斗比主閲子の姑日記

姑に子どもを預けられるまでの経緯を書くつもりでBlogを初めたら、解説記事ばかりになっていました。ハンドルネーム・トップ画像は友人から頂いたものです。※一般向けの内容ではありません。

公的文書や統計を読むのにどうやって慣れるか

先日こんなメールをもらったので、

Topisyuさんはたまに公的な文書や統計を引用されますよね。
お恥ずかしい話ですが、わたしはああいった文章を理解するのが苦手です。大量に読んでいるうちに慣れてくるものなのでしょうか。。。

簡単に書いてみます。 

子持ち世帯 推移

国民生活基礎調査から。子持ち世帯、激減してる!

 

こんな例

このメールをもらっていたので、先日は意識的に公的文書を紹介してみました。

このグラフの出典は『グラフでみる世帯の状況』(厚生労働省)です。

紹介したのは有名なグラフばかりですが、結構RTやfavされていましたね。子育てに関する注目が集まっていたからというのと、受験が終わって親が学費を意識する時期だからというのがあると思います。タイミングは重要です。

 

全部は読まない、必要なところだけ

こうやって紹介すると、紹介したグラフを含む公的文書を全部読んでいるのかと思われるかもしれませんが、ざーっと全体を見渡すことはあっても細かくは見ていません。

そもそもこれらの資料は「こういうことが言いたいけど、何かこれを補足できる公的文書はないかなー」と先に必要性があってから探しているものです。一度見かけて覚えているものもありますけどね。

それで探し方も文書のタイトルからではなくて、大体グラフの検索から始めます。検索キーワードで「平均所得 推移」や「教育費 統計」というものを入力してGoogleで画像検索します。ドメイン名として、go.jpを入れておくと、公的文書に限定できますね。

これで見つかったグラフを含む公的文書について、どういう意図で、いつ、誰を対象に調査したものかを確認します。グラフを使用するにあたって何か問題がないかを簡単にチェックするわけです。それで問題がないようなら、そのグラフを含む公的文書を紹介します。

 

公的文書を利用するメリット

何かを表現したい時に、公的文書というのは使い勝手がいいんですよね。まず、転載の条件がそれほど厳しくない。

著作権なるほど質問箱(文化庁)

イ、「行政の広報資料」等の転載(第32条第2項)
 国・地方公共団体の行政機関、独立行政法人の「広報資料」「調査統計資料」「報告書」などを、「新聞」「雑誌」などの刊行物に転載する場合の例外です。

【条件】
ア  一般に周知させることを目的とした資料であること
イ 行政機関等の名義の下に公表した資料であること
ウ 説明の材料として転載すること
エ 転載を禁止する旨の表示がないこと
オ 「出所の明示」が必要(コピー以外はその慣行があるとき)

簡単な条件を満たせば転載できます。転載が例外的に許可される引用は要件が厳しいけれど、公的文書はそもそも転載さえ結構気軽にできる。

しかも公的文書ですからまず間違いがない。突っ込まれ余地が少ないわけです。

 

締め

必要は発明の母といいますか、インセンティブがあれば苦労は感じないといいますか、先に必要性があれば、ちょっと固い文書も読む気になれます。必要なところを中心にチェックするだけであれば、労力もそれほどかかりません。

今だと待機児童や奨学金なんかをテーマにして、お互いの観測範囲をもとに言い合っているのをネットでは見かけると思います。日常生活でも自分の経験だけを根拠にして喧嘩するのってありがちですよね。

そういうときに、「こんなデータがある」と公的文書を紹介するのは爽快感があります。バシッと一発グラフを見せて、観測範囲の違いによる揉め事を沈静化できる。まずは事実こうなっているからこれを理解した上で議論をスタートしましょうと、議論の土台を作れる。有名な資料でも知られていないものは多いんですよね。

でも、相手が感情的になっているときに本当に必要なのは客観的なデータではなくて、その人に価値があることを認めることだったりしますが。受け答え重要。

なお、そもそも、統計をチェックすると自分自身に思い込みがあったことにも気付くことがあります。当初は自分の言いたいことを補強するためにデータを探すわけですが、探しているうちに、あれ、反証する材料のほうが多いなと。これはこれで楽しい。もちろん、元々バイアスがかかった統計もないわけじゃない。打ち出の小づちというわけではない。

以上です。

 

今回のテーマ以外に、自分がどうやって本を読むか、どうやって暗記をしているかについても書いて欲しいと言われているので、それもまた書きます。やっていることは、あまり変わりません。

 

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