斗比主閲子の姑日記

姑に子どもを預けられるまでの経緯を書くつもりでBlogを初めたら、解説記事ばかりになっていました。ハンドルネーム・トップ画像は友人から頂いたものです。※一般向けの内容ではありません。

ある事件の加害者の思考は他人事であり、自分の問題として向き合うなんてことはしません

どうやら大事件が起こったみたいで、色んな分析がされていて、「事件の加害者の思考を咀嚼して、他人事ではなく自分の問題として向き合う必要がある」みたいなことを言ってる人もいるみたいです。

そういう風にしたい人がいるのは否定しませんが、自分はこういう事件があると、その後の報道は極力目に入らないようにして、入ってきても脳内からカットします。他人事とします。

 

こういうことをしている理由の一つは、センセーショナルな事件は、新聞や雑誌やテレビなどの媒体を通して脚色されるので、正確な情報が得られない、得るのが大変だと考えているのがあります。メディアごとに勝手な物語が濫造されがちなので、そんなのにいちいち振り回されるのは嫌です。

 

また、どんな事件も、日本で日々発生している多くの事件の一つであり、その一つの事例に引っ張られて物を考えるのは偏りが出ると考えています。大抵毎日どこかで起きている殺人事件について毎回自分の問題として向き合うより、多くの事件を統計的に分析して背景を探ったり、その分野の専門書を読むほうが社会を理解するためには有用だと考えています。個別の事件でも重要な判例はチェックします。

 

日本での他殺による死亡者数は年々減少傾向にあります。2015年は過去最低の313人でした。これだけ殺人事件が減少していたら、大量殺人が目立つのは確かです。でも、全体としてはこれだけ殺人事件が減っているのだから、それ自体をまずは理解しておきたいところ。こういう目立つニュースばかりセンセーショナルに取り上げられると、少年犯罪と同じように実は減っているのに増えていると思ってしまいがちです。そうなると、過剰で無理な対処をすることになったりする。あくまで、私個人の話として。

殺人事件 被害者数 推移

※グラフは『日本における他殺による死亡の歴史的状況』(東京都健康安全研究センター)より

 

繰り返しですけど、他の人がどう考えるかを指図するつもりはありませんが、少なくとも私は、個別の事件について自分の問題としてとらえるなんてことはしません。疲れるだけで実が多くありません。自分に関係が深い事件ならまだしも。自分が抱える問題については、事件をきっかけにしなくても、日々淡々とトラブルシュートするだけです。

 

なお、今回の事件の遺族の方々にはお悔やみを申し上げます。