斗比主閲子の姑日記

姑に子どもを預けられるまでの経緯を書くつもりでBlogを初めたら、解説記事ばかりになっていました。ハンドルネーム・トップ画像は友人から頂いたものです。※一般向けの内容ではありません。

「仕事のストレスで痛風と偏頭痛に悩む夫が退職を決意。実家に戻る気らしい!」

今週は読者のモヤモヤを紹介します。初日は、未就学児を持つ専業主婦のMegumiさんによる夫の退職と実家・義実家の同居に関するモヤモヤです。 

 

夫婦・パートナー関係 (対人関係療法で改善する)

夫婦・パートナー関係 (対人関係療法で改善する)

  • 作者: 水島広子
  • 出版社/メーカー: 創元社
  • 発売日: 2011/12/22
  • メディア: 単行本
 

※二人で読もう!水島広子さんの夫婦・パートナー関係の改善本!!

 

 

Q1. 夫が仕事を辞めたいと言い出しました(同居問題)

斗比主閲子様 はじめまして。

いつもブログを楽しく読ませて頂いております。

表題どおり、夫の相談をしたくメール差し上げました。 モヤモヤになるのかどうか分かりませんが、自分の中で いろいろな問題が絡み合っていい解決策が思いつきません。ご相談に乗って頂ければ幸いです。

 

相談

夫が仕事を辞めたいと言っております。 現在仙台在住で、私は辞めることはいろいろな理由から賛成し、辞めるなら私の方の愛知の実家へ とりあえず同居させてもらおうと約束しておりました。

彼の主張は「すぐ辞めたい。今まで辞めた人間も辞意を伝えてからすぐ辞めた者が多いから大丈夫だ。もう無理だ。(実家のある)青森に戻りたい」というものです。青森には夫の母が一人で住んでおります。 私は絶対に青森に行きたくなく、経済的基盤がしっかりするまでは実家に戻りたいです。 どうしたら彼を説得できるでしょうか。

現在夫は40歳、大学を卒業してから今の会社に入りずっと働き続けており、人並みに昇進しましたが、特筆すべき資格などは持っておりません。夜は遅く、平均して8時に出社し12時頃に帰ってきます。上司にも恵まれていないようで、人員は常に足りないようです。土曜も出勤が時々あり、仕事を持ち帰ることもしばしばです。 食生活も良くなく、ストレスと乱れた時間帯の一定でない食事の為、体重が増えました。さらに痛風と片頭痛持ちで、どちらもストレスがかなりの原因となっていると思われます。

このような状態の為、また、私の希望として、これから先東北地方以外で子育てをしたい為に (未就学児の娘が一人おります、大変申し訳ありませんが被曝のリスクを下げたい為です) 、彼の転職に関しては次の仕事のあてが特にない状態ですが賛成しております。

現在賃貸で住んでおり、ローン等もなく親類縁者も近辺には住んでおりません。 私は42歳で昨年より時間の短い事務パートで働いております。出産前まで正社員で働いておりましたが、 専門的なものではなく履歴書に書ける程度の事務関連資格しか持っておりません。

夫が転職した場合に、仕事を比較的探すのが容易なこと、私もフルで働く為の環境を整えたいこと、娘の環境の変化への負担を減らすこと、 また金銭的に助かることから実家の側に住むことを希望しました。

彼は一旦は納得しましたが、今になって青森に戻りたいと言い出しました。

 

モヤモヤ

以下は、モヤモヤしている部分です。 

  • 私も彼も再就職が容易な資格や経験などがないことから、職のない青森は厳しい。夫の母は子育てを手伝う気持ちは内容で、結局私はフルでは働けなくなる。まず職、金銭的事情を優先すべきでないのか
  • そもそも帰りたいと言っても夫は(話を聞く限り)友達もいないし、親類はいるが同年代の仲のいい人はいないらしい
  • 夫の母は同居経験がなく、子供も男ばかりでやや女性らしい気づかいに欠けるところがある(例:乳がんの人がいる場で皆で温泉に行こうと言い出す)ため、 同居や近居は避けたい。私は実家の母と祖母や親戚の嫁姑問題を見てきたため、絶対に義理の母との同居は避けたい
  • 夫は私が夫の母に対して不満や嫌味を言われたことなどを述べても、「母さんは悪気はない」「俺は中立を守る」と言い、 またお盆の義実家への帰省の時に不満が爆発して夫に話をした時には「母さんとお前が直接話をしろ」と言い実際に話をさせられたことからしても、うまく間をとりもってくれそうにない
  • そもそも私の仕事も娘の幼稚園もいきなりは辞められないし、辞めるならもう少し計画的に動いてもらえないと困る (それだけ心情的にきついのかもしれませんが、これから無職になるなら経済的に少しでも有利に動いてほしい)

