斗比主閲子の姑日記

姑に子どもを預けられるまでの経緯を書くつもりでBlogを初めたら、解説記事ばかりになっていました。ハンドルネーム・トップ画像は友人から頂いたものです。※一般向けの内容ではありません。

料理は家事の中でも最高難易度。美味しくできて当たり前なんてことはない

料理ができる人、料理をしない人からすると、どうして料理を苦手にしている人がいるのか、マズい料理を作る人がいるのか理解できないかもしれませんが、世の中にはかなりの割合で、料理に苦手意識がある人がいます。

料理絡みの統計を本記事ではいくつか紹介していきます。

 

料理が嫌いな女性は2割

例えば、以下の図はクックパッドによる2013年のアンケート結果です。20~59歳の女性1,245名に対して料理が好きかどうかを聞いたところ、好きだと答えているのは60%もいません。そして、料理が好きだという人の割合は、年齢が上がれば上がるほど下がっていきます。

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※画像は、クックパッド『料理に関するアンケート結果』(2013年7月)より

このアンケートでは料理を作る理由も聞いており、料理を作る理由には、必要に迫られてや節約のためなど、必ずしも積極的ではない理由も含まれます。途中から、レシピがあると料理しやすい、クックパッドをよく使っていると、クックパッドの宣伝になるんですが。

※クックパッドはよく利用しています。余った食材を何に使うかという目的

 

食事自体に興味を持てない人もいる

料理好きな人からすると、美味しい料理を食べるのは当たり前のことかもしれませんが、世の中には毎日お菓子を食べていればいいというような人もいますし、そもそもエネルギーさえ摂取できればという人もいます。

以下は食事の目的に関してのアンケート結果ですが、特に意味は持たない、単にお腹を満たすこと、エネルギーや栄養の補給で合計30%ぐらいになります。単一回答での結果ですので、リラックスとかコミュニケーションとか、そういったものに重きを置かない人がこれだけいるということです。

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※画像は、農林水産省『食料消費に関する消費者の意識調査』(2008年)より

このアンケートでは、他には、料理に手間をかける人、かけない人にそれぞれ理由を聞いています。料理に手間をかける人は料理が好きで健康志向が強く、料理に手間をかけない人は料理が嫌いで忙しい人が多い傾向にあります。

 

家庭で料理をする男性も増えつつあるがまだ少ない

最近はイクメンブームもあり、料理をする男性も増えつつありますが、その割合はまだ女性に比べれば圧倒的に少ないのが現状です。

総務省が毎年実施している社会生活基礎調査では、共働き世帯の男性の家事時間はこの20年で一日当たりで6分だったのが12分ぐらいに増えた程度です。

以下はマクロミルの女性に対するネット調査ですが、既婚女性の7~8割ぐらいがほぼ毎日夕食の料理をしています。そして妻が夕食の料理をしない時の食事の対応については、夫が料理をしているという回答は外食や弁当の購入より低い結果となっています。

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※画像は、マクロミル『料理と夫婦関係に関する調査|マクロミル』より

 

料理はみんながみんな自然にできるようになるわけではない

料理に限らず、男性の家事・育児への関わりが乏しいのには、やりたくないというのではなく、やり方を知らない、時間がないというのも結構知られた話かと思います。

それに対して、妻側から、こっちは実践でやらざるを得なくてやっているのだから、そっちも当事者意識を持ちなさいよと言ってケンカに発展するのもよくある家庭内トラブルです。

こういうトラブルの解決策は、男性が家事・育児を学ぶ機会をできるだけ増やし、男性の労働時間を減らすというのももう分かっている話ですね。

実際、男性が料理を覚えた方法を聞いたアンケートでは、自然にできるようになったという人も多いものの、母親や妻から学んだ人も結構います。

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※画像は、日清オイリオ『生活科学研究グループ |男も料理の時代2009 〜1997年からの変化〜』より

男性は若くなればなるほど母親から学ぶ割合が多かったり、1993年の中学男子の家庭科教育義務化の影響がはっきり見えたり、60代男性が妻から学んでいたりとか、色んな傾向が見えるのが面白い。

結局、こういうのも年代ごとで育ってきた環境の影響を受けるということです。小林カツ代さんの息子さんのケンタロウさんのような男性料理研究家も出てきているように、料理雑誌・料理本も男性向けのものがよく見かけるようになった。敷居が下がってきましたよね。 

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※これはうちにもあります。ケンタロウさんの料理は手軽なものが多い

 

締め

料理が何で難しいかと言えば、とにかく工程が多くて、複雑だからですよね。

  1. 食器や調理器や調味料を用意する
  2. 食材の買い物をする
  3. 買った食材を適切な調理器と調味料で調理する(家族がいれば家族の分だけ味付けには注意がいる)
  4. 適切な食器に適切な温度で盛り付ける
  5. 食後は食器を洗って収納する
  6. 残った食材に消費期限を管理しつつ後日の食材とする

できる人には当たり前かもしれませんが、2ではその世帯の経済状態にあった値段のものを買うとか、3では自分だけではなく、家族の好みを考慮するとか、6ではできるだけ廃棄ロスを減らすようにするとか、こういうことを考えるわけです。

子どもの頃から料理を教えてもらう機会があり、料理を学ぶ意欲があり、食事が好きで、買い物も好きで、誰かに自分の料理を食べさせたくて、食材管理ができて……みたいな人のほうが希少種なんですよね。

よく結婚相手に求める条件で「料理が上手なところ」というのはありますけど、それを設定しただけで、婚活市場においてかなりの人を除外することになります。育ってきた環境で料理ができない人もいるので、料理ができて当たり前みたいな風潮は自分はあまり好きではありません。

 

ということで、先週から続けてきた料理特集ですが、次回が最終回になります。タイトルは、

『文化資本のない人のための料理の基本の基本』

です。楽しみにしてください。