斗比主閲子の姑日記

姑に子どもを預けられるまでの経緯を書くつもりでBlogを初めたら、解説記事ばかりになっていました。ハンドルネーム・トップ画像は友人から頂いたものです。※一般向けの内容ではありません。

成り手のいなかったPTA本部役員に立候補したのが運の尽き。ホステス扱いされ、派閥争いに巻き込まれる

前回のPTAの記事(以下のリンク)を受け、怨念のこもったPTAエピソードを頂きましたので紹介します。

なお、上の記事については『PTAをけっこうラクにたのしくする本』の著者である大塚玲子さんの目にも触れたり、

PTA再活用論』の川端裕人さんにも届いたようです。

ほんと、もう何度も何度も繰り返し起きていることなんですよね。

PTA再活用論―悩ましき現実を超えて (中公新書ラクレ)
 ※こちらの本についても今後触れます。

 

私のPTA履歴

今回エピソードを送られた方は、

  • 40代女性、子供2人
  • 3年前本部役員、昨年ヒラの役員、今年ヒラの役員を経験

と3年連続してPTA活動に関わられたそうです。以下、ご本人の言葉そのままエピソードを掲載しています。(topisuの体験談ではありません。一部改行等を加えています。)

念のため補足しておきますと、ここでのPTA本部役員とは、PTAの会長、副会長、書記、会計クラスのことであり、ヒラの役員とは、本部役員の下部組織の委員のこととご理解ください。

 

本部役員時代

学校に二人の子どもがお世話になっているので、役員決めの沈黙に耐えきれず誰もやりたがらないなら恩返しに、と手を挙げたのが運の尽き。

書類仕事は得意だが、毎月のグダグダの定例会合への出席には辟易。学期に1~2回、地域の偉いさんや議員との会合があり、その際にホステス扱いされる(こんなオバハンでも偉いジイサンたちにとっては「若い女の子」である)。

役員内にも派閥がいくつかあり、そういうのが面倒くさいので中立を保っていたつもりが、全ての派閥からいつの間にか「敵側の人間」とみなされていた。1年間、グチャグチャの役員室の書類の整理やデータの整理などをして自分ではそれなりに貢献したつもりではいたが、「役員やったおかげでお友だちが増えた♪」なんてことは全くなく、逆に「仕事ができるのを鼻にかけている女」という肩書を手に入れただけで終わった

 

<PTAとしての活動時間>

  • 定例会議 月2回×2~3時間
  • 地域の偉い人との会合 年間5回(夜3時間程度の飲み会)
  • 細々とした自宅での事務作業 月当たり3~5時間
  • 運動会や音楽会などの行事の度に企画運営後片付け 行事の前後当日合計3日間×3時間程度

⇛トータルでの活動時間は合計約150時間超/年

 

 

ヒラの役員1年目

本部役員は仕事量が多く大変だったが、ヒラ役員は別の意味で大変だった。学級新聞を作るだけで毎週のように放課後にお菓子を持ち寄って集合し、そのくせ噂話ばかりが弾み、仕事はすすまない。

学級新聞の取材で子どもたちの校外学習に付き添ったことがあったが、「みなさん、撮った写真を現像して集まりましょう」という話になった。私の「データで持ち寄れば?」という提案の意味は周りには理解してもらえず、みんなどうでもいい写真(工場のラインの風景)を30枚ずつくらい現像して持ち寄る。

結局現像した写真を私一人が夜中にスキャナにかけてデータ化し、学級新聞用にサイズを変えて印刷し、それを白い紙に貼って学級新聞を作るというアナログな作業をさせられる。「○○さんはパソコンができてすごいわね!」というお褒めの言葉wをいただく

というようなことで1年が過ぎ、へとへとになる。

 

<PTAとしての活動時間>

  1. 定例会議 月1回×2~3時間
  2. よくわからない集まり(新聞作り等の名目の実質茶話会 ) 月2~3回×5時間
  3. 行事の度にお手伝い各1時間程度