多分全員が納得できるのは、職を別の遠方のところに見つけ、誰とも同居せずに暮らすことだと思うのですが、 今の職場で働きながら夫の転職先を私も協力して探してみましたが、金銭的・時間的なこともあり断念しました。

当面だけでも私の実家に戻るのを了承してもらうには、どうしたら良いでしょうか。私が夫の母と同居するのが嫌なように、夫も同居したくないこと、 また私は実家にならバックアップをお願いしやすいですが、夫はプライドがあるのも分かるのですが……。

 

他に必要な事などあればいつでもご連絡下さい。長文になってしまい、また拙い文章で大変申し訳ございませんが、アドバイス頂ければ大変助かります。耳の痛いご提案でも結構です。 よろしくお願い致します。 

Megumi

 

A1. 確認したいことがあります

Megumiさん

メールありがとうございます! いくつか確認させてください。

  1. 旦那さんが仕事を辞めたいと言い始めたのはいつからか
  2. 旦那さんは仕事のストレスで心因性の疾患(例えばうつ病)などになっているか、健康診断で問題は出ているか
  3. 旦那さんはなぜ青森に戻りたいのか
  4. 被爆のリスクを減らすために愛知ということですが、2011年以降に転居をしようとはしましたか。これまで被爆リスクについては旦那さんは何と言われているか
  5. ご実家のご両親には、ご実家で同居する可能性については伝えているか。伝えているなら反応はどうか
  6. この件について相談している人はいるか

こんなところは知りたいですね。

topisyu

 

Q2. 同居はしなくてよくなりました!

topisyu様

お忙しいところ、大変素早い返信をありがとうございます。

実は動きがありまして、本日メールで「では皆で愛知に行きましょう。来週月曜にでも上司に伝えます」と夫が伝えてきました。

(昨日、「青森への転居は私が辛いです」と私が送ったメールを受けてです。)

ただ、まだ気になることがあります。 

  • 夫が辞める時期以外は私の希望通りなのですが、このまま進めて良いのか不安です。金銭的事情が許せば、すぐに夫を辞めさせたい気持ちもありますが、数か月の仙台での無収入とそこから先の愛知での無収入期間を思うと躊躇も致します。
  • また、実は明日夜より全くの別件で私の父が数日滞在することになっているのですが、何か父に頼んだ方が良いことなどありますでしょうか。父はこの件に関しては、自分からは話題にしないと言っておりました。
  • また、このまま本当に愛知に転居するなら、夫の母にはどの様に話を進めたら効果的(なるべく機嫌を損ねず許しを得られる)と思われますか。次の連休に親類の法事で青森へ行きますので、その時に夫の母・夫の妹と会うことはできます。電話等も時々しています。
  • また、転居の時期について、一番娘に負担がないのはやはり学年が変わる区切りでしょうか。

夫から心変わりのメールがあった為お聞きしたいことが変わり、思いつくままにtopisyu様に聞きたいことを書いてしまいましたが、少しでもお答えいただければ幸いです。またtopisyu様も思うところがあれば何でも記載頂ければ大変助かります。

以下は、頂いたご質問に答えましたものです。

 

1. 旦那さんが仕事を辞めたいと言い始めたのはいつからか

数年前から辞めたいと言い、自分で「環境が良くなりそうだから」と撤回することが何度かありました。今回の件でいうと、先月頃人が辞めたのもあって、今月始めから「すぐにでも辞めたい」と言っていました。

 

2. 旦那さんは仕事のストレスで心因性の疾患(例えばうつ病)などになっているか、健康診断で問題は出ているか

お医者様にはかかっていないので何とも言えませんが、健康診断での問題は高血圧と痛風と片頭痛で、精神的な方面には問題は今まで出ておらず、食欲がなく元気もありませんが、今のところ日常生活に支障は出ておりません。過去に心因性の疾患と診断を受けたこともありません。

 

3. 旦那さんはなぜ青森に戻りたいのか

母の側にいてやりたいというところでしょうか。

夫の母は生活は何でも自分でできますが、お盆などに帰省するとやはり力仕事やPC・電子機器関連のことを夫や夫の妹に頼んでいます。また、一人暮らしが淋しいようなことをたまに会話に挟んできます。

