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斗比主閲子の姑日記

姑に子どもを預けられるまでの経緯を書くつもりでBlogを初めたら、解説記事ばかりになっていました。ハンドルネーム・トップ画像は友人から頂いたものです。※一般向けの内容ではありません。

このへんな労働慣行(既婚で住宅ローンを背負った社員を地方の工場に転勤させる)は、まだ日本にあるのです。たぶん

この記事を読んで思い出したことです。

男性の育休申請「お前のガキなんか1円にもならない」会社が転勤命令【パタハラ・上】 - 弁護士ドットコム

私は仕事をしていて、自社がいかにブラックな環境であるかを喧伝するする人々に出会ってきましたが、その中で「これはワーストだ」と思ったのは、『既婚で家を買うと必ず転勤の伴う地方の工場勤務の辞令が出るという会社』でした。

Factory

※画像はイメージ。ちなみに大企業です。

 

地方の工場勤務が問題があるというわけではありません。転勤のきっかけが、結婚している人間が家を買うというのが問題だという話です。

 

昔の日本の会社には、結婚して子どもがいて初めて一人前、仕事で管理職に就けるという労働慣行がありました。当時はこの労働慣行に対して批判的なコメントはなかったと思います。しかし、結婚をしない人や、子どもがいない人にとっては、望ましいものではなかったでしょう。ちなみに、言わずもがなですが、この労働慣行が当てはめられていたのは男性限定です。女性は寿退社するもの。

今では、女性でも管理職に就けるようになっていますし、男性でも結婚や子どもがいることが管理職の条件ということは非常に少なくなっていると思います。社会がいい意味で変わったということもあるでしょう。私は偉い人の中での離婚経験者が増えたのが大きいと踏んでますが。

世の中が変わりつつある中で、それでもまだ、家庭に犠牲を強いる労働慣行は日本にまだ当たり前のように存在しています。私が見聞きした、その一つの実例が『既婚で家を買うと必ず地方の工場勤務の辞令が出る会社』です。

 

具体的に書きます。

 

その会社では本社の人が地方の工場勤務は将来の出世や会社の中で評価を得るには必須のプロセスだそうです。どんな人が地方の工場勤務を言い渡されるかというと、結婚していて最近家を買った人。

最初話を聞いて、ロジックがよく分からなかったので、「なぜ結婚していて、家まで持っている人に、わざわざ転勤させて、地方の工場勤務をさせるんですか? 工場勤務はまだしも、転勤させたら本人のモチベーションに響くのでは?」と会社の人に聞いてみました。

回答は、「結婚をしたということは家族のために働くということですよね? 家を買ったということは住宅ローンを背負っているということ。そんな社員なら、ローンを返すために地方の工場勤務も断れないでしょ。製造業にとって工場は事業のコアです。転勤をさせることで会社への忠誠心を確認しているんですよ(笑)」というものでした。

その場にいた、会社の中でそれなりのポジションの人たちは、全員その体験を経て、今ここにいるということで、「うんうん」とその説明を頷きながら聞いていました。ちなみに全員男性。

 

冒頭で紹介した記事では、社員が家庭のために休むことや家庭を大事にすることを否定的に扱う会社・上司が登場しています。家庭と仕事の優先関係について、私は、『既婚で家を買うと必ず地方の工場勤務の辞令が出る会社』の社員には聞きませんでしたが、どんな返答が来るのは容易に想像がつきます。

ここまで酷くはないものの、本人の意思を事前に聞かずに国内外の転勤の辞令を出す会社は今でも数多くあります。最近は夫婦共働きが当たり前ですから、転勤となると単身赴任や夫婦のもう一方が仕事を辞めざるを得ない状況になります。

 

社員のほうが辞令を断ることで社会が変わる部分はあるでしょう。ただ、個人で組織に対抗するのには限界がある。私は、そんな労働慣行が当たり前ではないように、会社が変わって欲しいと考えています。