斗比主閲子の姑日記

姑に子どもを預けられるまでの経緯を書くつもりでBlogを初めたら、解説記事ばかりになっていました。ハンドルネーム・トップ画像は友人から頂いたものです。※一般向けの内容ではありません。

女性都議への「早く結婚しろよ」「子供もいないのに」「産めないのか」ヤジは差別発言

こんな報道がありました。

都議会:セクハラやじ 女性議員に「早く結婚しろ」 - 毎日新聞

東京都議会の本会議で18日、みんなの党会派の塩村文夏(あやか)議員(35)が、女性の妊娠・出産を巡る都の支援体制について一般質問をしていた際に、男性の声で「早く結婚しろよ」「子供もいないのに」などのヤジが飛んだ。同会派は、議員席からだったとして「公の場でセクハラ発言を受けた」と反発。発言議員を特定し、注意するよう議会運営委員会に申し入れる。

これが本当ならセクハラ発言でもありますが、差別発言ですよね。

ということで、この記事では、いかにこのヤジが差別性を持っているのかを書きます。お好きな人だけどうぞ。

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※画像は、プロフィール | 塩村あやかオフィシャルWEBサイトより

  

ヤジはあったのか

そもそも、ヤジが本当にあったのか、都議会定例会の録画映像がアップロードされていたので見てみました。

平成26年第2回東京都議会定例会 録画映像(リンク先の一般質問の15番目の質問が塩村都議のものです。問題の箇所は後半3/4ぐらいのところ)

塩村都議は以下の4つの一般質問をしていて、

1.受動喫煙対策について
2.生体販売ビジネスについて
3.動物愛護について
4.子育て支援について(+地下鉄でのベビーカー利用)

この4つ目の「4.子育て支援について」の中で、確かに、ヤジはありました。流れは以下のとおりです。

・他の都道府県に比べ東京都の女性は晩婚・晩産であり、不妊治療を受ける女性が増加している
・一方で、それらの女性に対するサポートは不足している。周囲に支えてくれる人が少ない妊婦を支える仕組みが必要
・(塩村都議としては)所属する厚生委員会で充実をお願いしていた

(ヤジ)(塩村都議の苦笑い、ため息)(ヤジが悪化)(ヤジに反応する笑い声)

・東京都として妊娠・出産に対する悩みを抱える女性に対しての対策を聞かせて欲しい
・また、不妊については男性の理解も必要であり、この点についても都の考えを聞かせて欲しい

ただ、具体的なヤジの内容は聞き取れませんでした。先ほどの毎日新聞以外にも朝日新聞では、「自分が早く結婚すればいい」「産めないのか」というヤジがあったとされています。

女性都議に「産めないのか」 自民?議員席からヤジ:朝日新聞デジタル

塩村都議が厚生委員会でお願いしてきたという後で、ヤジがあったということですから、恐らくヤジでは、「(妊娠・出産の話をするなら塩村議員自身が)早く結婚しろよ」「子供もいないのに(なぜお願いするのか)」「(そんなお願いをするというのは)産めないのか」と言いたかったのだと考えられます。

 

なぜ差別発言か

これらのヤジは明確に差別発言です。

「早く結婚しろよ」は、事実婚を否定しているとも取れますし、結婚をせずに妊娠・出産をすることも否定しています。また、当たり前ですが、早く結婚をすれば妊娠するわけではありません。

「子供もいないのに」は、議会で子供がいなければ妊娠・出産に関する提言ができないとすれば、子供を持たない人は妊娠・出産に関する政治参加は認められないと言っているようなものです。説明するまでもありませんが、何かを持っている人しか、その持っていることについて議論ができないとしたら、持つものの発言しか議論には反映されません。

「産めないのか」は、この中でも特に悪質で、妊娠・出産に関する提言をするのは自身が子供を産めないからということを差しており、産まない判断をすることや不妊に対して無知蒙昧な発言です。

 

これらのヤジは「結婚をしていない人」「子供がいない人」「産まない・産めない人」を差別し、政治参加を否定しているわけです。

 

どこの会派が言ったのか

どこの会派がこれらの発言をしたかは、自民党の幹事長は分からないとしていますが、

女性都議に「産めないのか」 自民?議員席からヤジ:朝日新聞デジタル

吉原幹事長は、発生源が自民かどうかは「わからない」としながらも、「各会派が品位を持って臨むべきだ」と話した。

少なくとも、一部の都議会議員の中には、晩婚・晩産化が本人の問題であり、結婚していなければ/子供がいなければ妊娠・出産の議論に参加することは許されないと考えていて、不妊に対して無知と思われる人がいるのは事実であり、

加えて、塩村都議が言葉に窮したタイミングで追い打ちをかけるようなヤジが行われ、その状況を楽しむような笑い声が漏れるとは、(新人議員に対する洗礼のつもりであっても)それなりの人数の都議が、妊娠・出産に対するサポートに対して興味がないことを示しているようなものです。

それがもし東京都議会の半数を占める自民党の都議からのものであったとすれば、それらのヤジは、女性の活躍支援を掲げる安倍首相の方向性とは真っ向から対立してもおかしくない。

 

締め

ヤジは政治の花という言葉がありますが、このようなヤジは政治の廃棄物ですね。見るべきものもありませんし、品位に劣りますし、再利用の余地もありません。

こんな記事を寄稿しましたが、

女性のキャリアを考えられない会社では働きたくない - リクナビNEXTジャーナル

会社はまだしも社会が変わるのにはまだまだ当分時間がかかるなと思いました。

 

以上本題です。以下余談です。お好きな人だけどうぞ

 

 

 

余談

冒頭紹介した毎日新聞の記事で、

塩村氏は昨年6月の都議選で初当選。放送作家として活動し、日本テレビが放送していた人気バラエティー「恋のから騒ぎ」に出演していた。【和田浩幸】

最後のこの部分が盛大な蛇足だと思うのは自分だけでしょうか。(小町話法)

 

コメント返し

seamlesssinglesseamlesssinglesブコメにちょっとだけ出てる「主語でかい」云々の主張の意味がわからん……塩村議員個人への侮辱であることと、女性差別発言であることは両立するだろう。/出た、「自分だけでしょうか」論法。ほんっと気色悪いな。 2014/06/20Add Startopisyu

id:seamlesssinglesさん、免疫がないから気持ち悪く感じるかもしれませんが、この"自分だけでしょうか"は小町話法というもので、発言小町のトピ主が、自分に非がないと思い込んでいる時に利用するものです。これが発言小町で出ると、「このトピ主を突っ込んでいいんだな」という合図と全員が受け止めるぐらい使い古された文句です。

このブログは、発言小町の権化が書いているという設定なので、小町話法が頻繁に登場します。だから、一般向けの内容ではないと断りをいれていますし、余談も好きな人だけ読むようにと断りを入れています。

そのため、一見さんがここまで読まれるとは考えていませんでしたが、そのような方が一定数いるようですから、(小町話法)であることを追記しておきます。