斗比主閲子の姑日記

姑に子どもを預けられるまでの経緯を書くつもりでBlogを初めたら、解説記事ばかりになっていました。ハンドルネーム・トップ画像は友人から頂いたものです。※一般向けの内容ではありません。

母親が「娘になぜか嫌悪感を持つ」ケースでは、その母親自身が自分の母親に愛されていたかをまず確認する

Twitterのタイムラインで立て続けに鴻上尚史さんの人生相談が言及されていました。

世界の姑ことid:kukkyさんと、

理系Ph.D.のid:hahalogさんです。

相談の中身は、39歳女性からの「息子は愛せるけど、15歳になる娘は生まれたときからなぜだかずっと嫌悪感を持ち続けている」という内容です。母親失格というペンネームにしている通り、本人からすると間違ったことをしているという認識があるというもの。

私にもたまに娘を愛せないという母親からの相談が来るんですが、そういうときはまず、その人自身が自分の母親に愛されていたという自覚があるかを確認するようにしています。で、hahalogさんがコメントしている通りで、「自分も母親から愛されていなかった」ということが結構あります。

また、夫の息子への躾が厳しすぎるという相談も母親から来ることがあるんですけど、そういうときもよくよく聞けば、その夫自身が自分の父親から厳しく躾をされていたということがかなりの割合であります。

もちろん例外はあるものの、私がいつも書いている通り、被害者が加害者になる、DVの負の連鎖みたいなものが、同性の親の間で伝承され続けているというのは割と良くあること(30-40%ぐらい?)だというのが私の観測範囲での現象です。

まあ、「娘になぜか嫌悪感を持つ」の答えが「自分が嫌悪感を持たれていたから、それをミラーのように娘にぶつけている」だったとしても、それがすぐに解決に繋がるかといえばそうでもないんですけどね。

自覚が持てた、モヤモヤを言語化できたというのは解決の糸口にはなる。だけど、この鴻上さんに送られてきた相談のように、十数年も身近にいる親が自分のことを嫌悪を持って接してきた問題について、その十数年での蓄積されてきたダメージを、「あ、私、同性の親からやられたことを自分の同性の子どもにやり返しているんだ!」と気付けるだけで帳消しにできるかといえば、私の観測範囲ではそう多くはありません。

鴻上さんも書いている通り、この後はカウンセリングとかプロの領域です。私は暇潰しにアダルト・チルドレンの関連本を何冊か読んできましたが、「親に愛されていなかった」「受け入れられなかった」「嫌われていた」という感覚を払拭するのは、非常に大変なことだと理解しています。それが出来たら凄いことで、素晴らしいこと。