斗比主閲子の姑日記

姑に子どもを預けられるまでの経緯を書くつもりでBlogを初めたら、解説記事ばかりになっていました。ハンドルネーム・トップ画像は友人から頂いたものです。※一般向けの内容ではありません。

手足口病流行中。子どもが罹った時に見ておきたいサイト(症状、対処法、登園可否など)

自治体から手足口病が流行っているというおしらせがあって、年齢的にもそろそろ下の子が手足口病デビューしてもおかしくないなと思っていたら、一昨日ぐらいからご飯を食べづらそうにしていたので、「あー、これは手足口病で口内炎ができているんだろうな」と思い小児科に連れて行ったら、案の定罹っていました。熱もないし、軽度でしたけどね。

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※こんな風に手にポツポツ。

手足口病が最近流行ったのは2011年と2013年で、今年も警報レベル(サンプルとなる医療機関ごとの平均での罹患者数が5人となること)を超えたようです。

手足口病 定点あたり報告数まとめ-全国的に警報レベル超える(7/14) | RESCUENOW.NET

手足口病は1~2歳の子どもが罹る病気としてはごく一般的ですから、皆さんよくご存知だとは思いますが、ネットで検索をすると、出所不明の適当な情報が出てきます。

ということで、今回自分が調べ直した時に参考にした、公的機関による手足口病に関する信頼できるサイトを紹介しておきます。症状や対処法や保育園や幼稚園に登園できるか等については、時間のない人のためにQA等を一部抜粋します。

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※今年流行っているのは、コクサッキーウイルスA6型。画像は、国立感染症研究所から。

 

公的機関による手足口病に関する提供情報

厚生労働省:手足口病に関するQ&A|厚生労働省

今回紹介する中では一番読みやすいです。日本医師会もこちらを参照しています。

 

国立感染症研究所:手足口病とは

もう少し高度な情報が知りたい人向け。

 

アメリカ疾病予防管理センター(CDC):Hand Foot and Mouth Disease | Home | HFMD | CDC

アメリカ版国立感染症研究所といった位置付けですが、たぶん、疾病関係の報告では、世界で最も信頼されているところだと思います。日本語以外の情報ソースが欲しいなら。

 

文部科学省:学校において予防すべき感染症の解説:文部科学省

これはちょっと幅広いんですけど、文科省が作成した学校の先生向けの伝染病の解説本です。PDFです。小児科医の先生も読んでいそうですけど、今回子どもを連れて行った小児科医は「手足口病なら軽度でも絶対登校禁止だから~(断言)」と言っていたので、あまり浸透していないのかなと思いました。

 

手足口病の症状

以下は、厚労省のQAからの抜粋です。

Q3 どのような症状が出ますか?

A3 感染してから3~5日後に、口の中、手のひら、足底や足背などに2~3mmの水疱性発疹が出ます。発熱は約3分の1にみられますが、あまり高くならないことがほとんどであり、高熱が続くことは通常はありません。ほとんどの発病者は、数日間のうちに治る病気です。しかし、まれですが、髄膜炎、小脳失調症、脳炎などの中枢神経系の合併症のほか、心筋炎、神経原性肺水腫、急性弛緩性麻痺など、さまざまな症状が出ることがあります。(特にEV71に感染した場合には、他のウイルスによる手足口病と比べて、中枢神経系の合併症を引き起こす割合が高いことが明らかとなっています。)また、手足口病の典型的な症状がみられずに重症になることもありますので、注意が必要です。なお、近年、コクサッキ―ウイルスA6感染により手足口病の症状が消失してから、1か月以内に、一時的に手足の爪の脱落を伴う症例も報告されていますが、自然に治るとされています。
手足口病にかかったこどもの経過を注意深く観察し、合併症に注意をする必要があります。

今年流行っているのはコクサッキ―ウイルスA6型ですが、手足の爪の脱落は一時的なもので自然に治るそうです。

 

手足口病の対策

こちらも、厚労省のQAからの抜粋です。

Q4 感染しないようにするために、どのようなことに注意すればよいですか?

A4 手足口病には有効なワクチンはなく、また手足口病の発病を予防できる薬もありません。治った後でも、比較的長い期間、便などからウイルスが排泄されることがあります。また、感染しても発病はせず、ウイルスを排泄している場合があります。これらのことから、発病した人だけを長期間隔離しても有効な感染対策とはならず、現実的でもありません。前述したように、衛生観念がまだ発達していない乳幼児の集団生活施設では、施設内での感染の広がりを防ぐことは難しいです。しかし、手足口病は、発病しても、軽い症状だけで治ってしまうことがほとんどであるという意味で、感染してはいけない特別な病気ではありません。これまでほとんどの人が子どもの間にかかって、免疫をつけてきた感染症です。

一般的な感染対策は、接触感染を予防するために手洗いをしっかりとすることと、排泄物を適切に処理することです。特に、保育施設などの乳幼児の集団生活では、感染を広げないために、職員とこども達が、しっかりと手洗いをすることが大切です。特におむつを交換する時には、排泄物を適切に処理し、しっかりと手洗いをしてください。

手洗いは流水と石けんで十分に行ってください。また、タオルの共用はしてはいけません。

手足口病は、治った後も比較的長い期間便の中にウイルスが排泄されますし、また、感染しても発病しないままウイルスを排泄している場合もあると考えられることから、日頃からのしっかりとした手洗いが大切です。

そもそも有効な対策はなく、手洗いや排泄物の処理は必要だけれど、隔離をするのは有効ではないということです。ただし、他のQAにありますが、まれに合併症が発症することもあるようなので、その時は医療機関に連れて行くこと。

一応、CDCでの記述も貼っておきます。

Hand Foot and Mouth Disease | Prevention and Treatment | HFMD | CDC

There is no specific treatment for hand, foot and mouth disease. However, some things can be done to relieve symptoms, such as

  • Taking over-the-counter medications to relieve pain and fever (Caution: Aspirin should not be given to children.)
  • Using mouthwashes or sprays that numb mouth pain

Persons who are concerned about their symptoms should contact their health care provider.

