斗比主閲子の姑日記

姑に子どもを預けられるまでの経緯を書くつもりでBlogを初めたら、解説記事ばかりになっていました。ハンドルネーム・トップ画像は友人から頂いたものです。※一般向けの内容ではありません。

モヤモヤ解説"母親にも「もう無理!」と声を上げて投げ出す権利がある"

タイトルからしてマズい感じがするこの記事について、

母親にも「もう無理!」と声を上げて投げ出す権利がある

はてなブックマークコメントがモヤモヤで埋まっているように見えたので、モヤモヤ解説をします。

はてなブックマーク - 母親にも「もう無理!」と声を上げて投げ出す権利がある

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※ちなみに、原文の1.5倍ぐらい解説要素があります。しつこくて、細かいので、原文に違和感を覚えなかった、しつこいのが嫌という人は、どうぞそっ閉じ下さい。なぜ、こんなにモヤモヤしている人が多いのか分からない人向けです。

 

モヤモヤ解説(前半)

母親にも「もう無理!」と声を上げて投げ出す権利がある

まず、タイトルから。ここでのポイントは、"権利"という言葉を使っているところ。権利の背景には権利を付与する存在が意識されます。法律なのか、国家権力なのか、神か。ここでは、父親がそう考えられますが、このエピソード自体はこのサイトの運営者である寄金佳一さんご夫婦の話であるため、寄金佳一さんが奥さんに対して権利を付与しているという雰囲気が漂ってきてしまいます。ちょっと上からに見られちゃう。(実際、そのつもりであるようなのは本文を読めば分かるのですが。)

寄金佳一オフィシャルサイト - プロフィール | Handmade Future!

※寄金佳一さんと何度も書くと読みにくいし、個人批判が強くなってしまうので、以降は勝手に、トピ主さんに統一させて頂きます。

 

おとといの夜、家で夕飯を作って待っていたら、妻が、4歳と2歳のこどもたちを連れて帰ってくるなり、怒鳴り散らし始めたんですよ。

相手は、4歳の娘。

もう凄まじい剣幕で、(僕にとっては)よく意味のわからない内容を捲し立てている。

怒鳴り散らす、意味のわからない内容を捲し立てているは、事実そういう状況だったとしても、実名でやっているメディアで、奥様を評する言葉として書いてしまうと、反感を持つ人が出ます。

 

少々背景を説明しておくと、妻は職場から直接保育園へ迎えに行って、そのまま子供たちを耳鼻科へ連れて行く日でした。

後で分かるんですが、トピ主さんは子育てのためにフリーの仕事を選んだそうです。そうすると、外で働いている奥様が保育園の迎えと耳鼻科へ連れて行くのをやられていると聞くと、「あれ?子育てって何をしているの?」とモヤモヤが出ます。

 

この耳鼻科がかなり混んでいまして、この日は特に、普段より1時間くらい帰宅が遅れていたんです。

長時間待てば子供たちも焦れるので、なだめすかす監督者としては、いろいろ大変なわけです。特に4歳の娘は口が達者になってきており、これまでにも何度も、妻と娘は喧嘩した過去がありました。

普段より1時間ぐらい帰宅が遅れていること、なだめすかすのが大変であること、4歳の娘と妻が過去何度も喧嘩していることをトピ主さんが知っていたことが分かります。冒頭で"(僕にとっては)よく意味のわからない内容"と書かれていますが、シチュエーションからしてトピ主さんであれば何があったかの推測は容易だったはず。細かなことは分からなくても。

 

でもこの日は、ちょっと妻の様子が尋常ではない。言い分を聞いて、少しでも感情の高ぶりを散らそうと「なに、どうしたの?」と割って入る。

が、妻の話は、まったく要領を得ない。

相手に理解してもらう努力を一切放棄してしまうくらい、興奮しすぎていたんですよ。

 奥様の感情をトピ主さんがコントロールできると信じていて、コントロールできないと分かると奥様の努力不足としています。

 

あまりに4歳の娘がかわいそうだし、2歳の息子も呆然と母親を見上げる始末なので、「何言ってんだよ! 意味わかんねーよ。頭おかしいんじゃないのか!!」と強く言い返しました。

母親の悪口を子供の前でしています。(これを聞いた娘は同じフレーズを今後母親にする可能性があります。これやられると超絶腹が立つ)また、子供を労る気持ちが仮にあっても、この発言からは妻を労る気持ちが感じられません。頭がおかしいという言葉自体も相手に理解してもらうために使う言葉ではありません。

