斗比主閲子の姑日記

姑に子どもを預けられるまでの経緯を書くつもりでBlogを初めたら、解説記事ばかりになっていました。ハンドルネーム・トップ画像は友人から頂いたものです。※一般向けの内容ではありません。

父は子どもの叱り方を知らなかった

先日、子どもたちとともに実家に帰省しました。 

 

帰省中のあるとき、父に子どものお風呂を任せ私は台所にいると、お風呂場から父の怒声とともに子どもの泣き声が聞こえてきました。何だ何だと行ってみると、下の子が脱衣場に立ってぐずって泣いており、父がその子に対し「うるさい!うるさい!」と怒鳴っていました。

 

父に「あとはこっちが引受けるからお父さんは着替えちゃって」と伝えて、子どもに対しては「どうしたのかな?」と話しかけみました。どうやら、もっとお風呂場にいたかったのに父に無理やりお風呂を上がらされたことが不満だったそうです。「じゃあ、30秒数えたら上がる?」「30秒じゃ足らない!」「100秒なら?」「100秒でいい……」と合意ができたので、湯船に100秒浸からせてから上がらせました。

 

我が家では普段子どもたちと20~30分ぐらいはお風呂に入っています。お風呂から上がるのを子どもが嫌がらないよう、いつお風呂から上がるか時計の針を事前に見せたり、アラームをセットしたり、お風呂の中でのTo doを順番にこなしたり、次のイベント(絵本を読む等)を伝えるようにしています。子どもは物事への期待が大きくないものの、大きくない期待が裏切られると感情を爆発させがちですから、これらの行為は子どもの期待をお手軽に満たすために行っています。

 

子どもの接し方は色々ありますし、いつもやっている方法に慣れ親しみすぎるのも子どもにとって必ずしも良いことではないでしょうから、特段父の対応に不満はありませんでした。ただ、年端のいかない子ども相手に「うるさい!」と何度も怒鳴る父を見て、「この人は私が子どもの頃から子どもの叱り方を知らなかったのだな」と改めて思いました。

 

子どもの頃、父に叱られた記憶は今でも鮮明に覚えています。学級崩壊が起き私がいじめられていることを知った父は「弱いからいじめられるんだ」と私にカッターを常に持つよう指示しました。学校の成績が悪いときには暗い部屋に呼び出し、正座をさせ、太ももを叩きながらなじりました。父の荒い運転で車酔いをして吐きそうであることを伝えると「そんなに嫌なら降りろ」と高速に乗っていても言われました。逆に、私が描いた絵が県のコンクールで優秀作品に選ばれることがあっても父は母とは違って一緒に展示作品を見に行くことはありませんでしたし、良い成績を取っても父に褒められた記憶もありません。

 

自分に初めて子どもができ、実家に連れて行ったときに、父は赤ん坊をどう抱いていいか分からず困惑していました。もちろんオムツ替えもできないし、赤ん坊が泣いていても何もできずに見ているだけでした。

 

そんな父を見て私はこう思いました。「この人は私の子育てに関与していなかったんだ。何も知らなかったんだ。だから、あんな方法でしか私に接することができなかったんだ」と。

 

孫が増えた今となっては、父は経験値を積み、赤ん坊を抱けるようになりましたし、オムツ替えもできるようになっています。公園で子どもたちと遊んでくれます。できるようになるものだなと感心し「お父さん、やるねー!」と伝えています。

 

そんな父ですが、子どもをどう叱るか、どう褒めるかについては、勝手がまだ分からないようです。子どもの叱り方や褒め方として一般にポイントとされているのはこんなところでしょうか。

  • どこが良かったか、悪かったかをできるだけ具体的に伝える
  • 事象が起きたときにできるだけ早めに伝える
  • 飽きがこないよう頻繁には行わない
  • 叱るのと褒めるのとでは褒める方を多めにする

帰省のタイミングぐらいでしか子どもと接する機会がない父が、怒鳴るぐらいしかできないのは仕方がないかなと思います。叱る、褒める行為は、上記のポイントに加えて、叱る、褒める本人が自分自身の子どもへの期待を上手く制御する必要もあります。実際怒鳴れば静かになることもありますしね。やり方が分からなければ自分が誰かからやられた方法を踏襲するものです。

 

子育てをしていて自分の親がいかに子育てを頑張ってきたかを確認する人もいる人は知っていますし、逆に親が不完全だったことを認識する人も見かけます。私にとっても子どもを介して親と自分の関係を再定義するのは、たまの帰省の興味深い産物です。

 

「学力」の経済学

「学力」の経済学

 

※子どもの褒め方についてはこの本が勉強になる。近々レビューします。