斗比主閲子の姑日記

姑に子どもを預けられるまでの経緯を書くつもりでBlogを初めたら、解説記事ばかりになっていました。ハンドルネーム・トップ画像は友人から頂いたものです。※一般向けの内容ではありません。

「言い訳をしないからハリルホジッチ監督とコミュニケーションが上手く行かなかった?」「日本人の言い訳をしない風潮をどう思う?」

今日は時事ネタが絡んだ一人小町です。

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Q.言い訳は良くないという日本の風潮についてどう思われますか?

こちらの記事を読んだ時も思うことがありました。

ハリルホジッチを激怒させた要因は、田嶋会長の”コミュニケーション”(清水英斗) - 個人 - Yahoo!ニュース

日本人は言い訳を恥ずかしい、すべきでないと考えているので、ハリルホリッジ監督とのコミュニケーションが上手くいかない、という内容です。

私も仕事で叱責された時なんかに、こちらに非はないと思っても言い訳せずとりあえず謝ります。言い訳はかっこ悪いと思ってしまうし、でも言い訳せずとも相手が「ほんとは自分が悪くない」と気付いてくれることを願っています(別に気付いてくれなくても平気ですが)。同僚も「それ自分全然悪くないやん」ということで謝っているところをよく見かけます。

漫画や小説、ドラマでも、“言い訳をしないA”と“それに気付かないB”が揉める→真相に気付いたBがAに謝るという展開は多いと思います(読者や視聴者はB気付いて~!と願い、その後Bが気付くととても嬉しい)。日本人の言い訳=悪という文化は結構根深いものがあると感じています。

言い訳は良くないという日本の風潮についてどう思われますか?

一読者より

A.個人を責め、システムの悪い部分を残すと考えています。

「言い訳は良くない」という日本の風潮(という文化)については、物の考え方をある程度共有できているなら有効ですよね。一方で、物の考え方を共有していないとお互いに害になることが多々あると考えています。

もう少し詳しく書きます。

「言い訳をしない」ということは、自分がしでかしたことの理由を説明しないということですよね。理由がなければなぜ間違いが起きたのかは聞き手は不明なまま。同じことがもう一度起きるかもしれないし、自分が被害に遭った説明が得られず消化不良になることも。

そんなわけで、普通に考えれば理由を説明してほしいところですが、理由を説明されなくても納得する人は結構います。とにかく謝られれば納得するのは、問題の責任が個人にあると考えていることが背景にあると私は考えています。

遅刻をしたのは、遅刻をせざるを得なかった状況があったからではなく、遅刻をした本人に問題があると考えている。犯罪を起こした事情は考慮せず、本人が問題だから犯罪を起こすと考える。

問題の原因が個人の性質にあるとすれば、問題が解決するのは個人の自助努力によるものです。自助努力ができる人がたくさんいるのであれば、問題は再度は起きないかもしれません。でも、努力の方向性が違ったり、自助努力ができないorしたいと思わなかったりすれば、問題は再発します。

だから、私は「言い訳をせず謝れば済む」状況は、自助努力ができない人にとって厳しい環境だと考えています。問題を解決し続けられる人だけが気持ちよく生きられる環境。自助努力が出来ない人をキックアウトする環境。そして、システムの改善はなされない環境。

仮に、職場で部下が時間どおりに作業を終えられないことが多いとしたら、私はその部下を「だらしない。次はちゃんとしてね」とは怒りません。「作業の分量に問題があったのではないか」「不明点があって引っかかったのではないか」「作業を時間どおりにする認識がなかったのではないか」といった推測をして、背景を確認していきます。

紹介いただいた記事の中で、田嶋さんという人が、

事実として契約を解除するということを伝え、もちろん選手とのコミュニケーションが足りないというのはお伝えしましたが、実際には総合的ないくつかのことがあるのは事実ですけども、辞めていただく方を傷つけるというよりは、私たちはそこでしっかりと、もう線を引いたということをお伝えすることが大事だと思い、今のようなことを伝えました

と、「理由を説明したら相手を傷つけることになる」と考えるのは、問題が起きた理由は、本人に問題があったからと考えているからですよね。理由の説明は本人がダメだということを指摘することになると考えている。戦略とか戦術とかではなく。これってよっぽど失礼なことだけど、言っている本人は、それがそうとは気付いていないんですよね。

異文化圏の人とこういうディスコミュニケーションを起こさないということだけではなく、同じ日本人でも自分で自分の問題を勝手に解決できる人は必ずしも多いわけじゃないんだから、理由を説明し、説明を聞いたら納得し、個人の努力じゃなくて、システムで解決するようにしたほうが、能力を発揮できる人は多くなるんじゃないかと私は考えています。