 

すると妻は、泣き崩れるかのように、

「頭おかしいんだよ!」

「疲れてるんだよ!!」

と叫んだんです。

"泣き崩れるかのように"は言葉としておかしい。泣き崩れたのか、ただ泣いただけなのか。ちょっと崩れた?それは置いておいて、客観的事実としてこういうことがあったとして、ここで、それをそのまま一言一句書くことはトピ主さんの冷静さのアピールと考えられます。ただ、奥様の取り乱した様子を、実名で、月間10万PVぐらいのかなりアクセス数があるサイトでやると、奥様の知人や友人が知る事態がありえます。オブラートに包みたい。また、この発言だけ読めば、奥様が限界であり、トピ主様を非難しているとも読めないこともないのですが、その可能性についてはスルーしています。

 

モヤモヤ解説(後半)

妻はそのまま、2階へあがって行きました。

僕は、子供たちに声をかけて「大丈夫だよ」とフォロー。

そのあとで妻の後を追いかけて、

妻の様子も確認済み、子供へはフォロー、すかさず妻を追いかけるというのをあえて書くことで、繰り返し自分は冷静である、全て見えているアピールとなります。これが人によっては鼻につきます。分かっているなら何故妻をここまで放置していたと。

 

「(大変なら)呼んでくれれば、車で迎えに行くから。全部ひとりで抱え込んでそんなんになってたんじゃ、自分だって大変だし、子供たちもかわいそうだよ」

言ったのは、たったひと言、それだけ。

多分、ここが最大のモヤモヤポイントだと思います。「たった一言しか言わなかったんだから、それだけしか言わない俺は偉い」ということなんでしょうけれど、内容をよく考えれば全然偉くなくて、基本的に奥様を詰めているだけです。奥様にはこう聞こえる言葉です。

・大変なら呼べばよかった=呼ばないのが悪い
・呼ばなかったから、子供たちにかわいそうな思いをさせた

言われた方は腹が立ってたまらないでしょうね。「どうして、私ばかり攻めるのか」と。繰り返しですが、実際、トピ主さんは1時間遅くなっていることを気付く機会があり、4歳の娘と妻の折り合いが悪いことも知っていたのですから、奥様を迎えに行こうという発想は出てきてもおかしくなかったわけで、それをやらずに奥様を攻めるような事を言ったわけです。たった一言かどうかは関係がなく、子育てに対するスタンスとして、「言われたらやる」というのが見え隠れします。

 

ちなみに、トピ主さんはこの前の記事で、

1.自分が何をして欲しいかを言葉で伝えている。(中略)

いやいや、「自分(妻)が何をして欲しいか」ではなくて、「家族としてどう分担するか」でしょう。「家事協力」って、なんで夫が妻を助ける前提なんですか。

“産後クライシス” は原因不明の難病ではないよ。

と、NHKが挙げている産後クライシスを防ぐための一つ目について、上記のように反論をされています。最初ここを読んだ時は、言われずとも子育て・家事をするということかと思ったのですが、どうやら、完全に家事を分担することを指していたようです。線引きをすることが大事で、外れたことは何か問題が起きてようが言われなければやらない。

 

僕は、自分が子育てをするために、自由に時間を使えるフリーの仕事になりました。

妻には絶対に一人で抱え込まないでほしいんです。無理なら無理で、投げ出してほしい。

それで犠牲になるのは、子供たちだからです。

※「一人で抱え込まないでほしい」というのは正直、反面教師と言いますか、僕自身のコンプレックスなんだと思います

奥様が「頭おかしいんだよ!」「疲れてるんだよ!!」と言わないといけなくなっている状態は、既に追い込まれている、抱え込まれているのは明白なように感じます。それなのに、まだ、一人で抱え込まないでほしい、投げ出して欲しいという奥様側からのアクションを求めている。そして、奥様側からのアクションが無ければ子供が犠牲になるとしている。悪いのは奥様であり、自分が奥様を理解しようとしないことについてはスルー。

また、注意書きがフォローだとは思うものの、そのような経験があるなら、抱え込んでいる人がそれを放り投げれないからこそ抱え込んでいるということにも理解が及びそうと思えるため、フォローになりきっていません。

 

妻はその日、普段の1.5倍くらいお酒を飲んで、僕には冷たく当たる。理不尽だなぁと思いつつ、子供たちにはだいぶ柔らかく接していたので、まぁだったらいいかと。子供たちに優しくしてくれるなら、本望です。