有効な対処策はないけれど、発熱や痛みを抑える大衆薬(ただし子どもにアスピリンはだめ)、うがい薬やスプレーは使うのはありだそうです。もちろん、心配なら医療機関に相談すること。

 

手足口病に罹った後の登校、登園は可能か

こちらは、国立感染症研究所の記載から。

学校保健法での取り扱い

手足口病は、学校で予防すべき伝染病1~3種に含まれていない。主症状から回復した後もウイルスは長期にわたって排泄されることがあるので、急性期のみ登校登園停止を行って、学校・幼稚園・保育園などでの流行阻止をねらっても、効果はあまり期待ができない。本疾患の大部分は軽症疾患であり、集団としての問題は少ないため、発疹だけの患児に長期の欠席を強いる必要はなく、また現実的ではない。通常の流行状況での登校登園の問題については、流行阻止の目的というよりも患者本人の症状や状態によって判断すればよいと考えられる。

(太字は筆者)

登校登園停止による流行阻止の期待はあまりできず、発疹だけの子どもに長期欠席を強いる必要はなく、流行阻止の目的ではなく状態によって個別判断するということだそうです。

なお、ここで予防すべき伝染病の1種に含まれているのは、エボラ出血熱、ペスト、ジフテリアなど、2種に含まれているのは、インフルエンザ、おたふくかぜ、風疹、みずぼうそうなど、3種に含まれているのは、コレラ、腸管出血性大腸菌感染症、腸チフスなどです。手足口病はこれらに含まれておらず、その他の感染症扱いです。

 

国立感染症研究所の情報について、更に詳しくは、文部科学省の学校において予防すべき感染症の解説に記載があり、こちらでは、

4 その他の感染症 ( 第三種の感染症として扱う場合もある )

 「その他の感染症」として出席停止の指示をするかどうかは、感染症の種類や各地域、学校における感染症の発生・流行の態様等を考慮の上で判断する必要がある。そのため、次に示した感染症は、子どものときに多くみられ、学校でしばしば流行するものの一部を例示したもので、必ず出席停止を行うべきというものではない

(太字は筆者

とあり、具体的に、手足口病の項を見ると、

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 登校(園)の目安

本人の全身状態が安定している場合は登校(園)可能。流行の阻止を狙っての登校(園)停止は有効性が低く、またウイルス排出期間が長いことからも現実的ではない。手洗い(特に排便後、排泄せつ物の後始末後)の励行が重要。

と記載があります。 もちろん、各園や各校の判断はあるんでしょうけどね。

 

締め

手足口病は、子どもが罹ると見た目がイマイチになるので、慣れないとパニックになりますよね。

ただ、ご覧のとおり、有効な対処策はなく、結構みんな罹るもので、しかも自然治癒するし、排出期間も長いということですから、「手足口病だから外出禁止!」「もちろん登校、登園禁止!!」なんて思い込まず、本人の容態を見ながら、冷静に対処できるといいと思います。

どちらかというと親がこれまでに罹っていない型の手足口病が流行っている方が、それはそれで気をつけた方がいいでしょうけどね。大人の手足口病は、重症化しやすく、痒みや痛みもかなりある。妊婦の場合も極稀だけど注意が必要(詳しくは産科医に)。

追記

妊婦については基本的には問題ないけど、手足口病による高熱による影響で最初の3ヶ月流産が起きることが超レアだけどありえるようです。

What are the risks of hand, foot and mouth disease during pregnancy? - Health questions - NHS Choices

If a pregnant woman gets hand, foot and mouth disease, there’s normally no risk to the unborn baby, as complications are rare.
HFMD is rare in healthy adults, so the risk of infection during pregnancy is also very low.
However, if you develop hand, foot and mouth disease:

  • during the first three months of pregnancy – in very rare cases, this may result in miscarriage due to the high temperature (fever) in the mother
  • shortly before you give birth – the infection can be passed on to your baby

Most babies born with hand, foot and mouth disease have only mild symptoms. On rare occasions, complications can affect the baby’s organs. Occasionally, these complications are severe.

こちらの出典は、NHS(イギリスの国民保健サービス)です。

なお、コメントいただいた日本産婦人科医会の2013年の声明は以下のとおりです。

手足口病の流行に関して - 日本産婦人科医会

妊婦に感染することはまれですが、罹患した場合についての詳細かつ広範な症例の分析報告はありません。しかしながら、胎児異常との明らかな因果関係を証明した報告はありません。まれに流死産症例、胎児水腫などの報告はありますが、ほとんどの罹患例では対症療法を行い、慎重な経過観察等で対応することで済まされるものと考えられています。

罹患自体がまれであり、罹患したとしても対症療法と慎重な経過観察等での対応で問題ないということ。

ということで、色々考えれば、この時期は子どもに手洗いを励行させるぐらいですかね。

 

余談ですけど、もう少しで、親にとっては地獄の夏休みが始まりますね。手足口病より、そちらのほうで頭がいっぱいです。

 

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