斗比主閲子の姑日記

姑に子どもを預けられるまでの経緯を書くつもりでBlogを初めたら、解説記事ばかりになっていました。ハンドルネーム・トップ画像は友人から頂いたものです。※一般向けの内容ではありません。

戦略としての専業主婦

毎週恒例『ずっ独』への感想です。今回は、仕事と結婚(家事、育児)の両立についてとある年下女性と話すというエピソードが挿入されていました。

ずっと独身でいるつもり? (64) 独身の「理由」 | マイナビニュース

結婚したら仕事を辞めたい、という女性が少なくない数でいることは、私も知っていました。しかし、私はそれを「専業主婦への憧れが強いんだなぁ」と解釈していました。仕事が嫌なのかもなぁとか、家事や育児を丁寧にしたいんだろうなぁとか、そういうふうに思っていたのです。

 

けれど、彼女の言葉から伝わってくるものは、そういうこととは全然違っていました。現実的に、家事と仕事を両立するのは無理。家事をきっちり分担にして続けるというのも、二人ともフルタイムではどちらもつらい、という「当たり前の現実」に即して考えた結果の、前向きで建設的な考えに思えました。自分のしたいことだけを考えて出した答えではなく、結婚する相手のことを考えた上での答えなのだな、とも感じました。

という話から、仕事も大切にしていきたい、結婚もしたい、そんな自分はわがままなのか、何かを諦められないなら一人でいいのではないかと雨宮さんが自問自答するところで終わっています。

 

ここに登場する女性は戦略的に専業主婦(将来的に兼業主婦もあるのでしょうが)を選択しようとされているようです。女性が結婚したら寿退社し、子育てに注力するという戦後の専業主婦モデルは今では古いという考え方はありますが、現代でも専業主婦(主夫)を戦略的に志向する人がいるのはtopisyuの周りを見ていても感じるところです。

 

しかし、誰もがこの選択ができるかと言えば、必ずしもそうではなく、専業主婦(主夫)として結婚生活を維持できるにはいくつか条件が必要だとtopisyuは考えています。それを書くのがこの記事です。

※専業主婦モデルを否定している人、現在専業主婦である人、専業主婦を選択肢として考えていない人、専業主婦は一時的なもので再度働くことを考えている人向けではありませんので、そっ閉じを推奨します。

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photo by mrrobertwade (wadey)

 

専業主婦(主夫)を維持できる条件

大きく以下の3つがポイントかと思います。

  1. パートナーが専業主婦(主夫)になることを望んでいること
  2. 自分が専業主婦(主夫)でも生活ができる十分な資力があること
  3. パートナーと離婚する可能性が少ないこと

1は当然といえば当然で、相手が望まないで選択しても喧嘩になります。仮に望んでいたとしても、相手は何かの条件を付けてくる可能性があります。例えば、子供を作ること、子育てをすること、親の介護をすることなど。その条件が折り合えるかどうかがポイントとなります。

 

2も分かりやすいですよね。確かに、二人で暮らせば、単独で暮らしているよりも、住居費や食費含めて生活費は浮くことになります。月3万円ぐらいは確実。それでも、二人分の生活費はかかるわけですから、それをどちらか一方の収入で賄えるかどうか。(相続財産でもあれば別ですが) そして、子供ができたときにはもっと大きな経済的負担がくる。特に教育費が重たく、海陽学園 やインターナショナルスクールに年300万円払うという家庭は多くはないにせよ、私立で70万円~100万円払うというのは選択肢として出てくる。ここまで考えて、一方が専業主婦で、これを賄える資力が十分にあるかを検討することになります。

 

3は維持という観点で検討するものです。離婚してしまえば少なくとも今のパートナーとの間では、専業主婦ではいられなくなる。だから、離婚しにくい相手を選ぶ必要がある。ただ、これは結婚した当初はほとんど分からないですから、現実的な条件かと言えばそうではないかもしれません。

 

