斗比主閲子の姑日記

姑に子どもを預けられるまでの経緯を書くつもりでBlogを初めたら、解説記事ばかりになっていました。ハンドルネーム・トップ画像は友人から頂いたものです。※一般向けの内容ではありません。

みんな大好き!お葬式の定番トラブル『相続』

前触れたとおり、この前参加したお葬式で、自分が見聞きした遺産相続絡みの話を書きます。

接点がないのは死んでるも一緒 - 斗比主閲子の姑日記

ここまでがお葬式で思ったことです。その後、興味深い遺産相続の話が出たのですが、それはまた別の話。

当たり前ですけど、こういう話が大好きな人だけどうぞ。

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お葬式に参加する目的は人それぞれでしょうが、自分にとっては、お葬式に参加した人たちの人間模様を見るのが楽しみです。前にも書いたとおり、故人とのお別れは(特に高齢であれば随分前に)大抵済んでいますから、お葬式を利用して心を整理することはほとんどありません。

 

今回のお葬式では遺族にきな臭いものがあるのが納棺式で分かりました。亡くなった人をAさん(享年96歳)とすると、そのAさんの実の娘Bさん(70歳)と、長男の嫁Cさん(69歳)が絶妙な距離感だったんですね。Bさんは実の父親の顔を見ておいおい泣いているけれど、Cさんは列席者と談笑している。泣いている実の娘と笑っている義理の娘という構図ですから、この相反する二人の前に『相続』というイベントが置かれたら、これは期待大ですよね。

 

Bさんは早くに結婚したのですが、結婚相手は定職につかず、折にふれて父のAさんには金銭的な面で援助をしてもらっていました。Bさんの子供は結婚していて子供が2人います。まさにその子たちの進学にお金がかかりそうだったので、Bさんが孫のために、Aさんが亡くなったこのタイミングで、相続できる財産があればできるだけ貰いたいと考えるのは別に変な話ではありません。自然な発想です。

 

一方のCさんはきょうだいでも出来の良かったAさんの長男(Bさんの兄)と結婚し、Aさんの家を夫が継いだことから必然的にAさん夫婦(姑舅)の世話をすることになりました。昔の家庭だとよくある光景ですよね。Cさんは、長男の嫁ということで義務だけはあるけれどAさんの晩年の介護をして特に得るものはなかったそうです。CさんからするとBさんは介護という義務は負わないのにお金だけ持って行く品の無い人間です。

 

Cさんからすると相続財産を自分が貰うということはなくとも、自分の夫ができるだけ多く分配されれば当然と考えるわけですね。権利は直接的にはないけれど、最後まで一緒に暮らした苦労分ぐらいは認めて欲しい。

でも、Bさんからするとそれはあくまで長男の嫁の責務であり、相続財産にCさんが絡むなんてのはちゃんちゃらおかしいわけです。自分たち家族の話に外野が口を出すなとそういう気持ち。

 

それで、予定通り、精進落としのタイミングで相続財産がどう分配されるかについて一悶着が出たわけですね。分かっていてもワクワクしますよね。

 

ほとんどの資産は生前贈与したり色々していたものの、名義がAさんになっていないお葬式用の口座の存在について、Cさんの夫が口走るわけです。「処分費用とか色々使っているけど大体800万円ぐらい残りそうかな」と。

800万円という金額の大小は人によって違いますが、Bさんからすると棚からぼた餅なお金です。貰えるものなら貰いたい。最近の口癖は「うちは年金生活で余裕が無いから」

Cさんからすると夫の発言は「ちょっと待った」なわけです。(資産隠しという話ではなく)お葬式など色々やるように生前贈与をして積んできたお金について、それが多少余ったといってBさんにくれてやる必要はない。Bさんに黙っていれば、自分の家で自由に使えるお金なわけですから。

 

墓はうちが持つからとか、これまでに介護に貢献していないとか、そもそもお義姉さんは家に寄りついていないとか、そっちには孫がいないでしょとか、親族のいる前でBさんとCさんが静かにバトルしているわけです。さすがに自分の親の葬式の後にそんな話をするのはいかがなものかとCさん夫(Bさん兄)が自分が原因だけど事態を収拾しようとし、そこでの会話は残念ながら終わりました。

 

その後の話は詳しくは知りませんが、聞いた話では、そのお金自体はCさん夫に帰属するものの、いくらかのお金をBさんの孫の進学時に支援するという話になったようです。

 

 

 

相続の話が揉める一因には、親によるきょうだい間での依怙贔屓がありますよね。誰かが貧乏くじを引くようなことになっていると、その人が「自分は親から何もしてもらえなかったんだから財産は多めにしてほしい」と言い出す。

 

後は、直接相続を受ける人間とは別にそれらの人々の配偶者が絡んでいるとこれも揉めます。介護を特に義理の娘に任せている場合は、義理の娘として思う所は必ずあります。

 

加えて、関係者の経済条件が変わってくると昔相続については取り決めがあっても「あの時はあの時のことだから」と誰かが簡単にちゃぶ台を返すこともよくある話です。関係者が増えれば増えるだけそれが起きる確率は増える。特に孫ができて教育にお金がかかってくると揉めやすい。概して、お金がなければないなりの、お金があればあっただけのお金を子供や孫には使うものです。 

 

こういう要素があるから、相続トラブルは複雑で面白いんですよね。簡単には解きほぐせない、時間が経って蓄積したお互いへの悪感情が対峙する瞬間。ドラマチック。

 

お葬式はその相続トラブルを外野からある程度垣間見れるタイミングなので、親族同士が仲違いをしているなど火薬を抱えている葬式というのは、離婚が秒読みの結婚式と同じように参加前からワクワクするものです。

 

 

 

関連

以前に書いた相続関係の話です。