斗比主閲子の姑日記

姑に子どもを預けられるまでの経緯を書くつもりでBlogを初めたら、解説記事ばかりになっていました。ハンドルネーム・トップ画像は友人から頂いたものです。※一般向けの内容ではありません。

自分への評価を使って自尊心を測る習慣

読売新聞の人生案内は以前はWebで公開されていたのですが、現在は電子版に課金しなければ読むことができません。ただ、英語版は引き続き無料で公開されているので、そちらで読んでいます。(もちろん、相談文は英語です。)

 

この記事では、先日人生案内に投稿された、傷付くことが怖く、自己表現できないという20代半ばの男性による相談を取り上げます。

http://www.flickr.com/photos/87964631@N00/125763128

photo by jhmostyn

 

傷付くことが怖く、自己表現ができない

簡単に要約します。

TROUBLESHOOTER / It’s very difficult for me to express my opinions - The Japan News

(略)

Naturally, I’m alone most of the time, and I have no one to consult with regarding my problem. But I don’t feel lonesome, and I’ve learned not to care about it.

"過去いじめられた経験もあり、他人の意見のほうが正しい、自分が表現をすると軋轢を生むと考えるようになり、他人とは会話をしなくなった。今ではそれを受け入れている。"

Nevertheless, I feel as if I’m constantly fighting with myself over whether I should try to express my opinions more.

"そうはいっても、時々、自分の意見をもっと伝えたほうがいいのではと葛藤することもある。"

I’m afraid this letter did not explain my problem very well. How can I learn to express myself better?

"この相談文で自分の問題がこれで伝わっているだろうか。どうしたら上手く自己を表現できるようになるか教えてほしい。"

 

という相談です。最後の部分で、自分の言いたいことが伝わっているかどうかを確認しようとするのが、正に相談内容とマッチしていますよね。上手くまとめられているのに、自分のことを上手く表現できているか自信がない。自己評価が低い、自尊心が低いのが原因でしょうか。

 

高すぎても、低すぎても面倒な自尊心

自尊心が低すぎると、ストレスを過度に感じたり、鬱に繋がったりします。

自尊心は、元々心理学用語ですが、一般的にはネガティブな意味をはらむとして誤解されている印象があります。

自尊心 とは - コトバンク

自分の人格を大切にする気持ち。また、自分の思想や言動などに自信をもち、他からの干渉を排除する態度。プライド。「―を傷つけられる」

ここで記載されているように、自尊心があるというと、プライドが高かったり、他人の意見を受け付けないといったニュアンスをイメージしませんか。一方で、心理学用語では、

自尊心:心理学用語集

自尊心とは、自己に対する評価、つまり自信の上位概念であり、

時間的に変化しにくい認知である。自尊心・自己評価とも言い、例えば自分の価値や能力観を指すもの。肯定的に評価していれば自尊感情が高く、否定的に評価していれば自尊感情が低い。一般に人間は、自尊心を高く維持する、あるいは高揚するよう動機づけられているとされており、広範な人間行動を説明する様々な理論の基礎となっているのである。また、極端に低い自尊心は、心理学的障害の可能性を示唆するものとみなされ、特にうつ病に特徴的である。

このように定義されています。自尊心はある程度必要なものとして、人間行動を説明するのに使われます。

 

自尊心の低さは、自分を低く評価する、他人の意見を高く評価することで生まれるため、自尊心を取り戻すためには、小さなことから達成感を得て自信を構築していったり、周りの意見と自分の意見を日記などで整理したり、自尊心が低いことが過去の問題に起因するなら、この人生案内の回答のように、過去の問題を今から整理し直すということが解決策として考えられます。(これ以上具体的な内容は医療マターなので詳しくは医師に確認下さい。)

 

では、自尊心が高ければいいかと言えば、他者による評価以上に自己を評価していることですから、他者からの評価がついて回る人間社会では、それはそれで軋轢を生むことがありえます。ナルシストですね。

 

ということで、自尊心はそこそこな状態で安定させることが、精神の安定とストレスの安定のためによいのではないかとtopisyuは考えています。

 

自分への評価を過度に受けとけめていないか

自尊心を安定させるためには、先に挙げたように、自信を積み上げたり、他者の評価と自己評価を整理したりするというのがあります。安定のための方法論は分かっているわけですから、後は、自尊心が不安定になっていないかを定期的にメンテナンスすればいい。

 

その時に使えるのが、自分に対する他人の評価に対して自分の反応が過度になっていないかをチェックすることです。

 

例えば、他者から「仕事ができない」「不細工だ」と評されたとします。これは、評価を受けた方としては反論しにくい、評価者による主観的な評価です。こういうものは、なぜそう評価したのか、何によってそう判断したのか客観的な基準での再評価を期待するものであり、素直に受け取めたり、過度に反応するものではないと考えます。

 

続いて、他者から「営業成績が目標の金額に到達していない」「鼻が平均より低い」と評されたとします。今度は数値が出ている客観的な評価ですから、これに対して過度に「それは間違っている」とするものではなく、淡々と受け止めていいものと考えます。(なぜ、鼻の指摘をされるかは気になるところですが。)

 

このように、評価者による主観的な評価は明確な説明がなければスルー気味に受け取る、客観的な評価であればある程度素直に受け取るということを原則とした場合、そういった評価に過度に自分が反応していたら、他人の評価が過剰に気になっている=自己評価が低い、自尊心が低い状態であると確認することができます。

 

余談

Blogを書くことのメリットとして、他の人の色々な意見を聞くことができるというのがよく言われていますよね。

これに加えて、その意見を単に情報として受け取るだけではなく、自尊心の程度を測る材料にできるのではないかというのがこの記事の意見です。日常生活に比べて高頻度で自分への評価を見る機会が得られるのではないか。(それが弊害になる人もいるでしょうから、万人にはお勧めしませんが。)

自尊心という切り口では、自分のBlogへの他人の反応を見ることで、その人の自尊心の状態をウォッチするという楽しみも考えられますよね。

せっかく双方向のコミュニケーションがすぐにできる媒体を使っているのですから、自分への反応は、余すところ無く美味しく頂きたいのが人情だと思います。

参考

自尊感情の心理学 - 福島大学准教授 中間玲子