⇛トータルでの活動時間は合計約150時間超/年

 

 

ヒラの役員2年目

役員内に「PTAが嫌でたまらないのにクジで当たってしまった人」が一人入る。

私はこの年、本部役員からヒラ役員に連絡事項を回す係にあたったのだが、この人が「メールを受信するのにお金がかかるからメールを送ってくるな」と宣言。この人にだけ毎回電話をする羽目になる。

加えて、土日祝日に開催される学校とはまったく関係ないスポーツ大会や講演会・コンサート等のボランティア会場係を集めるのも仕事だったのだが、親はまず誰も応募しない。(土日祝で子どもが家にいるから)

だから、毎回役員だけで休日の朝早くからボランティアに行く。研修も何もなく、「スタッフ」という釣り名札をさげて会場に放り込まれる地獄。

スポーツ大会などに来ている人は私たちをアルバイトスタッフだと思っているから少しでももたつくと舌打ちしたりしているが、私たちは休日に子どもを家においてボランティアさせられている可哀そうなPTAスタッフなのだ。

 

締め

以上が頂いたエピソードです。怨念がこもっていますね。

 

前回はPTA役員の強制と、PTA脱退の拒否について触れました。今回は、実際のPTA役員の仕事の紹介になるわけですが、一部のPTA活動の非効率さ、理不尽さが現れた非常に良い(悪い)例だと思います。

まずは、PTA本部役員が関わらせられる地域の偉い人間との宴席。次に、PTA本部役員内での派閥争い。そして、非効率な仕事のやり方。最後に、強制的なボランティア活動。

これらに全て巻き込まれるかどうかは、地域特性とそのPTAの成り立ちからそれぞれではありますが、どれもあるあるだと思います。

 

エピソードを頂いた方からは他にも、

真面目なところでは、

1 少しでもPTA改革できればと思い、父子家庭の父は役員免除されているが母子家庭の母は免除されないという規定を変え、母子家庭も父子家庭も両方免除されるようにしようと働きかけましたが、「母子家庭だった○○さんはできたから」「そんなことをしたらクジに当たる確率が増える」という理由で却下された

2 メール連絡網を苦労の末導入したものの、次の年にIT化に理解のあった先生が異動になり、まったく利用されなくなって終わった

ということがありました。

どれもこれも「二度と役員なんかやるかボケ!」と思わせるのに十分なエピソードでした。

こんな話もありました。

このような非効率だから効率的にしよう、アンフェアだからフェアにしようという行動は、

  • とっつきにくい
  • 自分たちの負担が増える
  • 前例がない

という理由で簡単に取り下げられたり、継続しなかったりするんですよね。

 

これまでのやり方がいかに非効率であっても、それだけ時間をかけてきた人が過去にはいたわけで、人間、時間をかけたものには思いも込めてしまいがちです。その人達からするとこれまでのやり方を変えることは、自分たちを否定されたと思ってしまうところがあるんですよね。

これは日本企業での業務改善をしようとしても同じようなことが言えます。Excelのマクロを組めばすぐにできることでも、その作業だけしてきた社員から難癖がつけられる。不採算事業から撤退しようとしても、OBからの反対がある。結局、内部の人間では断行できないので、無駄に外部のコンサルを雇ったり、黒船(外国人)に期待する。(もしくは、会社が潰れるまで待つ。)

昨今のPTA改革の事例で男性が登場することが多いのは、PTAでも同じような構図(男性はPTAにおいては外部、黒船だった)があるのではないでしょうか。派閥を意識しない突破力を持った人。嫉妬の対象にならない人。

 

外部としましたが、昔からPTA会長にお飾りとして男性が据えられるというのはよくあることでした。それが、共働き化が進み、家事育児に関わるように、積極的にPTA活動にも関与する男性が増加してきた。自分は、これが、PTAの変化の重要な鍵になると考えています。