斗比主閲子の姑日記

姑に子どもを預けられるまでの経緯を書くつもりでBlogを初めたら、解説記事ばかりになっていました。ハンドルネーム・トップ画像は友人から頂いたものです。※一般向けの内容ではありません。

「虚偽申告でワクチンを接種した人が堂々とSNSで『打ってきました!超うれしい!』と書き込みするのにモヤモヤ」

今日は一人小町(一人で発言小町みたいな回答をするもの。基本要望に応じた反応をする)です。今日は時事ネタです。海外在住の読者さんからのモヤモヤ。

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Q. 虚偽申告でワクチン接種した人が堂々とSNSで『打ってきました!超うれしい!』と書き込みするのにモヤモヤ

斗比主閲子様、

いつもブログやTwitterを楽しく拝見しております。

最近少しモヤモヤする出来事がありまして、「今自分が感じているこれが”モヤモヤ"というやつか!」と自覚した瞬間に斗比主様のお便りコーナーを思い出し反射的に筆をとってしまいました。突然駄文を送りつける失礼をお許しください。ある程度のぼかし、フェイクは入っていますので送信者名以外はこのまま掲載くださって構いません。

さて、私は現在日本以外の国に住んでおり、当地ではCOVID-19ワクチンの接種が始まってだいぶ経ちますが、まだ全住民に行き渡るには遠いといった状況です。

現在私の住む地域では、医療従事者及び特定の職業、高齢者、特定の持病のある人が接種対象となっています。私は現時点で接種していませんが、行政のガイドラインに沿って接種対象となったら受けたいと思っています。

そのような状況の中、最近周囲で若く健康に見える人で、かつ医療従事者等でない人でも「ワクチン打ってきたー!」と表明する人が増えてきています。ワクチンを打てる理由としては複数考えられますが、

* 若く見えるが実は優先接種対象年齢である
* 健康に見えるが実は高リスク疾患を抱えている
* ワクチン接種会場でボランティアをすると余ったワクチンを打ってもらえることがあるらしい
* 持病等について虚偽の申告をすれば本来対象でない人でも打ててしまう

などがあり得ると思われます。

特にモヤモヤしているのが最後の虚偽申告、すなわち列への割り込み行為ですが、これは実際地元紙で報道されていたり、自分の周囲でも複数見聞きしました。

当地の法律上、医療個人情報の保護が優先され、ワクチン接種機関側が持病についての証明を求めることはできず、自己申告を正しいものとして扱う他ないのだそうです。また報道のニュアンスではこの虚偽申告は偽証等重い罪に問われるものではないようです。

何でモヤモヤするのか自分なりに内省してみましたが、

* 虚偽申告で接種した人が堂々とSNSで「打ってきました!超うれしい!」みたいな書き込みをしていたり、虚偽申告で打つことについて「え?みんなやってるよ?」みたいな態度なことが気に食わない。それが在宅勤務できるような立場の人ならなおさら。

* 一方でさっさと住民の大半に接種して集団免疫の獲得を目指すという大局的目標からはとにかくひたすら多くの人に打っていくことが重要であって、多少の順番の前後くらい大目にみるべきでは?と思ったりもする。

* あの人もこの人も虚偽申告で打ったのでは・・と疑心暗鬼になった次の瞬間、いや持病があるのかもしれないし、ボランティアかもしれないし、高リスク者と同居などどうしても打ちたい切実な事情があったのかもしれないし・・などと、黒い感情を持ってしまった自分を責める

という具合にネガティブな思考が一気に溢れ出すからではないかと思いました。

この文章を送りつけてどうして欲しいのか自分でも正直よくわかっていないのですが、多分「傾聴してほしい」に該当するのではないかと思います。

日本でもより接種が本格化すると接種の順番等を巡って発言小町等で各種のほっこり体験談が聞けるのではないかと期待していますが、その予行演習のようなものとしてお楽しみいただければ幸いです。

失礼いたします。

一読者より

A. モヤモヤを送ってもらえて嬉しいです!

今日送ってもらったモヤモヤは読者さんも書かれている通り、今後日本でも増えるかもしれない話題です。

日本では年齢で区切っているものを今後若い人にも範囲を広げたときに、基礎疾患の有無を自己申告制にするということであれば、容易に同じ議論になるでしょう。ワクチンパスポートと組み合わせると、外で自由に遊ぶために嘘をつくインセンティブが発生しちゃいます。

ただ、ワクチン接種率を一定まで引き上げることを考えると、

* 一方でさっさと住民の大半に接種して集団免疫の獲得を目指すという大局的目標からはとにかくひたすら多くの人に打っていくことが重要であって、多少の順番の前後くらい大目にみるべきでは?と思ったりもする。

読者さんも書かれているように、この程度の虚偽による接種はある程度許容して制度設計するというのもおかしくありません。

似たような話だと、生活保護で不正受給があるから、受給要件を厳しくすれば、本当に困っている人が早く、確実に受給できる機会を失わせてしまうのと同じ。ゴールを考えれば、おかしくはない。

しかし、不正をしている人自らが、

* 虚偽申告で接種した人が堂々とSNSで「打ってきました!超うれしい!」みたいな書き込みをしていたり、虚偽申告で打つことについて「え?みんなやってるよ?」みたいな態度なことが気に食わない。それが在宅勤務できるような立場の人ならなおさら。 

「え?みんなやってるよ?」と書いたとなればまた話は別で。この読者さんのようにモヤモヤする人が出てくるのは理解できるところです。

特に、SNSでモヤモヤしがちなのは、他人の事情が断片的にしか見えないところですよね。実は色んな背景があるかもしれないけど、それが全部見えるわけではないですし、強い言葉になりがちだったりしますし。少しの情報から受け手が何かと想像できちゃうところがあるので、SNSを利用する上ではモヤモヤとの付き合い方も個々人で考えることになるでしょう。

今回は読者さんご自身がモヤモヤをかなり綺麗に整理されていました。言葉にすると自分の気持ちの整理にも繋がるので、みなさんもぜひ文章にしたり、口に出してみたりするといいと思います。

最後に、話は脱線しますが、この読者さんからはメールの文面だけで知性が相当伺えますよね。言いたいことが簡潔でまとまっているし、語彙も豊富です。普段から、報告書など公式な文書を書かれるお仕事をされているんでしょうか。格好いいですね!

以上、脱線しましたが、今日はこんなところです。

これを読まれたみなさんも、どうぞetsuko.topisyu@gmail.comまで、ブログにそのまま掲載してもよい、ほっこりエピソードをご気軽に送ってください。私が一言コメントを付けてブログに掲載します。

なお、投稿にフェイクを入れるのは確認で時間がかかるので、ご自身でするか、私に全面的にお任せする形でお願いします。また、どんな方向でコメントをしてほしいかも書いてくれたら、期待に応えるようにします。罵ってほしい、褒め称えてほしい、傾聴してほしい、何でもOKです。

Twitterもやっているので、

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