斗比主閲子の姑日記

姑に子どもを預けられるまでの経緯を書くつもりでBlogを初めたら、解説記事ばかりになっていました。ハンドルネーム・トップ画像は友人から頂いたものです。※一般向けの内容ではありません。

なぜ「デートの時に男がおごるのは当然」なのか

こういう依頼がありました。

「デートの時に男がおごるのは当然」

って価値観の人と現実社会で遭遇した。しかも複数人。

ひとりはバブル期女性だからそんなもんかな、と思ったけど、30代前半の男性まで口を揃える。

当方30女ですが「基本ワリカンだし、周りもそうだった」つったらレアケース扱いされた。

同性/同年代なのに価値観が違うってことは、性別や年代の差じゃないんだろうから、あとは地域差ぐらいしか思いつかない。

(私は首都圏出身-電車社会なのに対し、その人たちは地方出身-車社会-男性主導のデートが多い、とか??)

価値観の違いがどこに起因してんのかすげーモヤモヤしたんで、id:topisyuさん解説お願いします。このへんの体験談は小町に死ぬほど溢れてそうですが。 

結構依頼が溜まっているんですが、これは簡単なのでさっと答えておきます。

http://www.flickr.com/photos/68751915@N05/6722544475

photo by 401(K) 2013

 

まだまだ割り勘はマイノリティ

結論から先に言ってしまうと、日本ではまだまだ割り勘な方がマイノリティだと思います。なぜ、男性が女性に奢るかというと、大体以下の要素になります。

  1. 見栄(みえ)
  2. 外聞
  3. 慣習
  4. 落とすため
  5. 女性からの(明示的な/黙示的な)希望

全部が全部あるというわけではないです。人によって、これが絡み合って内在しているということです。

一文にすると、1.男性が奢った方が格好がいいし、2.奢らないと格好悪いと思われるし、3.みんながそうしているし、4.落とすためにいい気分にさせたいし、5.女性が希望しているし、ということになりますね。

 

男性が女性に奢る背景

まず、当然のことですが、未だに男女では賃金格差があります。これは統計を見れば一発なのであえて紹介はしません。

次に、仮に現在賃金が同じでも、女性は出産を契機に賃金ががくんと下がります。これも統計を見れば一発です。継続して働けない/働かない、働けても会社の中で出世しないというのが要因でしょうか。

そして、日本では、それなりの人数の男女が、女性が専業主婦となることを希望します。

こういうことを考えれば、男性が女性に奢るのは、地方の方が顕著になるとは思います。

追記:この点について補足がありました。

まず、当然のことですが、未だに男女では賃金格差があります。これは統計..

topisyuさーん違う違う。
男女の賃金格差も、結婚後の専業主婦率も、都会の方が高いよ!(検索してソース貼るの面倒だから自分でやってくれ)
地方は男も賃金が低く女との差が出ない(最低賃金の非正規職なんて男も女も変わらんでしょ)し、
親との同居率が高い&片働きじゃ食えないので共働き率も高いってのは割とよく知られた話だと思ってたけど、topisyuにしてはツメが甘いな。
割り勘率については知らん(と言うかそんなデータあるのか)けど。

ブコメで突っ込めよと言われそうだけど、ブクマやってないんでここで。

別にブコメしなくてもいいです。助かります。地方のほうが奢る印象があったので、逆から推測しちゃいました。

海外比較もそうですけど、奢る奢られるには1.見栄と3.慣習の要素が強いかもしれませんね。なお、この記事のブコメで、id:aiensteinさんが親切にも詳しく説明してくれています。(id:rascalrascalが提示されているのがデータ)

aiensteinaiensteinそう。最後の地方のくだりは統計見てから言った方が良い。奈良、大阪、神奈川、兵庫そして東京が専業主婦の上位都道府県だ。大都市圏には専業主婦がなりたつ高給の仕事がある。ここだけ数字を見ずに書いちゃったな。

rascalrascalrascalrascalデータソースですぐ出てくるのはこれだな。http://todo-ran.com/t/kiji/11891

 

そもそも、誰かがお金を払ってくれるとありがたいといえばありがたいわけです。その上で、結婚の現実としては、未だにそれなりの人数の女性が結婚後に男性に経済的に依存せざるを得ない状況があります。(もしくは、依存することを男性が求める場合もあるといえばある。)

