斗比主閲子の姑日記

姑に子どもを預けられるまでの経緯を書くつもりでBlogを初めたら、解説記事ばかりになっていました。ハンドルネーム・トップ画像は友人から頂いたものです。※一般向けの内容ではありません。

釣り師が語る燃えない結婚論・育児論の書き方

結婚話や育児話がインターネット上で炎上すると、「こんなことで炎上するの?」「炎上が怖くて自分のことを書けない」という感想を聞くことがあります。topisyuに対しても、

という話がありました。topisyuは過去こんな記事を書いていますが(あなたのBlogを炎上から守るには? - 斗比主閲子の姑日記)、結婚論や育児論はあまり詳しくないので、過去、結婚や育児に関して炎上釣り記事を連発してきた知人の釣り師に聞いてみました。炎上させる方法を知っているなら、炎上させない方法も知っているのではないかということで、蛇の道は蛇というやつですね。

※以下はtopisyuの考えではなく、その方の考えとなります。釣り師が嫌いな方、会話形式が好きではない方、炎上などどうでも良い方はそっ閉じを推奨します。 

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※こういう専門家の本は燃えません。

 

一般人が結婚論・育児論を語ることが間違い

topisyu「早速ですが、炎上しない結婚論、育児論の書き方を教えて下さい」

釣り師「そもそも、インターネット上の炎上自体はそう起きるものではなく、一般人が出遭う確率は一生に一度程度。そんなことを気にしないで好きなことを書いたらいい。炎上してしまったら宝くじに当たったようなものとして楽しめばいい」

topisyu「出遭う確率が低いのはよく分かります。では、炎上をみなが楽しめるかといえばそうではないと思います。一生に一度遭うか遭わないかという地震保険や火災保険に加入している人もたくさんいますし、備えておきたいのが人情ではないでしょうか」

釣り師「でもね、結婚論、育児論を一般人が書こうとすること自体がおかしい」

topisyu「というと?」

釣り師「学者などの専門家でもない限り、結婚論や育児論についてまともなファクトがある話を一般人が言えるはずがない。大抵の人は結婚は一度、育児についても1人~3人ぐらいしか経験がない。そんなごく限られた経験しかない中で、"論"として一般化したら突っ込まれるに決まってる」

topisyu「主語を大きくするというやつですね。主語="私"を、主語="子供がいる人全員"など大きくすること。第三者が検証できる根拠もない、自分の経験しかない、にも関わらず、それを公理のように語ってしまう。結婚、育児でなくとも燃える基本中の基本の炎上しないために押さえておきたいポイントですね」

釣り師「結婚や育児は経験者が多いし、経験者はそれぞれが自論を持っている。そして、結婚観や育児観には政治や宗教や経済が絡んでくる。元々異論反論が多い分野で、ファクトもない個人が個人の感想を"論"として語ろうとするのは、正気の沙汰ではない」

topisyu「でも、自分が経験したことでいいことがあったらみんなに知って欲しいじゃないですか。例えば、母乳が出なくて困ったけどこうしたら良かったとか、男性子育てでこんな点を苦労したとか、こんな教育したから東大に入れたとか」

釣り師「だから、"論"にしなければいいだけで、自分の経験談として書けばいい。どんなことでも、一般化しないこと。『妻には夫に怒りをぶつける権利がある』なら『私は妻にはいつも怒って欲しいと伝えているんです』にすればいい。『結婚したくない理由が分からない』なら『私の周りの人と話しても結婚したくない理由がよく分からなかった』とすればいい。主語を自分から大きくしてしまうのは、要は自分の経験を一般化して、自分が正しいものとして語る時にやってしまうこと。自分の経験しかないのに、それが正解のように世界中に見える形で公開すれば、反論が出て当然」

 

タイトルで釣らない

topisyu「経験談としても炎上することはあると思います」

釣り師「そういうのはタイトルに炎上要素があることが多い。タイトルをできるだけ優しく、ポジティブにすること。『結婚したくない人の気持ちが分からない』ではなく、『結婚したくない人、教えて下さい』とする。これだけで、読者が最初から批判的に記事を読みにくることを避けることができる。その記事を批判的な目で見始めた人間はどんなことでも粗探しをしてくる」

topisyu「嫌な人がいるものですね……」

釣り師「『この文章をプリントアウトして病院に行くことをお勧めする』が口癖の人がいるんだけど、」

topisyu「その人も、そんな嫌な人なんですか!?」

釣り師「その人にはもう一つの口癖があって、『千人に一人メンヘラーがいるんだから日本だけでも十万人のメンヘラーがいる』みたいなの」

topisyu「過激な発言ですね……。やっぱり嫌な人かも……」

釣り師「それが真実かどうかはおいておいて、自分の文章を百人中百人が好いてくれるかといえば、一人ぐらいは物凄く嫌悪する人がいるはず。そういう人が引っかからないようにすること。その要素を排除すればいい。想像ができないなら、自分の人生の中で一番自分が嫌いだった人を想像して文章を書くこと。それだけで炎上しにくくなる」

 

