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知人「この前の世界経済フォーラムが発表していた男女格差報告は何の意味もないよね」
私「どういうこと?」
知人「だって、あれ、上位に来ている国が全て白人国じゃない。白人国が自らを上位に位置させて、白人国以外を貶めるために作ったものでしょ。なぜ、そんなものを真面目に受け止めないといけないの?」
私「項目は政治と経済と教育とで均等に別れているし、それぞれの統計も各国が算出しているものだから、そんなに恣意性ないと思うけど」
知人「そういう話ではなくて、結果として上位に白人国が占めているんだから、元々白人国に有利なんだよ」
私「なるほど」
知人「そもそも、日本で、管理職が少なかったり、理系が少ないのは、女性が差別されているわけじゃないから。女性が選んでないだけでしょ」
私「うーん、選ばないのではなく、選びにくい、選ばせてくれないとか、そういう空気はあると思うけど」
知人「少なくとも自分の周りにはない。女性が選ばないのに女性を優遇するようなことをしたら、無能な人間が上にくることが増える」
私「仮に短期的にはそういうことがあったとしても、枠が広がってメリットが理解されれば目指す人も増えるし、長期的にはその状態は改善されるのでは?」
知人「そう、それ!今の日本では長期間かけてこの体制を構築してきたのだから、この体制が一番よく出来ているわけ。あえてそれを無理に動かさなくていい」
私「今のシステムがいいと思っていない人はいるでしょ。それだったら変えることも検討してみては?」
知人「でもね、医療従事者の友人も言っていたけど、女性がフルタイムで働ける職場だと、離婚率が高かったり、結婚する人が減るらしい。そして離職率も高い。まだ、女性がフルタイムで働ける環境ではないんだよ」
私「それはそうだろうね。家事労働を女性がするものという考えが根底にあって、長時間労働が一般的な職場で働いていたなら、仮に結婚しても夫が不満に思うかもしれない。単に枠を広げるだけではなくて、なぜ女性がフルタイムで働きにくいのか、フルタイムだと結婚しにくいのか、原因を考えてそれを制度的に支援するのも必要」
知人「離婚したり、結婚ができないのは女性の方に問題があるよ!」
私「え!?」
知人「だって、街頭インタビューやネットニュースを見ていると、『年収一千万円以上じゃないと結婚できない』って言っている女性がいるでしょ?ああいう人が結婚のハードルを上げているわけ」
私「え!?」
知人「ただでさえ、女性の管理職が増えて、男性の職が失われている中で、男性に年収を求めるのはナンセンス。経済条件で結婚相手の男性を選ぼうとするのは、相手をATMとしか思っていない!」
私「過渡期的なものもあると思うけど、結婚相手に経済条件を求める人は自分の将来に不安があるということじゃないかな。そもそも、女性のキャリアが不安定だから、男性に頼らざるをえないという戦略を取る人もいるだろうから、経済条件は人生を現実的に捉えているということの一つの顕れとも言えそう」
知人「そうではなくて、自分では働く気もない、でも楽をしたいから、年収の高い男性と結婚するという発想では?専業主婦は正にイナゴ、寄生虫的発想」
私「そういう人がいないとは言えないけど、全員がそうだとは言えないでしょ。それに、専業主婦は楽かどうかは、それこそ家庭内事情によるわけだし。子育てや介護を全て妻がするということであれば、その負担は大きいよ」
知人「そうやって役割分担してきたわけでしょ、これまでは」
私「これまでがそうだったとして、それに異論がある人が増えてきているから、こういう議論が出てくるわけで。少子化で労働力人口が減っている中で、移民を受け入れないなら、女性の就労機会を整備するというのが政府が考えていることじゃない?」
知人「女性が働くから少子化するんだよ」
私「それは一つの原因としてはあるのだろうけど、それをどうにかするのが制度設計じゃないのかな。後は、少子化の一原因としては教育費の高騰もあるから、金銭的な支援は少子化対策では必要だと思う」
知人「金銭的な支援をするということは、そういう層に税金から還元するということでしょ?シングルを予定している人、子供がいない人にとっては不平等では?」
私「社会的に支援するというのは、その国の成長戦略もあるだろうけど、セーフティネットを作るという目的もある。自分や自分の家族がその立場になるかもしれないし、違うところで支援を受けているかもしれない。そういうものじゃない?」
知人「自分は恩恵を受けることはないかもしれないものを、セーフティネットだとか、成長戦略だとかでそのまま受け入れるのには抵抗があるなぁ」
私「もちろん、基本は自分が大切なんだけど、その社会に帰属しているなら、その社会の構成員にどういう人がいて、その人たちにとって何が問題になっているかを考えるて議論をしないと、意見の相違で喧嘩して終わっちゃう」
知人「考えられる余裕がある人はいいけどね。みんながみんなそうではないというのも、賢い"私"さんなら、分かってるでしょ?」
私「うーん……」
』