斗比主閲子の姑日記

姑に子どもを預けられるまでの経緯を書くつもりでBlogを初めたら、解説記事ばかりになっていました。ハンドルネーム・トップ画像は友人から頂いたものです。※一般向けの内容ではありません。

「不登校支援に関わる立場として、不登校Youtuberのゆたぼんさんが炎上しているのがモヤモヤします」

今日は、とあるネット炎上についてモヤモヤするというメールをもらったので、コメントをします。

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Q. 不登校Youtuberのゆたぼんが炎上しているのがモヤモヤします

トピ主閲子さま

こんばんは。

どうやってこちらのブログにたどり着いたかは覚えていないのですが、4年ほどブログを楽しみに拝見させていただいています、Aと申します。

モヤモヤが抱えきれず、また、ロジカルなアドバイスを頂きたくメールをしてみようと思い立ちました。ブログへの公開は問題なしです。

わたしのモヤモヤは、不登校youtuberの報道にまつわる炎上騒ぎについてです。

10歳のYoutuber、「少年革命家ゆたぼん」に関する賛否の意見 - Togetter

わたし自身子どもに関わる仕事をしており、不登校支援にも関わることがあります。

教育機会確保法が2017年2月に完全施行され、不登校は問題行動ではなく多様な学習の機会やあり方を認めていくということが法律でも定められたのにもかかわらず、教育現場では未だに、不登校は問題行動であり、まずは学校に来られるようになるところからだという風潮は悲しいほどに変わりません。

不登校新聞さんがとても丁寧に当事者や支援者の意見を扱っており、こちらをここ数年購読していますが、教育現場とのギャップをどうにかしていきたいという立場で動くこともままあります。(また、わたし自身が保健室登校→不登校をしていた経験者です)

そんな中、

学校以外に居場所があり
不登校であることを悲観せず
やりたい事を見つけていき
学びの意欲が出た時にそっと背中を押す
(さまざまな通信教育ツールが出てきているのでそれを紹介する)

という1つの支援方針を自分の中に持っています。

ここまでを背景として、

今回の不登校youtuberの小学生は
学校以外に居場所があり
不登校を悲観せず
やりたい事をみつけられたケースに該当するので

あとは学びの機会を親や支援者がそっと確保してくれていればいいなぁ、くらいの感覚でしたが、主に不登校の親や支援者が、ツイッター上で激しい拒否反応を出している事に驚いています。

この小学生を怠学ととらえ、一緒にしないでほしいという立場、ポジティブに報道する地方紙への報道姿勢にまつわる批判、ヤンキーからの心理カウンセラーをする父親の子育て方針への批判…不登校支援にも関わりのある立場なので、今回の一通りの反応ザッと目を通しておこうと思いツイッターで#少年革命家#不登校youtuber#ゆたぽんなどで検索をして意見を眺めていますが、自分の支援方針が間違えていたのかしらん?と揺らぐほどの反応であり、各家庭の在り方にここまで口を突っ込むことへの驚きであり、これだけ世間が関心を寄せる貴重な機会のようにも思えて、とても心がざわざわ、うまく言葉にできずモヤモヤとします。

トピシュさまは個人として、どのように眺め、また、捉えますか? ロジカルにこの炎上とわたしのモヤモヤをスパッと切って頂きたく送ります。よろしくお願いします。

Aより

A. 炎上するのは分かりやすい。自分の支援とは必ずしもリンクしないと捉える

不登校Youtuberは次の記事で私も認識していました。

「不登校は不幸じゃない」10歳のユーチューバー 沖縄から世界に発信「ハイサイまいど!」 - 琉球新報 - 沖縄の新聞、地域のニュース

ご本人のTwitterとYoutubeの動画を何本か見てみましたけど、確かに炎上していますね。

それで、

トピシュさまは個人として、どのように眺め、また、捉えますか?

