斗比主閲子の姑日記

姑に子どもを預けられるまでの経緯を書くつもりでBlogを初めたら、解説記事ばかりになっていました。ハンドルネーム・トップ画像は友人から頂いたものです。※一般向けの内容ではありません。

"妻よ、家事能力の低い夫を叱らないで"への意見

以下のような依頼があったので応えます。

https://twitter.com/tamansa/status/548413406793850881

id:Lag_TYさん(中部在住、アラサー、家族思い、婚活中)の依頼の趣旨としては、「自分は納得できたけど、元記事のどこら辺に対してモヤモヤしたりイラッとする人がいたのか教えて欲しい」ということと理解しました。

長いことこのブログを読んでいらっしゃる方は、ご理解頂けているかもしれませんが、topisyu自身は別段こういう記事を読んでも何も思いません。8年間発言小町を読んできたせいで、脳内発言小町シミュレーターが出来上がっていまして、大体どういうところにモヤモヤする人がいるのか自動的に頭の中に思い浮かんでしまいます。(レスも含めて)

今から書く内容はそれをアウトプットしているだけです。そういう前提を理解でき、楽しめそうな人だけ読んでください。

 

元記事へのモヤモヤポイント

大きく前半部分と後半部分でモヤモヤポイントはあるかなと思います。

 

前半は、日本の男性が女性より家事への意欲や能力が低い社会的背景に関しての説明ですね。大きく、中学校で家庭科の授業を受けていない層がいること、親の影響で家庭内で男性が家事をするものという意識が育たなかったこと、専業主婦の子供は家事を全自動と錯覚してしまうことが挙げられています。

それぞれについてモヤっとする人がありえて、

田中:まず、家事をうまくこなせない夫に妻がダメ出しをすると、夫はますます家事が嫌いになるという悪循環の問題ですね。

 実はこうした状況が生まれるのには、社会的背景があります。例えば中学校で女子は家庭科の授業を必ず受けますが、男子が家庭科の授業を受けるようになったのは1993年からです。つまり35歳より上の男性は、家事の基礎となるべき家庭科の授業をきちんと受けていないのです。 

ここでは、①小学校では男子も以前から家庭科の授業はあったじゃないか、②そもそも家庭科の授業で家事の基礎を学べるのかと思う人がいるでしょうね。②については、家事は自分で習得したという意識がある人は多いかな。

続いて、

田中:それに親の世代はサラリーマンと専業主婦の組み合わせが多く、「男は仕事」「女は家庭」と役割分担がはっきりしていました。なので、共働きなら家事を分担して当然なのに、家事を自分ごとだと思えない男性がまだまだ多いように感じます。子どものころ「お母さんに台所に入ってはいけない」と言われて育った男性もいますから。

この点については、実態としてはそうだとしても、言っちゃえば不公平な状態だったわけですから許容しにくいものはあります。余談ですけど、"「お母さんに台所に入ってはいけない」と言われて育った"この部分については、自分が親になると理解できる部分はあるけど、結婚相手の男性がそういう理由で台所に立てないと口に出した瞬間にドン引きする女性は結構いると思います。

最後の、

田中:私もそうですが、専業主婦の母親に育てられた男性は、家事は「全自動」だと思ってしまうふしがあります。一人で暮らしてみたら、家事ってこんなに大変なんだと分かるんです。

この点については、20代の男性が一人暮らしをしている割合は女性より高いので、「大変だと分かっているのに、なぜできるようにならないのか、やらないのか」という話に繋がっちゃいますね。

<図 年齢階層別人口に占める単身世帯の割合の推移>

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※画像はみずほ情報総研:単身急増社会と若者(1/2)より

 

後半は、そうした社会的背景を踏まえた上で、どのように男性に家事をしてもらうかという話です。

田中:ですが、「女性が当たり前にやっていることなのに、どうして男性はできないの…」という意識でダメ出しするだけなら、そこでおしまいになってしまいます。例えば仕事では、新人に「そんなこともできないの!」と叱ったら、言われた新人は萎縮してしまいますよね。

 夫が家事ができなくても、きつい言い方や上から目線での話ではなく、褒めてあげつつ、優しく仕事を教えるつもりで接するほうが良いと思います。男性が喜ぶ「さしすせそ」はご存じですか。