人を否定しない

topisyu「具体的には?」

釣り師「タイトルに加えて、本文中で人を否定ないこと。人を否定していると読めるように書かないこと。これは世界中の誰でもそうだし、自分の家族でもそう。とにかく誰かを否定しないこと。否定すれば、自分のことを嫌いな人が引っかかりやすくなる」

topisyu「いますよね、自論を展開するときに人を否定する人……」

釣り師「その否定される人間がマスに繋がる可能性があればあるほど燃える。例えば、『母乳育児で子供がIQ120になりました!ミルクで育てた友人の子供は残念ながら同じ国立の小学校に入学できなくて残念』と書けば、その友人を否定するだけではなく、母乳育児をしない・できない人間全員を否定することになる」

topisyu「ああ……」

釣り師「自分がやっていることを正当化するために他人を否定するのは、客観的な根拠がなければ、自分に自信がないことの裏返し。そういう人が炎上に遭えば炎上に耐えられるはずがない」

topisyu「なるほど。否定する文章を書いている時点で自分に自信がないわけですから、大量の人に自分を否定されたら……。やっぱり、炎上は怖い……」

 

意図的な炎上

釣り師「逆に言えば、タイトルをネガティブにして、個人の意見を主語を大きくして、他人を否定するようなことを書けば炎上する」

topisyu「それが炎上系釣り師の手口ということですね」

釣り師「そう。釣り師はこれが分かっているので、同じやり方で炎上を誘う。そういう記事はタイトルだけでスルーすればいい。一度だけではなく、それを複数回繰り返して炎上していたら、その人物は釣り師か、経験から学べない人間のどちらか。釣り師は論外としても、経験から学べない人間の経験談も同様に読むに値しない」

topisyu「ナチュラルボーン釣り師というやつですね。釣り師の最大の敵」

釣り師「釣り師に敵っているの?」

 

ファクトとセットに

topisyu「タイトルや内容をポジティブに優しくしたとしても、自分の経験談でしかないと書くのもちょっと勿体ないって考えちゃうんですよね……。注目されないじゃないですか。主語を大きくしないと、本当に伝えたい人に『何だ私には関係ないんだ』ってスルーされちゃいそうです」

釣り師「あくまで、主語を大きくしたいなら、ファクトとセットにすること」

topisyu「ファクトとは?」

釣り師「さっきも触れたけど、研究者による論文など。客観性のある資料」

topisyu「え、論文ですか!?論文を一般人が読むのは大変だと思います……」

釣り師「アブストラクトだけでもいいけど、読めないなら育児書の引用でもいいし、テレビで教育者が言っていたことでもいい。『尾木ママが叱らない子育てを推奨していたので、我が家でもそうしてみたら夜泣きがなくなりました。叱らない子育てで夜泣きが治る!』みたいな、強引な感じでもいい。責任を自分から離すことができるので自分自身が非難を受けにくくなるし、根拠もあるように見えるから読み手も素直に受け止められる」

topisyu「人のせいにするということですね!」

釣り師「人聞きが悪い」

 

寓話とする

topisyu「引用するの面倒なんですが。できるだけ楽に書けません?」

釣り師「その手間をかけたくないなら、寓話にすればいい」

topisyu「寓話というと、アリとキリギリスみたいな?」

釣り師「グリム童話でもいいけど、現代落語でもいい。村上春樹風の小説仕立てでもいい。物語形式に仕立てて、それで伝えたいことを伝える」

topisyu「それで何で炎上を防げるんですか?」

釣り師「寓話仕立てなら、いざとなればフィクションということで逃げられるし、個人の意見という立てつけではないから個人批判に繋がりにくい」

topisyu「そんなの小説を書くようなものじゃないですか。もっと楽な方法ないんですか?」

釣り師「わがままだなぁ。それをずっと続けてきて人気ブロガーになった人もいるんだよ。はてな匿名ダイアリーにも時々投稿して、それも人気になってる」

 

知人から聞いたことにする

topisyu「(妄想言ってる。気持ち悪い)そんな人のことはどうでもいいので、もっと楽な方法を教えてください。小説なんてみんなが書けるものじゃないですよ」

釣り師「じゃあ、知人から聞いた話にすればいい」

topisyu「人のせいにする!」

釣り師「人聞きが悪い。知人は知っている人だから自分のことも知ってい人と言えるわけで、嘘ではない」

topisyu「普通はそうは思いません」

釣り師「知人が実在しているかもしれないでしょ。読者は真偽を確認する手段はないんだから」

topisyu「嘘ついていて恥ずかしくないんですか?」

釣り師「だから、そういう風に仕立てたら炎上しないという話なわけで……」

topisyu「そんな厚顔なことできませんよ」

釣り師「……」

 

締め

ポイントとしてはこういうことかなと思います。topisyuは結婚論や育児論での釣りは自動精製できないぐらい得意ではないので、最近の結婚論・育児論での炎上を見て気付いたことを分かりやすく会話仕立てで整理したものです。

id:kobeni_08さん、これが一応燃えない方法へのアンサーです。面白い育児論を書かれることを楽しみにしています。