余談ですが、今は故人である義理の父の退職後、それまで20年以上暮らしてきた仙台から青森に夫婦だけで移ることを決め、さらに夫は止めたのに家まで購入しました。既に大病を得ていた義理の父が早くに亡くなるのは分かっていたことでもありますので、ご自分で決めた一人暮らしであり、心情的には寂しいのは良く分かりますが、私からしたら毎夏必ず帰省するだけでも有り難いと思ってほしいのです。夫の妹のことは兄妹仲が希薄であり、また頼りない感じの人の為、夫としては母を守るあてにはしていないというか、眼中にないと思います(義妹は義母と離れて暮らしていますが精神的には義母曰く義母の付属品であり、義母にべったりの人です)。夫は家やお墓を守るという意識は親族トラブルがあったため薄いと思います。後は、幼少の幸せな頃を過ごしたため良い印象があり、土地になじみ深いのだと思います。

 

4. 被爆のリスクを減らすために愛知県ということですが、2011年以降に転居をしようとはしましたか。これまで被爆リスクについては旦那さんは何と言われているか

東日本大震災後、私から夫に転居と転職を勧めました。その時はまだ今の会社に未練があった夫がいまいち乗り気でなかったことと、いい転職先を見つけられなかったために断念しています。その後も小学校前には転居したいと何度か自分の希望は伝えています。

夫は、「仙台から転居してまでリスクを避ける必要があるとは何となく思えないが、自分でこの問題について調べる時間もないので、日々の生活についてはMegumiの希望を尊重する」という感じです(例えば、外食ではなるべく魚を避ける等してくれています)。特に子供の被曝の事については、ほぼ100%私の言ったことを守ってくれています。

 

5. ご実家のご両親には、ご実家で同居する可能性については伝えているか。伝えているなら反応はどうか

伝えています。部屋は余っているのだから来ればよいとの返事でした。孫が可愛いので喜んでいる様子ですが、同居するにあたっての問題もやや気がかりなようです(気を遣う、食事等の問題などを上げ、ずっと一緒に住むのであればキッチンは別にしたいと言われたことがあります)。

親には夫が渋っていることも伝えました。その時は婿に入るのは嫁姑みたいなもので問題が出てくるパターンが多いとも言っていました。

 

6. この件について相談している人はいるか

実家の両親のみです。(被曝リスクのために)転居したいがなかなか出来ないという程度のことであれば、以前より父の親友にも話しています。

 

以上、宜しくお願い致します。

Megumi

 

A2. よかったですね!

Megumiさん

返信ありがとうございます。大体把握しました。

色々悩みが耐えないようですが、まずはおめでとうございます! 元々は旦那さんが青森の実家に住みたいと言っていたことについて、どうしたらいいかというお話だったわけですから、一つお悩みはクリアーされたということですよね。では、残る悩みについて一つ一つ解決手段を考えていきましょうか。

 

夫が辞める時期以外は私の希望通りなのですが、このまま進めて良いのか不安です。金銭的事情が許せば、すぐに夫を辞めさせたい気持ちもありますが、数か月の仙台での無収入とそこから先の愛知での無収入期間を思うと躊躇も致します。

これについては悩まれて当然ですね。お二人とも手に職がないわけですから、仮に愛知県に引っ越してもどうなるかと。

ただ、旦那さんが退職後も、このまま仙台に住み続けたとしてもこの悩みは解決しませんよね。結局、Megumiさんは仙台に住み続けたくないわけですし、旦那さんもこのまま今の職場で働き続けるのが肉体的にはキツイわけですから、遅かれ早かれ愛知に移住するということになりそう。

では、愛知に行くということが大前提として、行った後の経済的な問題をどう解決するか。方法は3つです。

  • 仙台にいる間に旦那さんの愛知での転職先を見つける
  • 愛知で、お子さんの世話は可能な限り両親に見てもらい、Megumiさんも働く
  • 愛知で、お子さんの世話は可能な限り両親に見てもらい、可能な限りご両親に支援してもらう

決断を引き延ばす事情があるとすれば、すでに難しいと判断されている1の転職活動をどこまでやるかです。個人的には、仕事を可能な限りセーブして、仙台で、愛知での転職先の目星をつけるのが理想的だとは思います。やはり、退職した人間と退職していない人間であれば、退職していない人間のほうが転職上交渉を有利に進められますから。

ただ、今はまだ愛知は日本の中でかなり景気は良いほうで、行って何とかなる世界かもしれません。こればっかりは無責任に申し上げられません。何かコネがあるといいんですが。

 