ここで引っかかる人がいるのは、旭化成ホームズの『家事ハラ白書』炎上とほぼ同じですね。 

自分としてはできることが相手ができないから、お金ももらわず教えているのに、それをきついとか上から目線とかとらえられるんじゃやってらんないという気持ちが出て、しかも教え方は、 

田中:「さ」は「さすが」、「し」は「知らなかった、そんなやり方があるんだ」、「す」は「すごい」、「せ」は「先輩だから」、「そ」は「そうなんですか」。男女平等という観点からはどうかと思いますが、現実的には、女性が下手に出ると男性は喜んで受け入れてしまいます。

 理想は「家事を平等に分担するのは当たり前なんだ」というところまで男性の意識を持っていきたいですが、現実的な戦略として、夫婦が家事をうまく分担するには上記のような手を使って褒めていくのは「あり」だと思います。

合コンで男性を褒めるやり方と同じとくれば、戦略的にありだとは頭では理解できても、男性のほうは釣った魚に餌をあげようとしないのにこちらは餌をあげないといけないといけないのかと強烈に面倒くさく思える。

 

モヤモヤポイントがあるとすれば、こんなところでしょうか。

 

以上が小町シミュレーターによるものです。以下はtopisyu自身の意見も書いてみました。一応書いておかないとバランスが悪いかなと思って触れていますけど、特に思い入れはないので、こちらも軽く眺めてもらえるとありがたいです。

 

元記事への意見

男性が家事をできない社会的背景については概ね同意です。特に40代以降の男性が家事が不得手なのは本人以外の社会環境によるものが大きかっただろうなという理解はできます。

家庭科は家事をする上では役立つと思っています。家事のハードルを下げる。料理もミシンも家庭科で最初に学んだと記憶しています。ただ、手作り至上主義に偏っている印象はありますけどね。本当に手作り至上主義には消え去って頂きたい。

男性の家事時間については若い人でもまだまだ少ない印象ですね。5年ごとの調査である社会生活基本調査でも、ちょっと古いですが男女差はかなりあるのが確認できます。

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家事について限定してみると、十代でもう差がついていますよね。家事育児で見ると、

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共働き世帯での、2次活動(仕事+家事育児)は、妻のほうが30分以上長い。傾向としてはかなり変わりつつありますが。

男性が家事育児が本当にできない背景の一つとしては、能力不足、意識不足以上に労働環境に問題があると考えています。これは元記事の田中先生と同じですね。

そういった厳しい環境下で、男性に家事をしてもらう方法としては、自分は、家事の見える化、タスク化をお勧めしますかね。「さしすせそ」はちょっと小馬鹿にしている印象を与えちゃいますし。

具体的には過去書いています。 

どうしてもできない人にはABAプログラムが参考になると思います。細分化ですね。 

 

締め

この種の話題でこのような締めを書くのはもう何回目か分からないんですが、たぶん、日本では、まだしばらくは家事育児に関する男女間の論争は続くと思います。

田中先生も元記事で仰っているとおり、世の中の流れとして男性の家事育児関与が急激に進められる一方で、個人の意識や能力は当然追いつきませんし、会社もなかなか変われていない。

現状は共働き世帯では女性にかなり負荷がかかっている状態で、そこに関する認識についても徐々にしか広まっていない。

だからこそこういう論争や炎上というのが頻繁に起こるわけで、これが悪いことかといえば、結果としては、男女間の対立が明確化するということではなく、ギャップが徐々に埋まっていくんじゃないかなとtopisyuは比較的楽観的に考えています。

 

参考

35歳より上の男性は家庭科を履修していないので家事能力低くても叱らないで - Togetterまとめ

第2章 各教科 第8節 技術・家庭:文部科学省

 

 

 

余談 

最近余談がなくて寂しいというコメントをちらほらみかけますので、付けておきます。はい、発言小町のほっこりするトピです。

家庭科が必修科目になったのはなぜ? : 趣味・教育・教養 : 発言小町 : 大手小町 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

・戦後の民主化に抵抗して家庭科を女子のみ必修にした理由は何ですか?

・技術科を大幅に削減した人たちは本当に生徒のことを考えているのですか?

トピ主さんがどうにかして女性に家庭科教育の問題点を納得させようと、質問ではなく説得を繰り出すトピです。 結果がどうなるかこれだけでは分かない人はぜひ読んでみてください。