デートの場面では、ここまでのことは考えていなくても、デートの食事代ぐらいを奢ってくれないのであれば、釣った魚に餌をやらない人なのではないかと疑う女性はいるし、そういう女性がいることを知っている男性もいます。

結果として、大体の場合、最初のデートぐらいは奢った方が好印象ということになるんですね。どこまでいくらまで奢り続けるかというのは、お互いの年齢や年収や美醜やプライドが絡み合うため、いくらご祝儀を包むかぐらい、議論が起きる話題なので触れません。

 

奢られるのが当然ではないという発想

一方で、相談者さんのように奢るほうがおかしいという発想の方もいます。どうしてそうなるかは、相談者さんは、年齢・性別以外に何があるか分からないということでしたが、奢る背景の逆のことを考えてみてもらうといいかもしれません。

つまり、男女に就労や昇進に差別がない職場で働いている男女、男女は経済的にも平等に取り扱われるべきと考えている男女、高学歴・高収入の女性、婚活やデート市場での評価が低い女性の場合は、男性から奢られるのが当然ではないという発想となる傾向があるということです。

極端に言えば、東大卒で、旧来的な括りでの総合職でバリバリ働いていて、年収一千万円の女性は、奢られることを是としないでしょうね。更に、分かりやすいのだと、女医や女性弁護士もそうです。繰り返しですが、分かりやすさ重視で極端な例を挙げています。個人的には、じわじわ割り勘派は増えていると思います。

ただ、例外もあって、いい女だったら奢られて当然という発想を持つ女性もいたりします。奢られないとプライドを傷つけられたと感じるんですね。生きるのが大変ですね。

 

男性が奢っている事実を確認する方法

現状どうなっているかを確認する方法としては、婚活パーティの参加費用の男女比較をしてみるといいかもしれません。大体、女性の方が3割から7割安いことが多いです(場合によってはタダということも)。

会社の飲み会や、結婚式の二次会なんかも、女性の方が安かったりすることもあります。全体としては、男性の方が給料が高いという現実があるからじゃないかと思いますが、女性を安くして数を集めるという発想もあるかもしれません。

 

発言小町での最恐の回答

割り勘論争は、もう、これは、お菓子手作り論争と同じぐらい、発言小町ではよく登場する、最頻話題の一つです。常に不毛な議論が繰り広げられています。詳しくは発言小町内で検索してみて下さい。

仮に、この相談者さんが、発言小町で、

アラサー女です。周りの男女が、『男性は女性に奢るべき』と言っていて、驚いています。私は、未だかつて男性に奢らせたことはありません。どうして、男性が奢るのか理由を教えてください。

と相談した時に、どんなレスがくるのかは、手に取るように想像ができますが、一番最恐なものを参考にシミュレートしますね。

え、今まで一度も奢られたことがないんですか!?

トピ主さん、可愛そう……

それは、今まで一度も周りの男性から、女性だと認められてこなかったということですよ。

男性は、魅力的な女性には大抵奢るものです。

トピ主さんが奢られたことがないということは、女性としての魅力がないんです。

既婚かどうかは書いていませんが、トピ主さんは、まず独身だと思います。

奢られる理由が分からないと周りのことを見下しているのかもしれませんが、そんな僻み根性を持ち続けていたら、一生独身ですよ。

 

本当に、可愛そう……

最恐だとこんな感じです。勝手に、独身だと決めつけます。そして、謎の上から目線。全部が全部これだということはもちろんありません。こういうレスも、何事もなく編集部の検閲を通過されてくるのが、発言小町の魅力だと思います。

 

締め

賃金格差がなくなればある程度は男性が奢ることは減りそうです。後は、専業主婦志向がどうなるか次第というのもありますし、日本人男性の根本的なところでの見栄を張りたい欲求がどうなるかということでしょうか。

経済危機のあった(というかある)ギリシャでは、セックスの回数が減ったと聞きます。男性が経済危機で職を失い、給料が下がり、自信を無くしていることが原因とか。ギリシャでの奢り奢られがどうなっているかは分かりませんが、多分、根は同じ部分があるんじゃないかと考えています。

男女格差がアジア圏ではもっとも少ないフィリピンでも、男性は女性に奢るのが当然という発想がありますし、国ごとで比較すると単なる賃金格差以上のものが見えてくるかもしれませんね。