斗比主閲子の姑日記

姑に子どもを預けられるまでの経緯を書くつもりでBlogを初めたら、解説記事ばかりになっていました。ハンドルネーム・トップ画像は友人から頂いたものです。※一般向けの内容ではありません。

世の中には自分には想像もつかない行動をする人がいる

ネットの匿名エピソードを読んでいると、普通では信じられない行動をする人を見かけます。

 

自分はそういうのを見て、「そういう話もあるかな」と行動自体は真実だと思いながら読みます。釣り(創作)かどうかの判定は、エピソードに意外性があるかより、どれだけ読者を意識しているか、当事者視点に立った時不自然な描写があるかどうかで考えます。全体の中で話が盛られすぎているところがないかとかですね。

昨日たまたま実名で貧乏エピソードをインタビュー形式で公開されている方がいました。作家の柳美里さんです。掲載されていた媒体は、時々飛ばし記事を出す、スキャンダル志向の強い日刊サイゾーで有名な株式会社サイゾーが運営するビジネスジャーナル。(ビジネスジャーナルも何度かやらかしています。これとか、これとか。リテラ(LITERA)もサイゾーが運営していますね。Literacyから取ったと思うのですが、自家撞着というか、上手い名前を付けるものです。)

自分が興味深いと思った箇所を抜粋した上で、コメントする形で紹介します。

 

1億円の年収でローンを背負って家を買う

--柳さんの最も多かったときと少なかったときの年収を教えてください。

柳 多かったときは1億円以上、少ないときは400~500万円です。少ないときでも日本の平均収入くらいはありますが、1億円あったときに購入した神奈川県鎌倉市の家のローンと維持費が生活を圧迫し、水道や電気などの公共料金すら支払えない事態となりました。

1億円の年収というのは凄いですよね。その上でローンを背負って家を買ったというのは普通の人の金銭感覚では理解し難いものがあると思います。新築の家を購入してかかる維持費というと固定資産税でしょうか。管理人に対する管理手数料か。

自分なら、自分の職業が人気商売で、収入に波があるという理解があれば、ローンを背負って家を買うことはしません。賃貸にするか、ある程度現金払いで買える範囲の物件を選びます。

ただ、住民税の支払いタイミングのズレを知らない人は結構いますよね。知らずにお金が入った時にそれが使えるお金だと勘違いしちゃって翌年びっくりする。

 

目的地なくタクシーに2時間乗る

--収入が多かったときに貯金はしていなかったのでしょうか。2000年に亡くなった元恋人の東由多加氏が闘病されていた際は、アメリカの病院での毎週500万円もの高額ながん治療費を柳さんが工面されていたそうですが。

柳 貯金はしていませんでした。東さんががんになる前は、浪費、乱費をしていましたね。ブランド品や貴金属など後に残るモノを買うわけではないんです。例えば、タクシーに乗るんですが、目的地に向かうために乗るのではなく、ただ2時間走り回る。そうやってお金を無目的に無意味に使うということに意地になっていました。20代から抗鬱剤を服用し、出血性胃炎や十二指腸潰瘍などで入退院を繰り返していたので、長く生きられるとも、長く生きたいとも思っていなかったんです。

病気などの事情から長く生きたいという気持ちがなかったため、お金を意地になってでも使おうとされたそうです。家のローンをした時点で将来の収入の前借りのようなものですから、お金は消費していたんでしょうけど、目の前にあるお金をどうしても使っておきたかったんでしょうけどね。借金をしても生活スタイルを崩さない人はいます。逆に生活スタイルを崩さないために借金をすることもある。

タクシーは2時間乗れば2万円ぐらいですね。東京に住んでいる人ならメジャーな鉄道路線である山手線なら1周で1時間260円ぐらい。

 

徹夜続きでも子供のお弁当には冷凍食品を使わない

--シングルマザーの貧困が問題となっています。

柳 私の場合、「シングルだから子どもに手が回らないんだ」と思われたくなくて、肩肘を張ってしまったことも鬱になった原因のひとつです。幼稚園のお弁当だけは絶対に手を抜きたくないと思い、執筆で徹夜が続いても冷凍食品は一切使わず、毎朝お弁当の中身をポラロイドに撮って、帰ってきたら何は食べた、何は残したなどと細かくノートに記録していたら、あるとき気持ちが崩れてしまいました。やはりシングルマザーは、経済的に余裕がないか、もしくは時間的、精神的に余裕がないか、どれかに陥りがちだとは思います。

ここはシングルマザーの子育てで追い詰められていたという話ですね。徹夜続きで忙しいなら、惣菜だったり冷凍食品を使ってもいいものでしょうが、誰かにシングルだから子育てができないという謗りを受けるのではないかという意識から、お弁当の手抜きはしなかったそうです。

それだけならまだある話であるものの、加えて、何を食べたか残したかをノートに取っていたそう。これはかなりくるでしょうね。ポラロイドはフィルムが一枚30円ぐらいでしょうか。

 

締め

全体的に見ると、ご自身で意図的に浪費して貧乏になることを選んだことが伝わってきます。ネットで色んなことも書かれているそうですが、それも自分を追い込んで、書くということに集中できるらしい。だから叩いていいということではなく、これも有名税案件だと思う。

元々常識に縛られないように生きたいという気持ちがあったようなので、自然にこうなったというより、ある意味人工的なエピソードなのかもしれません。明治時代の小説家さんのよう。身を切って本にする。

世間一般で言えばごく少数だと思いますけどね。ただ、このように少数だけど実在する話はあるから、どんな話を聞いても、「そういう話もあるかな」と思いながら受け止めるようにしています。

 

最後に、これだけだとエピソードを消費しただけで、柳美里さんに何もお金が入らないので、その貧乏生活を書いたという本へのリンクを貼っておきます。 

貧乏の神様 芥川賞作家困窮生活記

貧乏の神様 芥川賞作家困窮生活記

 

※読んでおらず、特にお勧めしたいということもないので、アフィリエイトコードは付けていません。

 

[付録]シングルマザーに関する統計

ちなみに、シングルマザー数の増加ペースは以下のようになっています。全国で100万人と少しですね。

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総務省統計研修所/様々な家族形態に関する研究分析『シングル・マザーの最近の状況』2010年から

 

帰宅時間としては、午後6時以前、午後6~8時が多いようですが、午後10時以降の帰宅の人もいます。

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平成23年度全国母子世帯等調査結果報告|厚生労働省から

 

収入としては自身の収入の平均が2010年時点で勤労収入が181万円です。それ以外に手当てや養育費等が入って223万円。

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平成23年度全国母子世帯等調査結果報告|厚生労働省から

 

母子家庭に関連する手当て等も紹介しておきます。

シングルマザー必見!母子家庭を支援する手当と助成金制度まとめ

 1.児童手当
2.児童扶養手当
3.児童育成手当
4.特別児童扶養手当
5.遺族年金
6.母子家庭・父子家庭の住宅手当
7.生活保護
8.ひとり親家族等医療費助成制度
9.乳幼児や義務教育就学児の医療費助成
10.所得税、住民税の減免制度
11.国民年金・国民健康保険の免除
12.交通機関の割引制度
13.粗大ごみ等処理手数料の減免制度
14.上下水道の減免制度
15.非課税貯蓄制度(マル優)
16.保育料の免除と減額

 

また、いのちの相談という、電話で悩みを相談できるところもあります。

一般社団法人日本いのちの電話連盟

毎月10日は無料で話せます。

一般社団法人日本いのちの電話連盟

●日時
毎月10日午前8時から翌日午前8時まで

●電話番号
0120-738-556

●主催
一般社団法人 日本いのちの電話連盟