専業主婦を選択する困難さ

上記の1~3を全て満たせるか考えると、なかなか厳しいように見えてきます。1についてはそれを望む人はいるとは思いますが、現実的に2の金銭面を考えると子供ができて教育費の支払いが出てくると専業主婦を止めて欲しいと言われる可能性はある。3で、性格の不一致で離婚に至る可能性も無視できるほど、小さくない。

 

雨宮さんのエピソードに出てくる女性は付き合う人と毎回結婚話が出るということは、恐らく結婚相手として異性から魅力的なのでしょう。選べる状況なら1と2を満たす人を探してきやすい。

 

一方で、条件が揃っていないで結婚される人もいます。たまたま井戸端会議でも同じような話がありました。夫から働いてほしいと言われている女性からの相談です。

本当は専業主婦でいたいのに、夫は働いてほしいと… | 井戸端会議/お嫁さんな日々

2013/11/13 のぞみんさんのご相談

本当は専業主婦でいたいのに…の悩みです。

 

私は、18才から、一人暮しと仕事をしてきて、早く結婚して、社会保険の夫の被扶養者になるのが夢でした。

焦るものの、なかなか、結婚できる状況の相手に巡り会えず、22才から結婚紹介所に入り、仕事が忙しかったり、やる気を失ったりで、マメに活動をしたわけではありませんが、今年初旬に今の主人(36才)と出会い、6月に私(37才)で結婚しました。

 

主人は、中卒で働き、数百万円の貯金有り、私も主人には金額は、公開していませんが、貯金があります。

この方のケースでは、1はダメ、2は貯金が多少あったとしても厳しさを感じます。(結果、回答も辛口です。)

 

常に専業主婦が選択できそうな人、15年間婚活をしても専業主婦を維持できなさそうな人、非常に対照的な例となってしまいましたが、それぞれのエピソードから、必ずしも誰もが専業主婦を維持できるものではないというのが考えられると思います。

 

そして考える離婚のこと

最初に書いた通り、離婚については今考えられるものでもないので、3の離婚しないということは条件として検討に値するものではないかもしれませんが、専業主婦を選択する上で考えることはあると思います。

 

というのも、仮に結婚期間が長く、その間専業主婦であった場合に、日本では離職期間が長ければ長いほど正社員としての再雇用へのハードルが上がる傾向があるからです。離婚してしまうと専業主婦でなくなるだけではなく、その後の生活への不安定を感じる可能性がある。

 

これを考えて、逆にどんな状態でも離婚をできなくなる人もいます。先ほどの井戸端会議のレスの一部抜粋なのですが、

るおりん より:2013/11/14 8:58 AM

ちなみに私は年収1000万円以上の男性と結婚した時に

「専業主婦になっても、働き続けてもどちらでもいいよ」

と言われましたが、私は迷わず働き続けることを選びました。

 

この時は2度目の結婚だったのですが、

1度目の結婚の時に専業主婦の道を選び

大失敗した経験があったからです。

経済的に自立していなかったため

離婚後の自分の生活が不安定で苦労しました。

 

その後、安定した収入を得るようになり、

2度目の結婚に至ったわけですが

相手の収入に頼って生きるのは辞めようと思っていたので

仕事は続けました。

 

結果、この人と関係がうまくいかなくなった時に、

自分の収入があったので、別居も離婚も難なくできました。

(自慢できることではありませんが)

 

自分らしく生きるためには、

自分の食いぶちくらいは自分で稼げるようでないと

だめなんじゃないかな・・・と個人的には思ってます。

このように、過去の経験から、仮に1と2の条件を満たしていても、3を考慮し、どんな時でも自分らしく生きていけるよう、専業主婦ではなく働くことを選ぶ人もいる。

 

締め

仕事を諦めて結婚を選ぶ人もいれば、結婚で自分らしさを失うことを考えて仕事を続ける人もいます。人生での選択は各人が選ぶもので、必ずしも皆が同条件下にあるわけではありません。結婚に際し、取りうる戦略・戦術も個々人で違ってくるとtopisyuは考えています。