お酒を普段から適度に飲まれているかどうかが気になります。もしかして、お酒に逃げている可能性はないか。自分が完全にいっぱいいっぱいであることをアピールしても、手を差し伸べようとしない夫に対する対応として、冷たく当たる程度で済んでいるのは奇跡かもしれません。そして、ここでも、妻よりも子供が大切と読めなくもない形でのイクメンアピール。

 

ふだんは妻の分担になっている食器洗いを僕がやり、子供たちを寝かしつけました(いつも、2歳の息子はたいてい妻と寝たがる)。妻は少しは自分の時間が持てたんじゃないでしょうか。

さらに昨日と今日は、妻の担当になっている保育園の送り迎えまで、僕がやりました。

僕はそのぶん仕事の時間が減るわけですけど(夕飯づくりも洗濯物たたみも僕がやっているので、送り迎えの時間がけっこう馬鹿にならない)、でも子供たちを傷つけるよりは100倍もマシです。

子育てのためにフリーとなったという話でしたが、子供の寝かしつけと保育園の送り迎えを奥様が担当ということであれば、トピ主さんが子育ての何をしているのでしょうか。また、これも僕がやった、あれも僕がやったと列挙することで、自分がやった、凄いでしょアピールになってしまっています。奥様が抱えられている問題は何かを考えて、話して、解決するのではなく、あくまで一時的に分担を移し返すだけに留まっているように見えます。

 

あなたに逃げ場はありますか?

という見出しがついていますが、ここまで読んで、トピ主さんが逃げ場を用意していると思われる方はいらっしゃるでしょうか。ご自身がさも逃げ場を用意しているような発言で、かつ主語が大きい。燃えます。

 

僕は、妻の「頭おかしいんだよ!」「疲れてるんだよ!!」という叫びを聞いて、ある意味ほっとしました。

もし爆発してくれなければ、「もう無理!」という思いは、たぶん表に出てこなかったはずだからです。

トピ主さんが聞き出したおかげみたいに読めます。妻の感情の爆発も自分のコントロールの範囲。(確かに、トピ主さんによる「頭がおかしい」発言に呼応するものなので、原因はトピ主さんにありそうです。)

 

人間誰しも、精神的・肉体的に厳しいときは、余裕がなくなります。子供がだだをこねたときに、笑って応じられるときもあれば、必要以上に怒鳴り散らしてしまうときもあるわけです。

根性でどうにかなる問題じゃありません。精神的・肉体的限界は決まっていて、そのときに持っているモノでやるしかないんです。

それは僕も妻もお互い様です。

これ自体は事実だと思うのですが、この夫婦関係で夫の立場であるトピ主さんが書くとまた違って読めます。奥様が置かれている状態を全て自分は分かっているというアピールですね。怒鳴るのも分かるよ~と。こういう状態になっている原因の一端が自分にある可能性について思いを馳せていないように読める。

 

母親だって、「もう無理!」という状態だったら、投げ出していいんです。

だって親はふたりいるんですから。本当によくできたもんですよね(蛇足ですけど、一人親は逃げ場がなくて本当に大変だろうな、としばしば思います)。

蛇足が蛇足です。

 

限界なのに逃げ場がなければ、体や心を壊してしまったり、子供たちを傷つけてしまったり、という悲惨な結果が待っています。

厳しいときは、夫婦で互いにうまく投げ出し合って、子供を犠牲にしないようにしたいと僕は思います。

ここまで奥様は追い詰められないと家事・育児をトピ主さんにやってもらえないのですから、逃げ場は限りなく少ないと思っているかもしれませんね。

 

まとめ

長くなりましたので、要点をまとめると、

  • 実名でやっているため、奥様の友人・知人・会社の同僚が見ることができる可能性がある中で、奥様の醜態を晒していること
  • トピ主さんにも問題がありそうなのに、さも自分は全てできていて、問題は発散できない奥様にあるように書いているように読めること
  • あまりよろしくない例を使って一般化していること(どうしてあなたにそれが言えるのかと言いたくなる)

といったところでしょうか。

心の中でそう信じている限りはありがちな考え方だと思うのですが、自らのメディアを使って主語を大きくして広い対象に伝えようとしたために、大きなモヤモヤを生んでしまったというのは、よくある炎上と同じ構図になっています。

 

ちなみに、本題と関係しませんが、topisyuは子供と一緒に写っている写真を、自分の紹介写真としている人の育児発言はまず疑ってかかるようにしています。