の学校の入学式を欠席したことが話題になっていました。

高校教諭が入学式を欠席 「息子の入学式に出席のため」という理由は許されるか

 

エンターテインメント作品で、教師のプライベートを描くことは本筋ではないでしょうが、生徒視点では一見すると感動的で、魅力的な部活動を描いた作品は、教師の視点ではブラック労働の象徴かもしれない。

教師の部活動への関わり方がホワイト化した時に、部活動を扱ったエンターテインメント作品はどうなるんでしょうね。

 

比較的地獄なトピ

真面目な話ばかり書いてしまったので、念のため皆さんご希望の比較的地獄気味な小町のトピを置いておきます。ほっこりしていって下さい。

部活動に子連れで来る顧問・・・ : 妊娠・出産・育児 : 発言小町 : 大手小町 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

高校教師やってる方!仕事嫌になりませんか : キャリア・職場 : 発言小町 : 大手小町 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)