斗比主閲子の姑日記

姑に子どもを預けられるまでの経緯を書くつもりでBlogを初めたら、解説記事ばかりになっていました。ハンドルネーム・トップ画像は友人から頂いたものです。※一般向けの内容ではありません。

「頑張ることから逃げてきた妹(理系院在学中)、派遣社員として就職が決まりました。将来路頭に迷うのではないかと心配です」

今回も読者からの簡単なモヤモヤにコメントするシリーズです。

 

Q. 派遣社員で働く予定の妹に何かできることはないか

トピシュ様

はじめまして、Fと申します。

理系修士修了過程の妹の就職が決まったのですが、研究員の派遣会社とのことでした。ひとまずめでたいことなのですが、今までの人生で困難に立ち向かうことのなく、頑張ることから逃げてきた妹が派遣として就職した場合、上手くいっても淡々と派遣の仕事を続けて40才頃に解雇されてしまった場合路頭に迷ってしまうのではないかと心配です。

「就職してからも第二新卒として転職活動と派遣でのアピールを頑張って」とアドバイスをしてみたのですが、あまり響かないようです。何か私にできることはあるでしょうか?

他人は変えられないと分かりつつも、心配でできる限りのことをしたいと思ってしまいます。特にほっこりでなくすみません。急を要する問題ではありませんがもし何か第三者としての別の考え方が教えてもらえると嬉しいです。

Fより

 

A. お祝いし、情報提供しましょう

Fさんも書かれてますけど、他人を変えるというのは親族でも基本的にはできないものですよね。

洗脳するとか、親と子のような関係なら色々できますけど、そうじゃない場合は、強制でもしないと誰かに何かをさせることはできません。強制させた場合は、自発的ではないので長続きしないし、歪んだ結果を生むことが結構あります。

そんなわけで、他人に何かさせる場合には、

  • 意思決定のための情報を提供する
  • 特定の行動を志向するようなインセンティブを提供する

ぐらいができることになります。

 

それで、本題の妹さんについて。

何か私にできることはあるでしょうか?

には、すでにFさんから妹さんにアドバイスをしていて響いていないことからもできることはあんまりないですよね。ただ、それでも何かできることを!ということでしたら、

  1. 就職自体を喜んでいることを多少オーバーぐらいに伝えること
  2. Fさんのお友達・知人で理系修士卒の独身20代の人がいたら妹さんに引き合わせること

と、こんな感じかと思います。

1は、(Fさんから見て、人生を逃げてきたと思える)妹さんに何か成し遂げたという思いを抱かせるのと、今後Fさんの話に聞く耳を持たせるために行うものです。

congratulations

※「おめでとう!」は「ありがとう!」並みに言い慣れておくといい。

2は、妹さんにとって共通点が多い人であれば、妹さんがFさんの話より興味を持って聞く可能性があるからです。

1は今すぐやったほうがいいと思います。お祝いは早い方がいい。2はそれほど急ぐ必要はありません。本人が働いてみないと分からないこともありますから。

 

年長者として妹さんが心配かもしれませんが、妹さんの人生はあくまで妹さんのものです。また、年長者が常にアドバイスして、それに従わせるようだと、本人の中でも自分の人生への掌握感を持てません。Fさんが思うような、頑張ることから逃げているのと(結果は違うかもしれませんが)妹さんの生きる力という観点ではあまり変わらないかもです。

個人が自立する上では、本人が自らの意思で人生を選択し、切り盛りしたという経験が重要です。家族として情報提供やインセンティブなどでさりげなく介入することはあったとしても、本人が決めたことを尊重するアプローチのほうが、長い目で見れば有効だと思います。

 

こんな感じでしょうか。

 

身近な誰かの人生は介入するものではないと分かっていても、やきもきしますよね。