斗比主閲子の姑日記

姑に子どもを預けられるまでの経緯を書くつもりでBlogを初めたら、解説記事ばかりになっていました。ハンドルネーム・トップ画像は友人から頂いたものです。※一般向けの内容ではありません。

今から株式投資をしたいという友人との会話書き起こし(後編)

先日、友人(アラサー)から株式投資をしたいと相談されました。以下は、その友人との会話を適当に書き起こしたものです。今回が最終回です。(前編中編) 

 

私は世界分散投資をしています

友「世界分散投資ってなに?」

私「世界に分散して投資しているんだよ」

友「それは分かるけど、そんなことできるの?」

私「色んな方法があるけど、自分の場合は投資信託を使ってやってるね」

友「なんでその話を最初にしてくれなかったの? それ格好良さそう」

私「あなたがやりたいことをどう実現するかということのほうが大切でしょ。自分の場合はいくつか制約があるから結果的にこうなったというのもあるし」

友「でも、何に投資しているのかは気になる」

私「聞いてもピンと来ないと思うけど、新しく投資する場合は今はこの二つに絞っているね。『ニッセイ外国株式インデックスファンド』と『三井住友・DC全海外株式インデックスファンド』。どちらもざっくり世界の会社の株に投資することになる。日本の会社の株は含まれない」

友「なんで日本の会社の株が含まれてないの? さっきはメガネスーパーとかおすすめしてたのに」

私「メガネスーパーは面白いかなって。5000円投資してQUOカード500円貰えるって美味しいと思わなかった?」

友「思った」

私「色々ある会社だけど(東証、メガネスーパの上場廃止の猶予期間入りを発表 :日本経済新聞)、逆に色々あるからこそ、これぐらいのところから株式投資の勉強に興味を持つのは個人的にはありだと思う。自分は10年ちょっと個人投資家やっているけど、その間悩んだり、勉強したりして今はこんな投資スタイルに落ち着いたんだよね。ライブドアショックがあった頃は本当に色々あって疲弊した。ポリシーが定まらないとそれで苦しむから、取り返しがつく範囲で投資を楽しんでついでに勉強して欲しい気持ちがある」

友「えー、でも、買った株がいきなり損するの嫌だよ。色々勉強するといっても何を勉強したらいいか分からないし……」

私「その気持は分からぬではないけどね。でも、自分のお金のことだから、仕事をする以上に最初はちゃんと調べた方がいい。金額が大きくなればなるほど誘惑や動揺が大きくなる。個人的には、できるだけ長期間投資をすること、手数料と税金は最低限に抑えることは意識しておいて欲しい」

 

複利の効果と手数料と税金

友「手数料と税金?」

私「手数料は、株とか投資信託を買う時に、証券会社とかに払う手数料のことね。手数料の掛かり方は色々あるけど、どんな金融商品を買う時にも基本的にはいくらかの手数料がかかる。これが結構バカにできない。例えば、日本の株を買うとしたらどれくらいの手数料がかかると思う?」

友「(購入代金の)1%ぐらい?」

私「日本株だったら金額にもよるけど購入時に0.1%ぐらいかな。さっき、株への投資のリターンは年間3~6%という話をしたけど、もしこれが0.1%ではなく毎年1%取られたら結構キツい」

友「え、でも、1%とられるとしても10万円投資して1000円手数料がかかるだけでしょ。そんなに大きくないのでは?」

私「1%の違いでも10年、20年、30年で複利で考えたらかなり違うから」

友「うわー、Excelの話だ。Excel苦手なんだよね」

私「まあ、ちょっと聞いててよ。(ここで表計算ソフトを起動)」

友「はい」

私「例えば、年間3%のリターンがあるとされる株に100万円投資するとするでしょ。一年間経ったら103万円になる商品」

友「はい」

私「これが単利で、毎年この3万円を現金で受け取り続けたら、税金を考慮しなければ30年後には3万円×30年で90万円になるから、投資元本と合わせて190万円になる」

友「はい」

私「でも、ここで、この毎年のリターン3万円を再投資したら、100*(1.03)^30で、243万円が戻ってくる。243-190の、この53万円分が複利の効果」

友「大きい」

私「大きいでしょ。複利の効果が美味しいから長期投資をしてほしいという話をしたわけ。投資によって得られたリターンを再投資し続けると長期間であればあるほど複利の効果が大きくなる」

友「はい」

私「で、これで仮に手数料を毎年1%払うことになったら、どうなるか。毎年収入を受け取るとしたらリターンがざっくり1%減っちゃうとして、単利だと30年後には2万円×30年で60万円だから160万円。複利でも100*(1.03-0.01)^30で181万円にしかならない」

友「凄く減ってる」

私「並べると、160万円、181万円、190万円、243万円ね。再投資をするかというのと、手数料の多寡で、同じ商品への投資でもこれだけの差が出ちゃう」

友「でも、そんな風に上手く分かれるものかなぁ。投資へのリターンがいくらになるかなんて分からないんでしょ?」

私「リターンがいくらになるか分からないこそ、分かっている手数料は減らした方がいい。それと、税金の話も一応しておくね」

友「はい」

私「投資の益にかかる税金は日本だと20%。だから、さっきの単利のケースだと、毎年3万円入ってくる分毎年売却していたら益の部分に税金が20%かかるから、3万円×(1-0.2)×30年でリターンの合計は72万円になる。元手と合わせれば172万円」

友「はい」

私「複利の場合は毎年税金を払い続けて払った金額を再投資すると……209万円。毎年税金を払わなくて済んで再投資ができると100万円+(243万円-100万円)×(1-0.2)で214万円」

友「あまり大きくない」

私「毎年のリターンが3%だからね。これが毎年のリターンが5%だとそれぞれ338万円と366万円になる」

友「大きい!」

私「期待される投資収益率が高くなればなるほど複利の効果も大きくなるし、税金を払わないで再投資をする時のリターンも大きくなるんだよね」

友「なるほど」

私「自分が海外分散投資としてさっき紹介したような投資信託を購入しているのも、これを狙っているんだよね。配当等を再投資するスタイルの投資信託だから税金は投資信託を売却するまでかからない。手数料も毎年0.2~0.4%ぐらいで安い。(日本株に比べて)リスキーな分利回りが大きい」

友「はい」

私「応用編ではNISAとか、確定拠出年金とかあるけど、それは自分で勉強して。ざっくり言えば、それぞれ、一定期間株を売却しても税金がかからないとか、投資分所得税が控除されるとかそういう制度。どちらも基本的には一定の長期投資を前提としている」

友「はい」

私「一気に話しちゃったから、もっと勉強するならここら辺の本(※ここまで紹介した本)を読んでおくといいと思う。でも、まずは元手を確保することからだけどね」

友「ありがとう」

 

以上です。

 

駆け足でしたが、話した内容をまとめてみました。自分が書かなくてもこの分野はいくらでも本がありますし、インターネットで調べられますから、投資に興味がある人は、今は(投資するのにいいかは別として)勉強するのにはいい環境があると思います。

これまで2冊、山崎元さん(Amazon.co.jp: 全面改訂 超簡単 お金の運用術)と橘玲さん(Amazon.co.jp: 臆病者のための株入門)の本を紹介しました。最後に、紹介するのは、北村慶さんのこの本です。自分の投資スタイルはこの本で固まりました。 

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