先日、この記事の中で、
「息子には少年ジャンプは読ませない」という親の中には「私には性教育の正しいフォローができない」という不安がある人がいると思う - 斗比主閲子の姑日記
要は、子どもから"不快な"表現を排除したい親の中には、その表現のフォローしきれないと思っている人がいるということを言いたくて。不安な親はいるんですよね。
こんなことを書いたので、せっかくだから、
- 子どもは何から性知識を得ているか
- 公教育としてどう教えているか
- 親ができることに何があるか
を勉強してます。今回の記事では、子どもの性知識の情報源について紹介します。
高校生のセックス情報源
子どもの性行動は、日本性教育協会が『青少年の性行動全国調査』として1974年から調査を行っています。
日本性教育協会 | 研究事業について | 第7回青少年の性行動調査
ほぼ6年間隔で行われており、直近が2011年なので、そろそろ2017年の最新版が紹介されそうです。楽しみ。
それはそれとして、2011年の調査での、高校生の性交情報源は次のようになっています。
※グラフは現代性教育研究ジャーナル(No.28)(日本性教育協会)
ご覧の通り、セックスの情報源は、友人・先輩がもっとも多くなっています。それ以外の情報源は男女で違いがあり、男子は女子に比べて、インターネット、ポルノ雑誌、AVから情報を入手していることが多いようです。
女子の場合は付き合っている人から情報を得ることが少し多いですね。男女の交際年齢で見れば、男子は年下と、女子は年上と交際する子どもが多いことから、こうなるのは納得できます。
ちなみに2005年の調査と比較すると、インターネットが男女ともに情報源として伸びていることが確認できます。次の調査では恐らくもっと伸びていることでしょう。
避妊の情報源は学校
次が、避妊の情報源です。
※グラフの出所は同上
こちらは学校からの情報が突出しています。次点が友人・先輩で、それ以外のメディアが情報源になることは多くはないようです。
どちらの調査結果からも、親・きょうだいが情報源になっていないのが分かりますね。親が何らかの性教育をしているのにこのような結果になっているのか(子どもが「あーあー、聞こえない!」と言ってるとかね)、または、親が性教育をしていないからこういう結果になっているのか、背景はこの調査だけでは確認できません。
ただ、親が情報源になっていないのは事実なので、学校での性教育は何をやっているのか、ネットやAVやマンガ等で子どもがどのような知識を得ているのかを親は気にするでしょうね。(マンガにも登場する)男子高校生の部屋を勝手に漁る母親が、現実に登場することになる。
セックスを経験すると情報源が変わる
このグラフの出所である現代性教育研究ジャーナル(No.28)では、こんなことにも触れています。
性交経験をもつようになると、男子は性交情報を「AV」へ、避妊情報を「友人・先輩」「インターネット」へ、女子は性交・避妊の情報源として「学校」に代わって「友人・先輩」か「付き合っている人」を頼るようになる、ということがうかがえます。
セックス経験の有無で情報源が大きく変わるということです。性交情報源が変わるのは理解しやすいですが、避妊の情報源も変わるのは興味深いところです。
「性教育をすると子どもがセックスをするようになるから学校で性教育をしてはいけない」という人がいます。しかし、実際にセックスをした子どもにとっては、学校での性教育の位置付けが相対的に下がっています。
セックス未経験の子どもへのフォローも大切ですけど、経験している子どものフォローも大切です。その違いを意識して、何をどう伝えると伝わるかを考えたほうがいいんでしょうね。
締め
一概に性教育と言っても、年齢によって得る情報は変わります。少なくとも高校生にとっては親は情報源にはなっていないようです。
そして子どもの情報源は多様です。親が目に入れるものを制限するのには限界がある。時代が変わればチェックするところも変わります。
今の時代での性教育をどう考えるといいか、もう少し、勉強してみます。