斗比主閲子の姑日記

姑に子どもを預けられるまでの経緯を書くつもりでBlogを初めたら、解説記事ばかりになっていました。ハンドルネーム・トップ画像は友人から頂いたものです。※一般向けの内容ではありません。

そろそろ定年を控えた、家事をほとんどしない父に、定年後は家事を母と分担してもらいたいが、その説得方法に悩んでいる

表題の通りの相談メールを頂きました。もし、我が家はこういう風に上手くいったなどなどご意見等がございましたら、ぜひコメント欄に書き込んで下さい。相談者さんは幅広く意見が欲しいそうです。

 

相談されたのは、共働きの両親を持つ娘さんです。実家暮らしでまだ働かれていないということですから学生さんでしょうか。相談文自体3千字ぐらいあり物凄く長いので、ご本人が送られてきた、簡単なまとめだけ紹介します。

 

簡単なまとめ

簡単なまとめ

・不仲な母と父がこのまま年金生活を送るのが不安
・二人の幸せな老後生活のためにはどうしたらいいだろう?
・私が考える父と母の理想の老後生活①離婚②ストレスのない同居
・私の理想は②だけれど、そのためには今の母の不満の元となっている家事分担の不平等を変えることが不可欠!
・少なくとも不平等感のない生活にするために、父に家事分担してもらう、その説得方法は?

 

【topisyuの補足】

・父はブラックな職場で長時間労働を強いられている。平常時はそれほど問題がない人間だが、仕事のストレスがあると母に暴言を吐く

・母は独身の妹がおりいざとなったらその妹と生活することができるようだが、自分が稼いだお金はほとんど使ってしまっている

娘の立場で、理想の老後生活の選択肢に離婚を入れているというのはあまり良い家庭状態ではないんでしょうかね。夫婦のことは夫婦間で解決するものだとしても、一番近くにいる娘の立場として何かしたいという気持ちがあるのだと思います。

 

どうやって家事をさせるか

人を動かすのは簡単ではありませんが、何ができるか考えてみましょうか。まず、一般論として、(ハウスキーパーを雇うほどお金のない)家事をしない人が家事をしない理由はこんなところです。

①そもそも家事をする時間がない
②家事の必要性を感じていない
③家事のやり方を知らない

原因がこれであれば、この状況をどうしたら変化させられるか。

①そもそも家事をする時間がない
→1.家事ができるよう余裕を持たせる
→2.簡単な家事だけにかかわらせる
→3.手間のかからない家事道具を用意する

②家事の必要性を感じていない
→1.自分がしていないが家庭を維持するために誰かがやっている家事があることを明確に示す

③家事のやり方を知らない
→1.家事のやり方を教える

こんなところですね。それぞれもう少し細かく書いていきます。

 

①そもそも家事をする時間がない場合

日本人男性が家事をしないのは、①が大きなハードルになっているというのはよく言われる話なので、そういう意味では、相談者さんのお父様は定年退職すれば時間の余裕が出るでしょうから、そこからお父様が変わる可能性は十分にあると思います。一般論で見ても(下図)、40~50代の男性は家事をしないのが、定年退職する年齢になると増加しているのが分かるかと思います。

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※画像は平成23年生活基本調査P16から

 

今すぐ何かをさせたい、お母様のご負担を減らしたいということであれば、家事を省力化する方法を提案し、その省力化させた家事にお父様を関わらせるというのはありますね。

例えば、家事のうち一番手間がかかるのは料理関連ですから、冷凍食品を購入するようにしてその調理を任せてみる(電子レンジで温めるだけみたいなもの)、食洗機を導入し皿を入れてボタンを押すだけをやらせてみるとかですね。

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※画像は統計局ホームページ/平成13年社会生活基本調査結果(要約) 詳細行動分類による生活時間に関する結果から。ちょっと古いけど

掃除には好き嫌いが出ますから、他に自動化できて任せて問題がないものだと、洗濯機を洗濯乾燥機に変えて、衣類を入れて乾燥が終わったら出すところまでをやってもらうとか。

買い物も指定の商品の注文を生協でしてみたり、ネットスーパーで購入させてみたりとか、そういうところからスタートしてみる。

 

仮に、お父様がやらなくても、こうやって省力化された家事であればお母様の負担が減る可能性があります。でも、これをやるなら、相談者さんが働き始め、そのお金でそういう省力化家電製品を購入してあげるのがいい流れかな。

 

②家事の必要性を感じていない場合

独身暮らしの人が家事の必要性を感じていないのは、本人がどういう生活を送りたいかの判断ですから、誰かが何か言う話ではありません。

ただ、集団生活を維持するための家事について必要性を感じていない(自分がやらなくてもいい)と思っている人がいると、家庭内の他の人に負担が偏りますよね。

必要性を感じていない人は、誰かがやってくれているからいいというのもあるでしょうけど、その家事を行うことの意義や、その家事を誰かがすることへの負担を認識していない可能性があります。

やっている方からすれば「見てれば分かるでしょ!」と言いたくなるものの、それで済むほど事は簡単ではありません。  

この件の場合は、お母様がお父様に対してこれを丁寧に説明してあげるか、相談者さんが娘の立場で整理してそれをお父様に話してみるか、どちらかですね。 実家暮らしの相談者さんが後者をするのはどうかと思いますので、本来はお母様から働きかけるものだと思います。

 

③家事のやり方を知らない場合

男性の方が家事をやる機会が少なかったという話もよくありますよね。

その部分はないわけではなく、やらないのではなく、やれない可能性があります。やれない可能性があるなら、家事を一つ一つ丁寧に解きほぐしていきます。

以前、自閉症の子供のためのABAプログラムを紹介しましたが、大人が何かをするということでも同じ方法が採用できると思います。 

ざっくり言えば、作業工程を細分化しハードルを下げ、適度に褒めるみたいな感じですね。

やらせるときは、料理本を渡して「はい、どうぞ」ではなく、「今日は一緒に作ろうね!」「お父さんはメイン担当でよろしく」みたいに、こちらも一緒に動いてみるといいかもしれません。娘に一緒に家事をしようと言われると、お父さんとしてはついつい期待に応えたいという気持ちも出るかもしれませんしね。

 

締め

こういう両親を持つ子供は結構いると思います。今の50代以上の男性の中には家事能力がかなり低い人がいますからね。

この相談者さんのように子供の立場で何かをしようとするのは勇気がいるけれど、子供に言われると親としては弱いというのはあります。

親が子供の言うことなら聞く可能性があるからといって、喧嘩したり、離婚の危機にある親を見てきた子供に、家庭崩壊を止めるような動きをしろというのは酷な話ですから、そういうことをお勧めしたいわけではありませんが、何かできることがあるのではないかと考えるのであれば、家事については今回紹介したようなロジックがあると思います。

今回の件は、問題となっているのは家事がお母様に偏っているだけではないと思いますけどね。お父様の労働時間を減らせる取り組みが何かできないかが最優先でしょうか。後は、夫婦間での意思疎通もあまり行われていなさそう。

そこまでいくと、相談者さんの立場ではできることは限られます。後で後悔するのも何ですし、今自分ができることを淡々としてみるといいのではないかと思います。

家庭内のことですから、やって問題になることはそれほど多くないですし、動いてみて、それから考えるというのもありですよね!

 

自分からは以上ですが、冒頭記載の通り、ぜひ読者の皆さんもコメントしてみてください。

 

追記

Twitterでこんなリプライを頂きました。

おとうちゃんさん、ありがとうございます!