について答えますと、まずこのYoutuberのゆたぼんさんに対しては、特に何も思いません。いつもブログで書いている通りn=1のことだから、心を動かす必要がないかなって考えます。一般論として、不登校児の公的サポートや、不登校児向けの家庭教育の環境整備や、フリースクールの拡充は、学習機会の多様化ということで、私は大賛成です。

炎上していることに対しては、非常に理解しやすいです。色々な要素はあるけれど、私が思う炎上の肝は、学校に通っている他の子どもをロボットだと言っていることですね。

「不登校は不幸じゃない」10歳のユーチューバー 沖縄から世界に発信「ハイサイまいど!」 - 琉球新報 - 沖縄の新聞、地域のニュース

ゆたぼんが学校に通わなくなったのは小学校3年生の時。宿題を拒否したところ、放課後や休み時間にさせられ不満を抱いた。担任の言うことを聞く同級生もロボットに見え「俺までロボットになってしまう」と、学校に通わないことを決意した。

琉球新報だとこの箇所ですが、いくつかYoutubeの動画を見ても、このキーワードは何度か登場しています。これって、現在学校に通っている子どもやかつて学校に通っていた現在の大人をロボットだって否定しているように見えちゃう。Youtubeの動画を見ている人は不登校の児童に限定しませんから、大多数の不登校ではない人の中には、攻撃されたと思って、攻撃し返す人が出てくるわけです。

ある意味、結婚・妊娠・出産ネタが燃えやすいのと構図は似ていて、学校は多くの人が経験していて一家言あるから、学校をネタにして、これが正解(他は不正解)みたいなことをすると燃えやすい。

分かりやすく書くと、結婚している人が「独身の人はかわいそう! 結婚して私はこんなに幸せ!!」と主張したり、逆に、結婚していない人が「結婚している人はかわいそう! 結婚しないで私はこんなに幸せ!!」と主張したりすると燃えるじゃないですか。他人の価値観は否定する要素は外して、「私はこんなに幸せ!」だけだと、(それでも反感を覚える人はいても)そんなに燃えません。

色々あるうちの他の要素は、お父さんの要素ですね。要は、ゆたぼんさんがお父さんのロボットなんじゃないかと見えると。詳しくは割愛します。

次に、

主に不登校の親や支援者が、ツイッター上で激しい拒否反応を出している事に驚いています。 

この点も理屈は理解できます。よくウォッチしていないので雑な推測ですけど、ゆたぼんさんのやっていることが悪目立ちをしているように見えて(不登校児による非不登校児の否定)、それによって世間が不登校やその支援者に対して厳しい目を持つことを危惧して、拒否反応を示しているのはありそう。要するに、無能な味方みたいな見え方をしているんじゃないでしょうか。

そして、

各家庭の在り方にここまで口を突っ込むことへの驚きであり、これだけ世間が関心を寄せる貴重な機会のようにも思えて、とても心がざわざわ、うまく言葉にできずモヤモヤとします。

各家庭の在り方に他人が口出しするのは、ネットに上がっているのはみんな誰もがコメントしていいコンテンツという意識があることによります。分かりやすい例だと、例えば、私がブログで、一般向けではないことをヘッダー画像に書き、記事の中でもn=1であって他人のことは否定していないようにして育児のことを書いても、私の育児になんやかんや言う人は結構います。実際のところは、私の育児スタイルはどうでもよくて、他人のネットコンテンツをフックにして自分語りをしている感じですかね。

世の中のこれまでの、(Aさんが興味を持てなかった)炎上は、大抵今回と同じような理屈で起きてきています。 ただ、今回は、Aさんはご自身が実際に携わっている身近なテーマで炎上があったことで、炎上が我が事として引きつけられて、気持ちがざわしているんじゃないでしょうか。ゆたぼんさんが否定されているのが、Aさんの仕事が否定されているように感じてる?

モヤモヤの解消自体は今回みたいに言語化することが解決策になりますが、必要以上にネットが気になりすぎるようだったら、一週間ぐらいネット断ちをしてしまってもいいと思います。

先日も紹介したように弁護士のテラバヤシさんがTwitterを止められたり、週刊ポストの駄記事をきっかけに怒りの怨嗟が広がったりしたように、ネットの世界はネガティブな感情を極端に増幅させるようなところがあります。ネットでの反応は適宜割り引きつつ、自分に負荷がかかるならネットに接しないのも手だと私は思います。

以上です。

私個人としては、上に書いたとおりで、不登校支援は大変重要な意義があると思っています。Aさんにはよろしければ不登校支援の現場について教えてもらえると嬉しいです!