斗比主閲子の姑日記

姑に子どもを預けられるまでの経緯を書くつもりでBlogを初めたら、解説記事ばかりになっていました。ハンドルネーム・トップ画像は友人から頂いたものです。※一般向けの内容ではありません。

"川の水を飲んでいた友人の話"

友人の話です。

 

その友人は、自分に好意を寄せる男性からのアプローチは受け入れられず、自分に対して冷たく当たる男性に好意を寄せる傾向がありました。

蛍川・泥の河 (新潮文庫)

 

自分に対して冷たく当たる男性との付き合いは、それは外野から見るととても悲惨なものであり、周りは「何で、そんな男とばかり付き合うのか」と、彼女のだめんず・うぉ~か~っぷりに、呆れていました。

 

すったもんだの挙句、友人のアドバイスを受けて、「やっぱり、彼っておかしいよね」と気付き別れても、次に付き合う男性もやはり同じタイプ。本人は綺麗め美人で、アプローチしてくる(魅力的な)男性は多いのに、そこからは選ばず、常に、自分に無関心な男性に自ら告白していく。

 

例をいくつか紹介します。

 

その彼A君とは、彼女は同棲もしていたのですが、いつも彼女に対して、「ガスの元栓は締めたか」「コンセントから家電製品のプラグは抜いたか」と言ってきたそうです。そのタイミングは家を出た直後に限らず、楽しくデートをしている最中もそう。自分でやればいいのに、彼女にチェックさせる。彼女が仕事をしている時も、メールを送ってきて、「コンセントを抜いたか」を質問してくる。「どう考えても、その人はおかしい。几帳面のレベルを超えている」と周りから諭されても、「他のところでは優しいし……」と受け入れられず。結局、「プラグのチェックをし忘れたら食事抜き」というルールができてから、ようやくおかしさに気付き、別れました。

 

また違う彼B君は、彼女の部屋に転がり込んできて一緒に住み始め、家賃は一切払わず、生活費はすべて彼女持ち。「疲れた僕に君は何もしてくれない」と言われて以来、料理を作るのも彼女がするようになったそうです。また、周りから、「それって完全にヒモだよね」と諭されても「でも、彼は私が疲れているからとセックスしないでくれているし……」と、別れるのに1年かかりました。

 

彼女の男関係は感心しないものの、共通する趣味があったため(花の24年組のファン)、長い付き合いとなり、友人の中ではいつしか自分が最も彼女の恋愛話を聞くようになっていました。

 

一体、何が彼女をそうさせているのか、ある時聞ききました。彼女の答えはこうでした。

 

「彼は、私を綺麗って言わないから。私は綺麗じゃない」

 

彼女に言い寄ってくる男性はみんな、彼女を綺麗系として扱っていたそうです。持ち上げる感じ。友人はそれが気持ち悪くて嫌だった。自分にはそんな価値はない。綺麗だとして扱ってくる男性は本当の自分を見てくれていないと思っていた。

 

自己評価と他己評価に差がありすぎたようです。低い自己評価に見合った評価をしてくれる男性こそが自分をちゃんと見てくれている、認めてくれていると考えていた。

 

彼女は何度も何度もそういったことを繰り返して、その度に自己評価を下げていきました。「これだけ上手くいかないのなら、問題は私にある。私にもっと厳しくしてくれる人と付き合わないといけない」と。

 

 

 

そんな彼女が結婚しました。お相手Cさんはお見合いで紹介された人。結婚前にCさんと話す機会がありましたが、これまでの彼とは違って誠実そうなタイプ。人の目を見て話すのが印象的な方でした。

 

Cさんがいないところで、彼女に聞きました。「これまでと違うタイプだけど、大丈夫?続けていける?」彼女は「彼は、私の良いところも悪いところも見てくれる。自分を卑下することは、自分を見てくれる彼も裏切ることだと教えてくれた。それで、みんなに、これまでアドバイスされてきたことが繋がって、目の前が開けた気がした」と答えました。

 

 

 

今では、Cさんとの間には、子供も生まれ、マイホームの前で家族が笑う写真付き年賀状が毎年送られてきます。彼女のこれまでを見てきた身としては、これからも彼女がこの幸そうな笑顔のままでいてくれることを願っています。

 

参考

川の水を飲んでいた女と呼ばれ - ハート♥剛毛系

 

余談

余談ですが、元は清流だと思ってゴクゴク飲んでいて、気付いたら海水になっていたというのは、ビジネスでたまに聞くゆでガエルの寓話に似てますよね。環境は徐々に悪くなっているのに(お湯の温度は高くなっているのに)本人は気付かず、(熱くて)逃げ出そうという頃には、もう逃げ出せない(ぐらい熱い)という寓話。

実際には、カエルは熱いと逃げ出すので、これは疑似科学です。熱くなったら逃げ出す。同じように人間も、おかしな環境にいると気付いた時には、逃げ出すことができる。鍋の外にいる友人がアドバイスをくれたりしますしね。逃げるタイミングが早いか遅いかの違いはあっても、死ぬまで耐えなくてもいい。