斗比主閲子の姑日記

姑に子どもを預けられるまでの経緯を書くつもりでBlogを初めたら、解説記事ばかりになっていました。ハンドルネーム・トップ画像は友人から頂いたものです。※一般向けの内容ではありません。

炎上しているらしい、とある石鹸のWebムービーがたぶん言いたかったこと

どうやら、とある石鹸のWebムービーがネットで炎上しているらしいです。

いつもだったらこのWebムービーを紹介して、炎上の解説をするところですが、今回は止めておきます。マーケティング活動に貢献する気がないのと、多くの人が何が燃えるところか分かるものを解説するのも冗長だからです。

 

ただ、「制作者が何を伝えたいのか意味が分からない」というコメントはたくさん見かけたので、その辺は需要がありそうなので、この記事を書きます。分かると思いますけど、ムービーへのリンクも貼ってませんし、制作者へのフォローではありません。

一応ムービーの内容もそれなりに分かるように書きます。気になる人は、『石鹸 ムービー』で検索してみてください。

 

ムービーの内容を説明しますと、

基本的に夫視点。夫はフルタイム・妻は恐らく専業主婦(じゃなくて働いてるみたい)、子どもは小学校三年生ぐらい。

カレンダーでは今日が息子の誕生日となっており、夫が朝のゴミ出しをしようとしているところで、妻は夫に誕生日ケーキを帰りに取ってくることをお願いする。夫はバス通勤で職場に。夫が職場で働いていると、後輩が上司に叱責されているのを見かける。そのとき、息子の誕生日プレゼント(野球のグローブ)を買ってくるよう妻からLINEが。仕事が終わってプレゼントを購入した後で、夫は叱責されていた後輩と居酒屋に飲みに行く。その間、妻からの電話は無視。飲んで帰宅後、妻から怒られ、スルーして風呂に入り、さっぱりした後で、妻に謝り、妻は笑顔で子どもを呼ぶ。

なお、この間、夫の目は死んでいる。

というものです。ほぼ全部書いちゃった。まあ、燃えますね。なぜそこで居酒屋に行くんだと。

 

それで、このムービーでたぶん言いたいことは、ターゲットは既婚フルタイムで働く子持ち世帯の男性として、そのターゲットに、『昔は父親は子どもに背中を見せていれば良かったけれど、今時はゴミ出しも"やらされる"し、細かい雑事も依頼されて今の父親業はつまらないよね。職場の後輩を飲んで励ますのも仕事の一つなのに、家族を優先するべきみたいな風潮だし。とりあえず、お風呂に入ってこのモヤモヤした気分を洗い流しましょうか』ということを伝えたいんだと思います。要するに、『お父さん、辛いよね』という共感を示すものですね。

 

意図はたぶんこういうことだとして、まあ、燃えるのは燃えますよね。そもそも、家事育児に関与することに抵抗感がある、昭和の父親像がまだ頭に残る男性が、石鹸を自ら買おうとするのかというのも怪しいし。というか、むしろ買いたがらないですよね、そんなのは妻の仕事だとか思っていてもおかしくないわけで。

ターゲット層以外には受けいられず、ターゲット層も実際には購買には繋がらないので、その辺も何のためにこのムービーを流すか意図が分からないと思われるのだと思います。

 

人は自分が教育されたように、他人を教育するところがありますから(自己肯定の一環として)、昔の親像が頭に残っていると、今の親像がしっくり来ないという人は結構いてもおかしくないんですよね。ただ、自分が親としてどうあるかというのは、昔の親像をそのまま踏襲するのでもなく、また他人からのお仕着せに従うのではなく、自分が誰のためにどうありたいか・何をしたいかを現在進行系で考えて行動していいわけで。

例えば、自分が子どものときに忙しい父親とキャッチボールができなかったという記憶があるなら、子どものために一緒にキャッチボールをしようと考えてもいいんですよね。誕生日当日に、妻から言われたグローブを息子一人分買うではなくて、自分の分も買って二人でキャッチボールをしてもいいんですよね。