また、実は明日夜より全くの別件で私の父が数日滞在することになっているのですが、何か父に頼んだ方が良いことなどありますでしょうか。

特にありません。強いて言えば、愛知で同居するにあたって、何か気をつけたほうがいいことがあるか、旦那さんとお父さんの間で同居の話を出しておくといいですね。ただ、男の人同士だと話が盛り上がらない(進まない)ので、Megumiさんが上手く主導する必要があります。これは実家に同居する上での実子の役割と同じです。

 

また、このまま本当に愛知に転居するなら、夫の母にはどの様に話を進めたら効果的(なるべく機嫌を損ねず許しを得られる)と思われますか。次の連休に親類の法事で青森へ行きますので、その時に夫の母・夫の妹と会うことはできます。電話等も時々しています。

大原則として、お姑さんには旦那さんから話をすることですね。ただ、気をつけたいのはMegumiさんの入れ知恵があって愛知住まいになったと思わせないようにしたい。

Megumiさんのほうが年上で、やり取りからも旦那さんには幼さが感じられるため、お姑さんにはただでさえ姉さん女房だと思われている可能性があるでしょうから、ここで愛知行きが決定するとお姑さんとしてはMegumiさんが仕切ったと思われることでしょう。こうなると不審を買います。

旦那さんが自身で愛知で暮らしたほうがいいと思ったから愛知に住むことにしたと、
お姑さんが納得できるように旦那さんから話してもらう必要がありますね。

 

また、転居の時期について、一番娘に負担がないのはやはり学年が変わる区切りでしょうか。

それはそうですね。もしくは学期の区切りもありだとは思います。


ではでは!

topisyu

 

締め

色々悩みが絶えない感じの相談でした。お疲れ様です。

 

一番の悩みは「夫が夫の実家に帰りたいと言っているがそれは困る」ということで、これ自体は早々と解決しています。これは相談者であるMegumiさんとしてはいいことだと思うんですけど、意思決定というのは、適切なプロセスと、意思決定権者の納得感がなければ簡単に覆されるものでもあります。仕事でも家庭でも同じで。

個人的には「やっぱり青森、ムリ」「うん、分かった」というメールのやり取りでの決定というのは、若干危ういところがあるかなとは思います。前から仕事が辛いと言っていたのに転職できないでいたということもある。本人の納得感をいかに醸成していくかというのは、誰かに何かをしてもらうときに手を抜けないプロセスですね。

 

ちょっと話を広げていくと、夫婦としてどうやってお互い譲り合っていくのかというところにも繋がるとは思います。これは、夫婦の力関係や趣味嗜好に合わせて、各家庭で独自のノウハウを築くもの。

Megumiさんの旦那さんは若干幼い印象を受けます。「母さんは悪気はない」「俺は中立を守る」「母さんとお前が直接話をしろ」というところはコテコテですよね。ただ、夫婦でいる限りは、この旦那さんの性質も加味して、譲り合い方法を確立することになる。また、実際に、Megumiさんの実家に済むことになれば、Megumiさんも実の両親と旦那さんの中立になるのではなく、旦那さんを守ることを求められる。でないと安心して一緒に住めない。

譲りあい方法の確立は一朝一夕にできることではないですけど、悩みを一人で抱え続けるのではなく、夫婦で分かち合おうと思えば意識することだと思います。

 

こんなところでしょうか。

 

なお、被爆のリスク云々についてはブログに掲載する上で削除をすることも検討しました。ただ、実際の被爆のリスクはまずないとしても、Megumiさんの意識の中では不安があります。娘の被爆を懸念しているという記述を削除をするということは、その意識をなかったものにしてしまうとも考えられる。また、Megumiさんが仙台から愛知にどうしても引っ越したい必然性が理解できるための材料が一つなくなることになる。ということで、個人の特定を防ぐフェイクを入れたり、不要な部分は削除しているものの、この部分についてはあえて残して掲載しています。

 

モヤモヤがある人へ

同じようなものに限らず、大抵のモヤモヤは美味しく頂きますので、気軽にetsuko.topisyu@gmail.comまでメールください。

なお、モヤモヤを送られる際は、

  1. 傾聴、叱咤、背中を押す、ロジカルなアドバイスのどれを求めているか
  2. モヤモヤは(特定を防ぐフェイクを入れるという前提で)ブログに掲載してよいか
  3. topisyuの存在を何で知ったか
  4. 今後どんなことをブログや本で書いたらいいか

を書いていただくようお願いします。特に2への回答は重要!モヤモヤは自分だけで楽しむのがもったいないので、ぜひ読者のみなさんともシェアしたいという考えから確認しています。もちろん、Noでも大丈夫。

私の回答自体に興味を持たれた方は、昨年発売した電子書籍をどうぞ。

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